所持するリングと同じように、とりまくオーラと同じように、
大空のような広い心で全てを包み込む優しい人。
能天気な野球バカも、騒がしい芝生頭も、何考えてんのか分かんねー風紀委員長も、
ウザってーアホ牛も、ガキも女もマフィアに恨み持ってるヤツらも
自分に向かって攻撃してくる敵だって、
傷つけることをよしとしない、死にそうだったら助けてやる、
そんな人だからこそ人が集まる。
たくさんの人間の中心にいる人。
この人の周りにいるヤツらは誰だって例外なくあったかい顔して笑ってる。
10代目、
こんなときだけにしか、オレだけのものになってくれない。
こんなことを考えることさえ身に余ることだけど。


04:10代目


繋がったままの腰を引いて、押し込めば、
ぬるついた音とともに腰骨から這い上がる痺れに似た快感。
抱き合った裸の胸はしっとりと汗をかいていて張り付いた。

「・・・んっふ、は、あっあ・・・アッ・・・!」

苦しそうな唇を開放すれば、途端に零れ落ちる艶やかな喘ぎ。
反らされた首筋に唇を押し当てて、かじり付き、舐め上げた。
背中に回した腕に力を込めてさらに密着する胸、肌と肌。
どくどくと跳ね上がる鼓動、引き絞るようにうねる内部に歯を食いしばり、強く強く突き上げる。
深く、深く、オレを刻み付けるように。
今、この瞬間、こうしている間だけは、この人はオレのものだと、
刻み付けるというよりは自分に言い聞かせるような、自分を慰めるような、なんて独りよがりな欲望。
そう思いながらも律動を止めることはできず、本能の赴くままにやわらかな体をむさぼった。

奥をえぐるたびにびくびくと痙攣して、突き入れた欲望が締め付けられる。
心地よい、というにはあまりに強烈な快感に、歯を食いしばって腰を振る。
甘えるように絡みつく中を体の中心で感じ、熱い息を吐き出した。
途切れがちに声を零し、揺さぶられるままの愛しい体。
力の抜けた両腕がそろりと持ち上がり、ゆっくりとオレの頭を抱いた。
汗で濡れた髪をかき混ぜられる。
地肌を撫でられ、抱き寄せられて、開かせていた足がオレの腰に巻きついて、
動いて離れてしまった体が再び密着する。
耳に触れる細い指先、腰に当たる小さなかかと。

「ごく、でらくん・・・ごくでら、くん・・・」

引き寄せられた拍子に唇が鎖骨に触れる。
ドクドクと速く激しい脈動を唇で感じ、触れた脈を舐め上げて、その周囲を何度も何度も啄んだ。
立ち上る10代目の甘いにおいを吸い込んで、辿り着いた耳の裏側を吸い上げれば、
きゅう、と腕や足と同じように内壁がすがりついてくる。
顔を持ち上げると濡れた瞳とぶつかった。
欲望を散らした赤い目元、涙をまとったきれいなまつげがふるりと震えた。

「ごくでらくん・・・好き・・・っ・・・!」

快感に飲まれそうな中で、この場では不釣合いなぐらいにふわりとやわらかく微笑んだ。
ぽろり、目にたまった涙が頬に零れる。
それまでの比ではない快感が体を走り抜けた。

「・・・っく、じゅうだいめ・・・!」

腕を引き寄せて小さな体にすがりつく。
求めるばかりでなく、求められる愛情。
片方の腕を上に上げて頭を抱く。
零れた唾液で濡れて光る唇に口付けた。
ぬるついた口内、熱い舌、絡み付けて、吸い上げて、くちくちと濡れた音がする。
触れ合った肌が擦れ合って、擦れ合って、
二人だからこそ感じるそれに、まるでひとつになったような錯覚を抱く。
熱に侵され働かない頭で求めるのは、ただ一人、この人だけ。

「10代目・・・!」

触れ合った肌の熱さ、絡みつく中の熱さ、
吐き出した息が熱い、吐き出した欲望が熱い、
吐き出された欲望の熱、体の間に広がる熱に、
独りよがりではない愛情を、確かに感じた。





End





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ねっとり感よりも激しさを目指した結果。
撃沈、です。

おかしい。

(2007.12.16)


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