ざわざわとざわめく境内に、やっとのことでたどり着いた。
賽銭箱に小銭をそっと入れて、からんからんと鈴を鳴らす。
手を二回叩いて手を合わせ、目を閉じる。
去年は楽しく過ごせました。ありがとうございました。
そして今年も獄寺君と一緒に楽しく過ごせるよう、見守ってくれると嬉しいです。
去年の感謝と今年のお願いをして目を開ける。
隣の獄寺君は何やら難しい顔をして目をつぶっている。
まだ願い事してるのかな?
ようやく気がすんだのか、目を開けるとちらりと隣のオレを見て盛大に慌てる。
「す、すみません!お待たせしました!」
そんな様子にふふ、と笑って「行こうか」と言って手を差し出す。
その手をぎゅっと握られて、もと来た道に戻る。
獄寺君はどんなことを神様にお願いしてたのかな。
オレと同じことだといいな。
そんなことを考えながら歩いていると、
道の端っこでおみくじやら破魔矢、絵馬が売ってる。
「10代目、あれ何ですか」
獄寺君が絵馬に興味を示したので簡単に説明すると、
ぜひオレ達も書きましょう!てなことになった。
願い事、神様への感謝・・・
獄寺君関係はさすがに文字にして書くには恥ずかしいので、
無難なところで「みんな健康に過ごせますように」と書いておいた。
うちの母さんみたいな願い事で、これはこれでちょっと恥ずかしいけど。
絵馬を適当な高さのところにくくりつけていると、
書き終わった獄寺君が背伸びをして一番上にくくりつける。
そういえば七夕のときもランボと競って上の方に短冊つけてたなぁなんて思い出していると、
つけ終わったのか、背伸びしていたつま先を戻す。
いつもの高さに戻った獄寺君の顔は、ものすごくやり遂げた感じの顔だ。
「さあ10代目、次はおみくじに行きましょう!」
何やらこういう神仏系のことが大好きな獄寺君は、やけに張り切っている。
先を行く獄寺君にちょっと待ってよ、って声をかけながら、
ちらりと獄寺君がくくりつけた絵馬を見上げる。
『立派な10代目の右腕になれますように』
と大きく書かれた下には、
『10代目と幸せに過ごせますように』
と小さな文字で書かれていた。
その横ではかわいい犬が笑っていた。
End
................
せっかくの戌年ですから、犬ネタやっておかないと!(笑)
ということで、今年もよろしくお願いします!
(2006.01.05 拍手文として)
(2006.04.23)
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