地蔵さんの祠を製作 ’00年12月5日〜

2000年の8月に何の準備もなく定年を迎え、42年間の会社員の規則正しい生活からの解放感を味わうと共に
これからの長い人生をどう生きていくのかを考えているときに、神戸に住む知人から阪神大震災で生き残ったお地蔵
さんの祠が朽ちてきたので新築するのでやってくれないかと相談を受けて、全く経験はないが挑戦することにしました。



<朽ちかけた祠から寸法を測る。>       <約4ケ月掛けて新築した祠。(’01年の地蔵盆)>

着手する前に全く道具もなく材料のことも判ら無いので「木工」の雑誌を購入して、道具や材料の勉強を始め充実した時間
を持ちました。雑誌に掲載されていたテーブルソーを作り、これが優れ物で10年たった今も愛用しています。祠の格子戸
などはこれが無かったら苦労をしたと思います。トリマーという機械も役に立ちました。ホームセンターにもよく行きました


木材はすべてヒノキ材で製材の機械もそろって無いのでホームセンターで製材されたものを使いました。骨組みの組立ては
新しく購入した卓上ボール盤で下穴を明けてノミでホゾ穴を仕上げて組み立て、柱に壁板の嵌まるミゾはトリマーで掘りました。
柱や桟の溝に壁板をはめ込んでいく組み立ての手順を考えるのがパズルの様に難しく苦労して組み立てたと思います。左は仮組み。


作業場所は自宅下のガレージの奥の物置で天井が低く換気の悪い劣悪な環境でした。ここまで作るのに随分時間がかかり
ました。図書館で周辺の地蔵さんの有る位置を調べて自転車で遠くまで色々なお堂の見学にも行きました。寸法は既存の
祠から採寸しました、屋根の反りや懸魚や卍は型紙に模写して作りました。難しいと思った格子戸は楽しみながら作りました。


既存の祠の屋根はブリキ板ですが製作を引き受けたときから屋根は銅板葺きにしたいと思っていて、図書館に通い色々調べ、
参考文献をたどり国会図書館からも本を取り寄せてもらったりしました。CADで銅板の展開図を作図して、神戸の商店で図面
を元に数種類の寸法にカットしてらって購入しました。銅板の曲げ加工の治具は知人に作ってもらい、銅板を叩く拍子木はホーム
センターで購入しました。上の写真の銅板葺きの防水が悪かったらと思い下地に透明のビニールシートを張りました。


上左の写真の右は通常のサイズ、左は1/2サイズで各々左端が下曲げで右端が上曲げ、下端が下曲げで上端が上曲げと釘止め
用の耳でお互いが前後左右で引っかかりあうように取り付けていきます。その前に屋根板の端部に別の形の銅板を細工したものを
全周に取り付けたが手間がかかりました。上右の写真は棟の部分の銅板でここは両端の形が他の祠では立派な物がありましたが
製作が難しすぎて現状の形になりましたが、それでも棟から屋根部への接ぎのところは防水に気を使い悩んだところでした。
銅板の厚さは0.5ミリですが0.3ミリの方が加工しやすいと言われたがなんだか頼りないと思い0.5ミリにしました。


2000年12月に着工して2001年3月に完成。充実した4ケ月でありました。


そして銅板葺きの祠が完成しました。(祠内の祭壇の裏側に製作者名を墨書してもらいました。)


2001年8月の地蔵盆に親しい方々が集まってのお披露目となりました。
左の写真は会場設営中の新旧の祠(ほこら)です。
新しい祠の下の台座は田舎の工房で作りました。ここに祭礼用の道具類を収納します


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