延命寺山(465m)〜カザシ(560m)〜岩屋山(726m)
〜西谷林道
丹波市山南町<’06.2.18>地形図1/2.5万 丹波和田
朝起きて外を見るとうっすらと雪化粧。支度をして富田の工房を出発(8:30)。工房の傍から延命寺山を撮る。
端正な姿の頂上から右に伸びる尾根が今日のコース。その尾根の向うに縦走するカザシも頭を覗かせている。
徒歩で山本の集落に入り振返ると今月の初めに登った行者山から三組尾の稜線が穂高の吊り尾根のように見えた。
延命寺山は2000年にこの土地に来たときから姿の良い山と気になったが、カザシは大阪の慶佐次 盛一氏の著書
「兵庫丹波の山」(上)の紀行を読んで登ってみたいと思いました。麓から見ても隣の延命寺山よりも堂々としていました。
山本集落の登り口(8:50)。右上すぐに獣柵のゲートがある。この柵の工事は全町域で行われているようで昨秋
は当工房の近くも工事中で鹿たちは自由に行動して我が菜園にも訪れてくれましたが。完成後の今年は鹿の足跡
もなく効果があったのかと思っています。ゲートから3〜4分で金毘羅さんの祠の広場にでる。登山の安全をお祈り
して尾根に向かう。道は二つあり左は巻き道みたいで右(矢印)の道を登る。始は急坂だがだんだん傾斜が緩んでくる。
道は概ね踏跡程度ですが注意深く踏跡をたどる、尾根上を忠実につめれば問題は無い。天気は曇り、気温は低い。
<左方の小突起が行者山> <延命寺山東尾根よりカザシ>
雨は降らないが小雪は時々舞っている。登りの途中で左手に行者山から三組尾が見える。前方の藪に何か
が動いたと思ったら白いお尻を躍らせて鹿が走り去った。お昼寝の邪魔をしたようだ。まもなく延命寺山の肩に
着く(9:50)。当地に仮住まいして5年、当時に西谷あたりを散歩していてお年寄りに山の名前を延命寺山と教
えて貰ったりして以来気になっていた。鏡ケ成から見た烏ケ山に似た秀麗な姿の山についに登れるときが来た。
<肩から頂上への踏み跡> <頂上の手前の焚き火の跡>
ザックを置いて空身でワクワク気分で頂上へ向かう。頂上のすぐ手前に焚き火の跡。そのすぐ先が頂上です。
5分程で着いた。5年ぶり念願がかなう。頂上は展望がきかない。大阪から来た人の木札が枝にかかっていた。
<カザシに向かう道> <木の間越にカザシの頭>
ザックを置いた延命寺山の肩に戻る、写真を撮ったりしていて時間をくってしまった。カザシに向う(10:20)。
稜線の道は登ってきたルートよりもはっきりしていて歩きやすい。前方の木の間越にカザシの頭が見える。
<カザシ手前の尾根より延命寺山。右奥は三組尾> <紀念林境の石柱>
一旦鞍部に降り、カザシに向けて登り直す。カザシに近づくにつれて尾根に露岩があらわれてその分見晴
らしが良くなる。振り返れば延命寺山も低く見えてくる。尾根の露岩の傍に「紀念林境」の石柱があった。
<カザシ手前の尾根より遠く千が峰・マタニ山> <カザシの三等三角点560m>
西側に千が峰が見える。展望に気をとられているうちに、いつの間にか稜線の西谷側に鹿よけネットが続く。
ネットは道案内になって良いのだが歩きにくい。所々倒木等で跨げるぐらい低くなっている所もあり、ネットの
右を歩いたり左を歩いたりしていて、うっかり三角点を通り過ぎて慌てて戻って探すと、三角点はネットがかぶ
さるようにして在った。木の枝でネットを突っ張って写真を撮る(11:20)三等三角点560m。展望は無し。
実は帰路のことが延命寺山から気になっていてカザシで体力と時間を考えて判断しようと思っていた。
ここから篠ガ峰まで先が長い。篠ヶ峰から下山ルートも分からない。でもここから引き返すのもシャクだ。
まだ時間的に何とかなる。とにかく岩屋山まで行こう。時間的に無理なら西谷へ逃げることも考えに入れて。
カザシよりP519m(矢印)に向かいます。相変わらず鹿よけネットが続きます。少し下った所からP519の手前ま
での間は左手の西谷側は伐採跡で見晴らしは良くなる。ネットも高くしっかりいたものに変る。丹波霧の里のログに
あるP519(矢印)は要注意箇所でここからネットは北西へルートは北北東へ。丁度しっかりしたネットの支柱が人が
通れる幅で2本立ちその間はネットは無い。出入り口みたいになっていた。(11:55)赤布が有ったのでそれに従って行く(黄点線)。
ネットから開放された鹿の気持ちを味わいつつ行くと、今度は右手の五ケ野側にネットが続き、松茸止山の看板も現れる。
P534の手前あたりは岩のヤセ尾根を歩く。振り返れば通過してきたカザシが見える。P534を越えるとうっすら
雪化粧をした岩屋山が見えるがはまだ遠い。時間が過ぎる、足に疲労が溜まってきた。食事はもう少し先です。
疲れてきた足にCa620の登りは負担に思っていたが、幸いにも道は山頂の左側を巻いているようで、雪に隠れた
踏跡をはずさないように選びながらたどり岩屋山との鞍部に出た。樹冠の向うに岩屋山の肩の鉄塔が見える。
<肩の鉄塔からCa620の尾根の向うのピラミッドがカザシ>
元気を出して鉄塔を目指して登り着く。ここで昼食(13:25〜13:45)。歩いてきた稜線が見える。延命寺山か
らカザシ、P519、P534、Ca620とこんな距離を歩いたのは本当に久しぶり。行者山・三組尾も遠くに見える。
左は岩屋山の肩の鉄塔から西谷の谷の向うに多可町の妙見山。右は東側の遠くに三岳・西岳・三尾山方面を望む。
昼食後は少し元気回復。岩屋山の頂上は尾根の一部のような感じで通過する。通過したとたんすさまじい倒木帯。
2年前の台風のものか、まともに稜線は歩けない。体力が余計に消耗するし、時間もどんどん過ぎていく。
<岩屋山付近から雪で薄化粧した篠ガ峰>
岩屋山から一つ目のコブの下りでルート判断に迷う。北面は雪も多い。シャクナゲが密生していて見通しがきかない。
落ち着いて少し戻って篠ガ峰のアンテナと手前の尾根上の鉄塔で方向を決めて行くと赤布があったので安心して進む。
相変わらず倒木が多く通過に苦労する。このあたりで篠ガ峰はあきらめて西谷へ降りることに決断する。篠ガ峰との
最低鞍部まで下る(14:50)。若い頃に未知の谷は下るなと教えられていたので不安は有るが仕方がない。細心の
注意をして、過去の沢登り経験を生かす覚悟で、首にぶら下げていたデジカメもザックにしまい、意を決して植林地の
雪の斜面に突入する。地図では100mぐらいで本流だ。下るにつれて小さな流れも現れ滑りやすい岩も出てきた。
下る先を慎重に見極めながら下ると幸いにして危険な岩場に出会わず本谷に降り立った。落ち着いて周りを観察する。
すぐ上流は幅の広い滑滝。対岸の方が歩きやすそうなので渡る。立ち木に黄色いテープがある。道が在った。地図の
破線路か。少し気分が和らぐ。右岸を歩く。石積の岸の道。いつごろ造られたものか先人の大変な苦労がしのばれる。
豊かな水が小滝が連続した本流を下っていく。道はだんだん谷から離れ高巻きする。下には大きな滝が有りそうだ。
高巻き道はだんだん高度を下げて右手からの支沢(黄色テープあり)に沿って本流に降り立ちすぐ左岸に渡る。道は
本流から離れかなり高い山腹を行く、左手からの巾のあるガレ沢を渡り行くと、さらに支沢があり(黄色テープあり)
渡った先に道があったのでそれを行くと、ジグザグに上に向かっているようなので支沢まで引き返して右岸を少し
下ると対岸に道があったので、滑りやすい沢を慎重に渡る。落石をすると岩壁にぶつかり乾いた音をしばらく谷間に
響かせて谷底まで落ちていき、改めてゾッとする。道は徐々に高度を下げていきジグザグを過ぎて行くと下に軽トラ
が見えた。今までの緊張も解けて林道に下り立つ(15:45)。林道の途中のススキ河原で鹿が走り去って行った。
集落に夕方の5時を知らせる「夕焼け小焼け」の曲が流れていた。西谷林道を約1時間半歩いて工房に帰る(17:10)。
<後日、山本の集落を散歩中に薬師堂より延命寺山(左)〜カザシ(右)>
(あの稜線を歩いたのです。充実感が湧いてきます)
<兵庫県指定文化財 山本の「薬師堂」と敷地内の祠堂、視力回復祈願か石に穴を穿ち針金で架けられていた。>