装甲騎兵ボトムズ バトリング野郎―VR−ATシミュレーター―

実機について

"一撃の鉄槌が装甲ごと俺を貫く!"


2016年、バンダイナムコエンターテインメントから登場。
同社の期間限定イベント「VR ZONE-project i can-」で公開された、バーチャルリアリティ(VR)の研究用筐体の一つである。
(2016年4月15日〜10月10日まで)
このVRアクティビティは、公開期間中の7月15日に新たに追加された。

1983年4月にテレビ東京系列で放送された、リアルロボットアニメ作品「装甲騎兵ボトムズ」をモチーフとしたアクティビティである。
作品中に登場する戦闘ロボット「AT(アーマードトルーパー)」を操縦し、敵ATとの1対1の戦闘(バトリング)を行う。
専用筐体は"Vive"のコントローラーが、2本のジョイスティックの間に固定されている。
元々、企画と開発は「ボトムズ」が先行しており、そこで蓄積された技術・知見が「アーガイルシフト」へ採用された。

体験者はVRゴーグルとヘッドホンを装着し、専用筐体に着席する。
アクティビティが開始されると、格納庫から出撃前に暫くの間、目の前のATや格納庫内部を自由に眺める事が出来る。
機体がエレベーターに乗せられて上昇し、地上に到着するとバトリングが開始される。
2本のスティック操作の組み合わせにより、前進・後退・旋回が可能。
足元の右ペダルを踏むとローラーダッシュ(加速)、左ペダルがターンピック(急減速)となり、
工夫次第で更にテクニカルな機動が可能となる。

レティクル(照準)は「アーガイルシフト」と同様に、VRゴーグル内に表示される赤いマーカーが敵に重なるように、
自分の頭部を動かして敵を補足する。
他の類似のゲーム作品の様なヒットポイントやライフゲージが無いが、VRゴーグル内に表示される「PR液劣化状態インジケーター」が、
ATのダメージが蓄積して赤くなると破壊される危険性が高まる。
武装は2種類装備されており、右スティックのトリガーでマシンガン、左スティックのトリガーでミサイルを発射する。
各武装には弾数制限があり、使い切った状態でトリガーを引くと、強力な近接攻撃「アームパンチ」が出せる。
フィールド内には武装の補給ポイントがあり、接触すると速やかに弾薬が補給される。
相手の腕を攻撃して落とす事も可能で、装甲の薄い部位に直撃するとパイロットは即死となる。
原作に登場する「リアルバトル」に準拠しており、制限時間内まで相手ATを行動不能・破壊すると勝利となる。
1度の体験で、2回戦まで対戦可能。

【作中用語】

  • 【アーマードトルーパー(AT)】…百年戦争末期、ギルガメス連邦主星・メルキアで開発された、全高4メートル程度の人型機動兵器の総称。
    胸部にあるコクピットは非常に狭く、極一部の機種を除いて生命維持装置すら装備されていない。
    代表的な機種として、当アクティビティにも登場する「スコープドッグ」がある
  • 【ポリマーリンゲル液(PR液)】…ATを駆動させるマッスルシリンダー(人工筋肉)を満たす特殊な液体。
    非常に気化性・引火性が高く、僅かなダメージでも受ければ、ATが引火・爆発する。
  • 【バトリング】…AT同士の格闘戦を娯楽の一種としたもの。武器の使用範囲などで複数のルールが存在する。
    このアクティビティでは、重火器使用が許可された「リアルバトル」に準拠している。
  • 【ローラーダッシュ】…ATの足底に装備される車輪。これにより通常の歩行より高速移動が可能。
  • 【ターンピック】…ATの踝に装備される杭状の部品。これを地面に突き立てると急制動が掛かるが、
    ローラーダッシュや旋回と組み合わせると、更にテクニカルな攻撃や回避が可能となる。
  • 【アームパンチ】…ATの腕は火薬の爆発力によって、高速で前方にスライドさせる機構があり、
    敵に直撃すると大きなダメージとなる。


【参考資料】

バンダイナムコエンターテインメント「VR ZONE-project i can-」公式サイト
(https://project-ican.com/)

バンダイナムコエンターテインメント「VR ZONE SHINJUKU」公式サイト
(https://vrzone-pic.com/)

2016年9月3日…
リアルドライブ」の筐体ミニチュアを制作した後、お盆前に奇跡的に予約の取れた「VR ZONE-project i can-」を体験!!

現地到着後に、一番最初に体験したアクティビティです。
ネット上では評判が非常に高く、混雑を避けようと真っ先にこのアクティビティへ向かいました。
しかし、予想に反して「ガンダムVR」や「脱出病棟」の方が混んでいて、「ボトムズ」はガラガラ…
一緒に対戦するお客さんも居なかったため、スタッフさんと対戦する事に…
簡単にレクチャーを受けて筐体に着座しながら、VRゴーグルとヘッドホンを装着すると、目の前の景色は格納庫の内部。
薄暗い格納庫は、オイルや焼けた鉄の臭いが漂ってきそうなリアルな描写です。
敢えて窮屈になるように作ったと言う専用座席の効果もあって、原作の"むせる"様な感覚まで体感出来ます。
VRゴーグル越しに、暫く自由に格納庫内部や目の前のスコープドッグを眺めて楽しむと、いよいよエレベーターで地上へ!
バトリングが始まる前、対戦相手であるスタッフさんから「1回戦目は手加減してミサイルは使いませんので〜♪」などと言われ、
ならばコチラも手加減無しで…と、マシンガンをブっ放しながら相手を追跡。
しかし、上手く相手をレティクルで補足する事が出来ず、混乱している間に相手に後ろを取られて被弾…
なかなか操作にも慣れず、ジワジワとダメージを与えられて機体が炎上…
何が何だか分からない内に2回戦目に突入。
2度目も進歩が無いまま、スタッフさんは「お客さん大丈夫ですか〜!お客さ〜ん(笑)!」と励ましながらも、
瀕死のオレの周りを、縦横無尽に走り回りながらミサイルを撃つという鬼畜な攻撃(笑)
結局、コチラの攻撃も相手に掠りもせず、必死の抵抗も空しく2度目も機体が炎上…
レティクル合わせに頭を頻繁に動かしていたのと、筐体の振動の影響もあって、アクティビティ終了後は足元がフラフラに…

因みに作者は殆ど原作の知識は無く、当時の友達の影響でスコープドッグのプラモデルを一度だけ作った程度です。
アクティビティ体験後、この記事を書くために資料を読んでいると、今更ながら原作にも興味が沸きましたよ。
簡潔ながら、アクティビティにも登場する作中用語も記事内に入れてみました。

※実機の画像は「VR ZONE SHINJUKU」で撮影(2017年9月24日)