きしり、とベッドが声をあげる。

「獄寺君」

そう呼ばれてうっすら目をあけると、10代目の姿があった。

「10代目っ!!?」

その姿を目にした瞬間、オレは驚いて眠気も吹っ飛んでしまった。
布団をかけたままの体をまたがれていて動きにくかったが、何とかひじを使ってにじり上がる。

「おはよう、獄寺君」
「おはようございます、10代目・・・」

とりあえず言葉を返してみるものの、オレの頭の中は困惑・混乱・疑問といった
たくさんのクエッションマークが吹き荒れていた。
ぐるぐるずきずきと寝起きの頭では少々解きづらい問題を前にして、手で顔を覆う。

「あの、質問してもいいですか、10代目」

気を取り直して、声をかける。

「ん、何?」
「その格好、どうしたんですか」

オレの混乱の種は、10代目の格好だ。
目の前の10代目が身につけているのは、白いワイシャツ、胸元には大きな赤いリボン、
そして下はプリーツのかかった赤いチェックのスカートだった。
うちの制服ではないそれは、
「制服汚しちゃって替えのもクリーニング中だから、京子ちゃんのを借りたんだ」
なんていう強引な設定もありえない。
訳が分からなく、目が回りそうなオレの耳に10代目の声が入ってくる。

「これ?リボーンがくれたんだ」
「・・・リボーンさんが?」
「マフィアたるもの変装のひとつもできなくてどうする、とか言って。
 とりあえずこれだと獄寺君が喜ぶから、手始めに着てみろってさ。・・・どう?似合う?」
「と、聞かれましても・・・」

いったいどう答えればいいんだ?
変装というよりも女装と言った方がしっくりするこの衣装を、
似合っていると答えると10代目を女として見ている気がしてすごく嫌だし、
だからと言って否定するのも失礼に当たらないか。

「ね、どう?」
「あの・・・・・・ッ!」

返事を急かす10代目から目を逸らして、逸らしたところにあったものに息を飲んだ。
オレの体をまたいでいるため大きく開いた足が、短いスカートから覗いている。
普段はもちろんズボンをはいているため、こんな上まで足を見れたことがない。
もしかしたら死ぬ気弾を打たれてトランクスになった時と張る短さかもしれない。
ひらひらとした薄い生地は、10代目の体を守るどころか、
人の手を誘い込むように揺れている。
その細い足に手を添えて、そのまま上へなで上げれば、
10代目の大事なところに簡単に到達してしまう。
寝起きのせいか、それとも他に理由があるのか、
カラカラに乾いた喉を潤すように、ごくりと唾を飲みこんだ。
無意識に、指が震える。

「獄寺君?」
「ッ!?」

と、そこで、オレの視界が10代目の顔でいっぱいになった。
ブツリと何かが切れる音がする。

「10代目―――――!!!」
「ぅわっ!!?」

驚いた顔をする10代目の肩をつかんで、そのままベッドに押し倒す。
何が起こったのか分からない、という10代目の顔から、その白い足へと視線を移した。
ひらひらの頼りないスカートは今の反動でめくれあがってしまっている。
足の付け根が見えそうで見えない、ギリギリのラインで視覚が刺激される。
自分でも、息が荒いのが分かった。

「獄寺君・・・」

その弱々しい声に後押しされるように、ためらいがなくなった。
肩をつかんだ手を動かして、その、足に、触れる、瞬間、



ジリリリリリ・・・!!!



「っ!!!??」

オレは思わず跳ね起きた。
体にかかった布団も宙に浮く勢いで。

・・・跳ね起きた・・・?

って今の、夢だったのか・・・!?

ほっとしたのやらがっかりしたのやらで頭の中がごちゃごちゃになった後、
最後はやっぱり申し訳なくなる。
何て夢を見るんだオレは10代目の右腕であるオレが10代目を汚してどうする。
尊敬し、畏怖すべきボンゴレの10代目を、オレは、オレは・・・。
がっくりと肩を落としたオレは、
自分の股間が膨らんでいるのを見つけて余計に申し訳ない気分になるのだった。


................

ロ○トで変装道具が売ってまして、
マツ○ンとかル○ンとかは変装だけど
このセーラー服とかチアガールとか体操服とかってどうなの、
という話を振りますと、隣に居た友達が

「男がそれ着せてヤるんやろ」

と至極もっともな返事をくれまして。
しばらくこう、変態な獄寺を妄想した訳です。

でも私、獄寺ってあんまりアブノーマルプレイってしないと思うんです。
だから最初ツナを変態にしたんですが、
それじゃ悪いかと思ってリボーンさんのせいにしたんですが、
やっぱり獄寺が変態になりました。(笑)
ネタだけ書こうとしたんだけどやっぱり落ちないとむずむずするなと思って最後まで考えたんですが、
獄寺変態落ちが一番落ち着くみたいです。(笑)

もう一度言い訳しておくと、うちの獄寺はこんな趣味ありません。
・・・私が変態なだけです・・・!(涙を飲んで告白)(いや、みんな知ってるし)
女装はあんまり好きじゃないんだけど・・・ネタとして、ね。
降って湧いたので書いておかねば、と。
でも普段女装嫌いだって言ってる割に、好きなキャラ(受け)にはセーラー服着せるんだよな。(笑)
・・・え、根っからの変態?(汗)

(2004.08.11の日記より)


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