平成24年6月28日
8月21日のBSフジのプライムニュースを見ていると、自民党から 町村氏(国土強靱化総合調査会顧問)、 民主党 から櫻井氏(民主党政調会長代理)が出演しておられました。
討論の冒頭、町村氏から「地方へ行ってみなさい、建設業者の倒産が凄い。 地方の雇用、活力は衰退してしまっている」「民主党は、公共投資の削減ばかりやっているが、それで良いのか。」という発言がありました。
だから「強靱化政策によって公共投資をどんどんやらねばならない。」と言いたげに聞こえます。
何故かについては、大和総研チーフエコノミスト熊谷氏が討論の中で公共投資の経済的効果、雇用についてパネルで説明しておられますので後述します。
詰まり、時代と共に産業構造は変化し、何時までも同じ業種が産業の中心にいることはあり得ないのです。
戦後の焼け野原からの日本の復興期には、建設業には多大な需要があり、それに関連した業種も一緒に拡大して行きました。
この15年位前からの中国が、同じような状況にあったのでご理解頂けると思います。
しかし、この新規建設需要が一巡すれば、建築物は耐用年数が長いので当然需要は激減しますしそれに携わる業者も過剰になってくるのは必然と言えます。 それでも業者を保護しようとすれば、不必要な道路や建物を作り続けなければなりません。その結果、作り終わってからの維持費に莫大な費用がかかる事にもなります。
本当に「巨大なコンクリートが、人の命を救った」のでしょうか。
3.11の津波で「まさかこんな巨大なコンクリートの防波堤が、いとも簡単に押しつぶされてしまうのか」と驚きを持ってみていた人の方が多いのではないでしょうか。
1987年には、1兆円の投資に対して1.3〜1.4兆円の効果がありましたが、2011年には1.2兆円弱にまで落ち込んでいます。
つまり、公共投資(建設投資)の経済効果はどんどん減ってきていると言えます。
更に熊谷氏は、業種別の労働力の吸収分布をパネルで説明しましたが、投資額に対して経済効果は悪いが吸収力のあるのはサービス業、経済効果が大きく吸収力があるのは自動車産業等と言うことです。
建設業はと言うと、経済効果、労働力の吸収力も良くない業種に上げられています。
こうした公共投資は、最もその必要を実感している場所の人々が選別から実行迄責任を持って進めるシステムを作るべきだと思います。
また国がやらねばならない公共投資については、何故必要なのか、本当にその予算が適正なのか、といった情報をきちんと国民に公表し、説明をして承認を取ってから実施する必要があると熊谷市は述べています。私もその通りだと思うのです。
これまでに他国でも国際収支が赤字になった時、その国の国債価格が暴落しています。
だから日本でも、2015年は要注意です。」と述べています。
加えて、国債の暴落は、国際社会での国力の評価が大幅に下がる事に繋がり、円の急落を招く可能性があります。
「円が下がれば、輸出産業が回復して日本経済にはプラスになる。」という見方ができますが、最大の輸出産業である自動車や電気産業は、海外生産へのシフトが進んでいて期待するほどの効果がでない可能性があります。
それよりも、食料、燃料等最も国民生活に近い商品が高騰して場合によってはハイパーインフレになる可能性があります。
ハイパーインフレは、約1,000兆円と言われる国の借金をほとんど何もしないでチャラにする方策です。
国の借金はチャラになるでしょうが、日本経済、国民生活は破壊されることになります。
冒頭の町村氏の発言から推測すると“建設業の救済”がかなり大きなウエイトを占めているように見えます。
但し、ネット版では、産業構造別労働力吸収効果等一部がカットされています。