「おはようございます、10代目!」
「おはよう、獄寺君」

ドアを開けると獄寺君が待っててくれている。
今日も変わらず学校に向かうため、
マフラーと手袋でなんとか冷たい空気に対抗しながら、
二人並んで白い息を吐いて歩いていく。
・・・白い息。

「わ、息白い!今日ほんとに寒いもんねぇ」
「ええ。特に朝は冷え込むと言っていました」

息が白くなるほど寒いのは、今年初めてのことかもしれない。
吐く息が白い、それってめちゃくちゃ寒いってことなのに、
いつもと違うってだけでなんだか楽しくなってくる。
口をすぼめて、ふぅー、と息を吐き出した。
もわもわと雲のように出ていた白い息が、細くなる。

「小学校の頃さ、やんなかった?タバコーって」

言いながら、もう一度細く息を吐き出す。
口から白い煙を吐き出すのがなんだかかっこいいと思ってた。
あこがれるように大人の真似をして、
ただ息を吐き出しているだけなのに満足した。
それを懐かしく思ってまた細く息を吐き出すと、隣を歩く体が近づいた。

唇に冷たいけれどやわらかいものが触れる。
張り詰めたような鋭くきれいな空気の中で、さらさらと銀色の髪が揺れている。
音も立てないようにそっとすばやく、視界の中に獄寺君が現れて消えた。

「獄寺君のくち、すごい冷たい」
「10代目はあったかいです」

そっと吐き出した息はさらに白く、濃くなった。





End





................

この前の朝、息が白かったんですよ。(またそんな)
んで実際、大の大人が口すぼめてタバコ〜とかやってたんですよ。(・・・)
息はあったかいはずなのに、すぐに冷えて、
口がめちゃくちゃ冷たくなって。
ピコーンと、獄寺の唇は冷たそう!ツナにあっためてもらえばいいのに!みたいな。
そういう話・・・。

(2008.12.07)


文章目次
戻る