『その時歴史は動いた!!

〜ものみの丘、天気晴朗ナレドモ風強シ〜』

− − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − −



  5月27日―――

  五月晴れのものみの丘に、談笑するふたりの男女の姿があった。

  男性の名は相沢祐一、その傍らにたたずむ女性は天野美汐。

  ともに一生に一度有るか無いかという奇跡と同時に堪えきれない程の苦しみを

  共有した仲である。


 「ははは、なんだよそりゃあ」

 「夢ですよ夢。空からお菓子が降ってきたら・・・」


   悲しみを克服できたのか、あえて明るく振る舞っているのか、

  少なくとも言えることは、その日の彼女のようすはいつもとは少し違っていた。


   いや、それはあくまで表面上のことで、内心はもっと違っていたのかもしれない。











(相沢さんを巡るこの一戦に勝利するにはこの瞬間をおいて他にありません)

(正に”美汐の荒廃此の一挙、各員奮励努力せよ”です)

(こうなってはあの戦法しかありません)

(しかし”あれ”をやるにはタイミングがすべてです)

(そう、あの対馬沖での丁字回頭のように・・・)

(私は聯合艦隊司令長官として、その瞬間を指示しなければならないのです)













= = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = =
[妄想モード]

  聯合艦隊旗艦<三笠>露天艦橋―――
  そこには各参謀と共に、羅針盤の傍らで濃紺の第一種軍装に身を包み
 不動の姿勢を取り続ける天野美汐聯合艦隊司令長官の姿があった。

 「距離八千五〇〇!!」
 測距儀を覗き込む見張員の声が響く。

 「長官、距離八千五〇〇でありますが」

 「まだです、まだ遠過ぎます・・・」

  天野は決断の時を迫られていた。タイミングを誤れば取り逃がしてしまうどころか、
 逆にこちらが体制を崩してしまう。
 遠からず近からず、その僅かな瞬間を見逃すことは即ち敗北を意味する。

 「距離、八千!!!」
  報告する測距手の声が悲鳴じみたものとなってきた。
 既に向こうは戦端を開きかかっている。

 「長官・・・どちらの側に、振り向くのですか?・・・」
 見兼ねた参謀長がそう口を開いた。
 その時であった。天野の右手が高く上がり、さっと左に半円を描くように一転した。

 「艦長、取舵一杯!」
 「取舵ですか?!」
 「取舵一杯!!」
 「ハッ!とーりかぁーじ・いっぱーい!!」

  「取舵一杯ーー!!」


 <三笠>は白波を盛り上げて目いっぱいのUターンを始めた













= = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = =



(今です!!)

美汐は髪とスカートをなびかせながら目いっぱいのターンをした。

ターン地点で停止状態になった美汐に祐一が近づいてくる。

「じゃあ、相沢さんなら…何をお願いしますか?・・・」


『くるん、と天野が体をひねって、俺の顔を覗き込んでいた』

















こうして天野美汐は相沢祐一の所有権を手にした。

以来日本に古来から伝わるこの見返り戦法は「天野戦法」若しくは

通称『美汐ターン』と呼ばれるようになったことは周知の通りである。







[完]














= = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = =
[後書き]
 またまた即行…というより急増モノ。
と言う訳で、5月27日は海軍記念日、明治38年の日本海大海戦での
東郷ターンにあやかり天野記念日と言うことで・・・<理由になってないぞゴルァ
しかしNHKの東郷ターン特集をビデオに撮ったやつを妹に消されたんであんまし
資料が・・・あ、須磨図書館にあったなそーいや・・・(汗
 コリは暴走美汐たんの妄想というより作者の妄想ですな(爆)
陛下より頂いた大切な名場面を壊してしまい申し訳ありませんm(_ _)m
「なら初めからするな!の声が聞こえてきますが・・・
(註:当然ですが作中では美汐たんの妄想という事になってます)
ところで、[三笠艦橋図]の東郷長官は一種軍装です。
しかし東宝の映画日本海大海戦では純白の二種軍装着てるんですよねぇ。
※大訂正:見直したら一種軍装着てました(爆)二種着ていたのは黄海海戦でしたm(_ _)m
うーんどっちなものか、しかし美汐たんには濃紺の一種軍装のほうが似合う
というのが持論ですので一種軍装にしました。挿絵募集々大募集であります。
                (↑厚かましいにも程かある・・・でも募集(ぉ)
[参考資料]
・朝日新聞日曜版平成10年5月10日『100人の20世紀』



 戻る