平成24年6月28日
野田首相になって「消費税問題」がマスコミを賑わしています。
これに対して消費税引き上げに反対する方達の中には、「何れ消費税は上げる必要はある。しかし、今のようにデフレが止まらず、景気が好転する兆しがないのに消費税を上げる
TVや新聞等マスコミの解説でも賛否両論相半ばしているように見えます。
1 デフレとは
OECDによればデフレは、「一般物価水準の継続的下落」と定義されています。
2 何故デフレは、ダメなのか。
「一般物価水準の継続的下落」が、何故ダメなのでしょうか。
しかし、経済学者には、「デフレは、資本主義経済の静かな死への誘い」だという人がいます。
また、折角上げた利益も物価の下落分だけ目減りをして行きます。
3 何故デフレになるのか
バブル崩壊後の日本経済は、正にデフレスパイラルに落ちいっているといえます。
労働賃金(以下賃金と言います)は、何によって決まるのかについては大きく二つの学説があります。
「労働力の需給関係によって決まる」(ケインズ経済学)という説と「労働力の再生産費によって決まる」(マルクス経済学)と言う二つの説です。
資本は、常にどん欲に利益を求めて活動し、その利益を生み出すのは労働力であることも申しあげました。
少品種大量生産による労働の単純化によって労働市場を拡大し、賃金の引き下げを促し、生産コストの引き下げを計ります。
低コストの商品が市場に投入されることで、市場の拡大が進みます。
しかし、何時までも拡大し続ける市場は無いと言えます。
過飽和状態になると過当競争が始まり、過当競争は、価格競争の一因となります。 商品市場での価格競争は商品価格の引き下げをもたらし、強いては賃金引き下げの強力な要因となります。
加えて、ユーザー側からの商品の選別が始まります。それまでは、取得することで満足していたユーザーは、性能やデザイン等に個性を要求し始めます。その要求に応えるために少量多品種生産をする必要が生じます。
そこで生産者は、少量多品種で利益をだすために、一方ではそれまでの商品より高級化、高機能化を計ります。
労働の単純化によって労働の質を下げ、多方面からの労働力の供給を容易にする事で労働市場を拡大することが出来、買い手市場にすることが出来ます。
「商品市場の規模の縮小」は、商品の過飽和、購買人口の減少によって発生します。
“商品の過飽和”が、少量多品種生産を要求し強いては安い労働力市場の要求に繋がることは先述しました。
賃金の引き下げは、購買力の低下となり商品市場の規模の縮小となりますが、それに伴って供給側の規模が縮小し需給バランスが取れれば、それ以上の価格引き下げ要因とはなりません。
しかし、管理経済下で需給バランスを調整出来るなら問題はないかもしれませんが、自由経済下では供給側つまり生産者(メーカー)が倒産等で市場からの撤退を余儀なくされるか海外のような全く別の市場に移動しない限り過当競争が続きます。
“購買人口の減少”です。
一つは、人口そのものが減少する場合です。
二つ目は、人口数は変わらないが年齢構成等の変化によって購買人口が減少したり変化します。
購買人口の減少は市場規模の減少をもたらし、aで見てきたように労働賃金の低下、さらなる市場の縮小へと繋がります。
以上、長々と述べてきた事を、戦後の日本経済の動向を見ることで検証してみたいと思います。
途中何回かのリセッションを経て、1990年(平成2年)橋本内閣によって総量規制が発動され、バブル経済が崩壊するまで続きます。
日本の高度成長気と言われる時期は、1971年(昭和46年)のニクソンショックで終わり、1973年(昭和48年)に勃発した石油ショックを経て安定期に入ります。
商品の変遷を見ると、1950年頃から家庭用電化製品が普及し始め1960年(昭和35年)頃の3C(カラーテレビ、クーラー、カー)へと新しい商品やテレビのように高機能化した商品が新しい市場を次々と作り日本経済は成長を続けました。
労働市場はと見ると、当時いわゆる団塊の世代が労働力として投入されていましたが、国内の生産活動が活発で労働力は完全な売り手市場でした。
そこで軽工業、例えばおもちゃ産業等は、台湾や韓国で生産して日本へ輸入するという方法を採り始めます。つまり、安い労働力を海外へ求めて行きます。
労働力の安い海外での生産は、国内の労働力市場に賃金の引き下げ要因として働かねばならないのですが、海外生産の規模が小さかった事とバブル崩壊までの日本の労働需要の強さから余り問題にはなりませんでした。
これは、“安い商品の輸入”という事象としてとらえることが出来ますが、もう少し踏み込んで考えると“安い労働力の輸入”であると言えます
この“安い労働力の輸入”が拡大して量的に増えれば、国内労働力の賃金の引き下げ要因になります。
これが、デフレ経済に誘導する最大の要因になると考えます。
また、その他の要因についても検証してみたいと思います。