────視野がハレーションを起こしていた。
「……思い出せないことは……夢なのかな」
「極めて稀である、全般性健忘症であるようですが フーム」
「だからぁ、花梨でいいって、言ったじゃん」
「透矢ちゃん、わはーっ」
『それもお忘れになられたのですか』
”本土決戦に備えるべく──幻の桃源郷を発見し、大本営を設置する”
「おいっ、トウヤ、還れるぞ、生きて還れる!」
━━━━━━『 透矢さん、お茶にしましょう 』━━━━━━
水 月−迷心− この世界に降りそそぐ光と |
蕪木統文 | エンターブレイン/ファミ通文庫 刊 | 文庫 250p+カラー4p |
───記憶喪失となって目覚めた主人公「僕」こと瀬能透矢。混乱し、
恐怖に怯える僕を支え、護るように世話をするメイド、琴乃宮雪。
───これは現実なのか、それとも夢なのか───?
大人気ADVのコンシューマー移植版を待望の小説化!───
(背表紙より抜粋)
ストーリーは、冒頭と巻末を現実だとするならば、死に直面した主人公が
走馬灯を見るように…う〜ん「どうもこう…うまく言えんが」(山口少将@三船敏郎)
まぁいわゆる一つの”えいえんの世界”とでも申しましょうか(^^; に行って
しまう……というモノ。(これも自信ないなぁ…もっと奥が深いと思う)
登場人物紹介
わたしゃ今まで「水月」に関する知識は今まで殆どと言っていいほど知らず(^^;)
微かに防空駆逐艦<水月>等とネタで知ってた程度で(ぉぃぉぃ 名前が似て
いるんで某さいたま保険局教育ソフトの元ネタ作品の姉妹品か?」
ぐらいの見当違いも甚だしい(爆)知識しかありませんでした。前に書いた『陽だまり』
に短編が2本入っていたのでホントつい最近知った(といっても主人公とメイドさんのみ)
状態です。まぁ内容が芝生で膝枕及び相合傘ですから(w 収録作中一番印象に
残ってたんですがね。今回購入の動機は珍しく表紙一目ぼれです(w
脇にあった発売カレンダーを確認すると”5月20日”発売日当日でした(笑)
(当然、出ていた事自体知らなかった。レジ前に平積みを発見)
まぁ読んでくウチに「ああ某所で見た”戦艦大○に群がるわはー娘”の元ネタは
これだったのか」等と訳のわからん断片知識が水月だと補完されたり(^−^:)
===閑話休題===
最初冒頭見た瞬間「水月ってこんな設定だったのか」と驚きましたが、まぁよくゝ
見た感じ、ゲーム本編とは完全に切り離された番外編で主人公が同じ世界観に
迷い込んだ」といったところか?(後から考えたのだが、アレは本編の主人公
の未来で、まさしく走馬灯の如く再び…と考えるほうが自然だろうか??)
とりあえず、1/3程読んだところで先に本編の方を知っておこう」と思い
5月23日に本編購入(ファミ通文庫版) よって本作は取り合えずネタバレに
ならん程度に拾い読み(ぉぃそんなんで評すな!)
冒頭で巻き起こる”事故”から主人公は「那波町」の世界へと(記憶を失って)
迷い込むのですが(事故がはたして現実なのかも?)この世界、時間軸の流れが
明らかに一定ではないです。というか世界は雪さんを中心に(笑) このあたり、
『STAR TREK Z ジェネレーションズ』に出てくる”ネクサス”に近いか。
(異次元空間にある、過去・現在・未来 の区切りがない=自分の思う時間を何度
でもやり直せる世界) 実際、”やり直し”してますし(笑)
そのため、普通にトントンと読んでると"現在"がいったいドコか判らなくなり
(主人公と共に)混乱します。またあちこち伏線らしき部分があるので、何回も
同じ部分を読み返さないと1回読んだだけじゃ物語の進行すらよくわかりません
(@〜@)電車や会社の昼休みにちょいちょい読んでるせいもありましょうが…
しかしコレは決して”読みにくい”事ではなく、むしろ本作の謎解きと位置づけ
られてるのがなかなか。 コレは一歩間違えばホントに単なる”読みにくい”に
なってしまうが、そこは作者さんの力量でしょうか、すんなり受け止めれます。
ま、どう受け取るかは読む人によって大きく分かれる部分ですが・・・・・。
突然思考に現れる謎の少女・もっとも身近でそれでいて謎に包まれた琴乃宮 雪・
主人公の父が研究していたという民族学(大和民族と日本先住民族)・現実と夢の狭間
…などと、記憶喪失の主人公(そして同じ状態にある読者)に様々な謎が降りかかって
きますが、要は、縁側でお目覚め したら パタパタ で ふきふき で ”ギュッ” して貰うと
どきどき し合ったら おはようございます の挨拶で お茶がはいりました ら はぃ、あーん
でご飯がおいしかったあとは お姫さまだっこ と、ひじょ〜〜にわかりやすいんだか
わかりにくいんだか(^_^;)・・・・・つまり、重要部分を要約しますと───
「ちょっと”強”にしてみました。うふふ、最強にしましょうか」(*⌒ヮ⌒*)(うちわパタパタ)
「団扇がお気に召されないのでしたら、これからはお拭きするようにいたしますから」(*⌒_⌒*)(お顔ふきふき)
「いい子はちゃんと挨拶をします」(・−・) め!
「日本茶と一緒に、朝に梅干を1つ食べると、健康によろしいそうですよ」(^ー^)
「お湯がないんです。メ、メイド失格です」(;〜;)
・
・
・
etc…
ホワワァ〜〜ン(*´∀`*) (*´∀`*) (*´∀`*) (*´∀`*) (*´∀`*)
”コンシューマー移植版を待望の小説化”とあるが、実体は本編版小説の”萌えシチュ補完版”
と言ったほうが正解だろう、ぇぇそりゃもう(w もっとも、結末はまた違うようですが。
ツッコミドコロといえば、しょっぱなから誤字が・・・・・
目次では「月満つれば即ちかく」とあるのに本文では「則ち」になってる・・・
まぁ辞書引く限りどっちでもいいみたいだが、使い分けとしてはこの場合どっちが
適当なんだろう?? あと本編版で「職権乱用」。この場合「濫用」が正しかった
と記憶するが、数年前に文部省から国語力低下で「乱用」でもかまわん」と達しが
あったような記憶も・・・・う〜〜みゅ。あと大本営の移転先の地名は松本よりも
松代が一般的 (ま、おなじ地域ですが)。中尉指揮の旅団??謎だ・・・
(あでもよく読むと”実際は小隊規模”とあるな、特務部隊らしいしまぁ納得)
─── 縁甲板に向かい合って正座するふたりに、夏の輝く陽射しが降り注いでいる。
団扇の風を求めるように、霧除けに吊り下げられた風鈴が短く鳴った。
強い光が覆うのは庭に面した躰の半分だけで、和室側の半身は、湿った帷に
包まれている。──片方は現実世界──もう片方はまだ夢の世界に留まっている───
─── 雪が身を返し、ポットが置かれているサイドテーブルへと向かう。蛍光灯の輝きと夏の
陽射しがメイド服の上で交差して、柔らかく美しい光彩を放っていた。いつか見た幸福な───
蕪木統文氏。初めて読むモノ書きさんですが(ファミ通文庫自体、伊吹秀明氏(※)の
猫耳戦車隊シリーズしか持ってない^^;)、情景描写は秀逸です。 ゆっくり言葉を反芻
しながら読めば、まるでその世界に入って実際に眺めている錯覚に陥る様な、それに
あいまって土山にう氏による口絵イラストにより(タッチがまた本文の雰囲気にばっちし)
場面場面の情景を容易に想像できます。
(まぁ単に難しい言葉の羅列で、かえって読者側の想像の余地が広がる」といやそれまでですが^^;)
(あ、土山にう氏、HP行ったら同人誌持ってた^^;『風のはじまる場所』メロンブックスで買った記憶が)
[※架空戦記の(自分の中では)偉い人。著作「第二次宇宙戦争」「帝国大海戦」他]
はてさて、ラストは一体どんな結末を迎えるのか……(←早く読め
(忘れんうちに)じっくり読んでいこう・・・・・
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おまけ
本編版初っ端・・・・・め、メイドさんS…(゚□゚)(ボキュ─ン!ボキュ─ン!ボキュ─ン!ボキュ─ン!![フェーザー銃連射]
(゜▽。)=つ
(まぁファミ通文庫なんで未遂ですがね(謎) しかしオリジナルは??・・・・・)
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