ムリなくムダなくすぐできる漢字指導

大阪教育サークルはやし 原田 誉一


 最小の努力で最大の効果を得る何かうまい方法はないか、そんなことを考えながら、読み・書き・計算の指導をしてきました。
 その中から今回は、「書き」の漢字指導について報告します。
  
1.ムリなくできる新出漢字の指導
本校では、そうじ終了時刻は午後1時45分になっています。
 けれどうちの学級では、5分早くに終わらせ連絡帳を書かせます。 連絡事項は黒板に書かず、口頭ですませます。1回しか言いませんから聞きのがした子はこまります。
 だからでしょうか、子どもたちは、そうじが終わると素早く連絡帳を開きえんぴつを持って構えています。なかには、わたしが連絡事項を言う前に、もうほとんど書き終えている子もいます。宿題は@音読A漢字B計算Cたて笛と毎日きまっています。後はどこをするかだけですから、そこだけ空けて連絡帳を先に書いてる子が多いのです。
 さて、ようやく新出漢字の話。実はこの連絡帳を書かせるときにやってしまいます。宿題A漢字のときにです。
 まず漢字ドリルを使って本日の新出漢字のところをつれ読みします。たとえば「橋」という漢字ならこんな具合にです。
「はし」「はし」
「キョウ」「キョウ」
「川に橋をかける」「川に橋をかける」
「古い石橋」「古い石橋」
「高いたてものにかかった木から、はしのいみ」「高いたてものに かかった木からはしのいみ」
 これだけで20秒です。
 つぎに、漢字練習をします。
 @空書き……私が書くのにあわせて空中に2回書く。画数も言う。
 A指書き……ドリルを見ながら指で2回書く。画数も言う。
 Bなぞり書き…ドリルにある薄い漢字の上をなぞって1回書く。
 C写し書き…ドリルと連絡帳に1回ずつ書く。
 これだけで1分ほどです。
 教室での新出漢字指導はこれでおわり。あとは、宿題で漢字帳1ページ分に書き順や成り立ちなども書き練習させています。

※指書き・なぞり書き・写し書きなどの漢字指導のシステムは、向山洋一氏が考えらました。
 
2.ムダなくできる漢字のたしかめ
 「漢字のたしかめ」とはいわゆる「漢字テスト」のことです。わたしはあえて外来語を使うのにかなりの抵抗感がありますので、こう言っております。
 まあ、それはさておき、この漢字のたしかめ、毎日1時間目がはじまる前後にしています。
 教室に入るとすぐB5を半分に切った紙をくばります。この紙、再利用紙です。ウラ紙とも言いますね。ムダなくしてるでしょ。
 くばりおわって朝のあいさつをします。
「おはようございます」「おはようございます」  
「今日は○月○日○回目。1番。合図としるし」
 そういうと子どもたちはウラ紙に「合図としるし」と書きます。
「2番。大事なことを表す」
 また子どもたちはウラ紙に「大事なことを表す」と書きます。
 これを5番までします。
終わると、となりの子と交換をし、漢字ドリルを見ながら答え合わせを各自でします。
 試験用紙(ウラ紙)は、専用台紙(色画用紙を切ったもの)に貼り、つづるようにしています。
 1つでもまちがえていたら、漢字帳1ページ分に今日出た@からDまでの例文を書かせます。空いたマスにはまちがえた漢字の練習もさせます。これはつぎの休み時間にさせています。5分ほどでおわる子が多いです。
 そして次の日もまったく同じ箇所を出題します。そう、2日ずつ同じところを出題するのです。
 しかもです。どこを出題するかは前日に知らせてあります。連絡帳を書くときに、明日出る例文はドリルを見て写させています。  ですから、半数以上は1日目で全問正解します。そして2日目になるとほとんどの子は全問正解します。 
 
3.すぐできる読みの指導
 教科書で新しい題材を読む前に、漢字ドリルを使って漢字の読みの練習をさせます。
 まず、漢字ドリルにあるその題材の例文@からSまでをつれ読みします。
 つぎに、となりの子同士で練習します。一人が先生役です。先生役はウラのページにあるひらがなで書かれた例文を見て、となりの子が正しく読めたかをみます。できたら「○」まちがえたら正しい読み方をその場で教えます。@からSまで正しく読めたら交代です。

 だらだらと3ページも書いてしまいましたが、どれもホントに、ムリなくムダなくすぐできます。
 学期のおわりには恒例の漢字試験をします。1学期には100字もの漢字を学習しましたが、その100字すべてを試験しました。これは全部書けるまで何回もさせました。
 結果、全員合格です。毎日のつみ重ねが実を結んだのでしょう。