模型で辿るビートマニア(5鍵盤)シリーズの歴史


それは、あるプライズゲームから始まった…

コナミが1997年2月末に発売したプライズゲーム『みらくるすぴん』。
所謂、クレーンゲーム機の亜種の1つだが、このゲーム機には他とは違うユニークな仕掛けが加えられていた。
2つの操作ボタンにはそれぞれ、シンセリードの音色やブラスセクションの音色が割り当てられ、
更に景品補充時やメンテナンス中に、本体のガラスドアを開けている時にボタンを押すと、
バスドラム・スネア等のドラムセットの音色を鳴らす事が出来る。
当時この筐体を手掛けたスタッフ達は、開発の合間にこの機能で遊んでいた時に音楽をメインとしたゲーム、
それも当時ブームになっていた『クラブミュージック』をテーマにしたアーケードゲームを発案する。
『クラブミュージック』がテーマであるため、純粋な楽器演奏ではなく『DJシュミレーションゲーム』として開発が始まり、
様々な筐体のイメージイラストを元に検討がなされた。
タイトル不明 DJ BEATS A
DJ BEATS B GR753
以上のイメージイラストの中から「GR753」をベースに業務用筐体が開発される事になった。

デビューに先立ち、4台の試作機が製作された。
1次試作機「のりたま」、2次試作機「えくれあ」「うれたン」「たんぱく」と名付けられた4台の試作機は、
それぞれ社内検討用や各地へロケテストに供出され、貴重なデータは量産型へと反映された。

因みに「みらくるすぴん」のゲーム中のBGM「luv luv Reggae」は後にリテイクされ、「Jam Jam Reggae」として「ビートマニア」の楽曲として収録された。
(『BEATMANIA 2NDMIX COMPLETE』サウンドトラックより)


ビートマニア

1997年12月登場。
記念すべきシリーズ第一弾。

『君は「CLUB SAGAWA」の飛び入りDJとして、ダンスフロアのオーディエンス(客)を盛り上げるのが目的だ!!』

本番の前に「DJ KONAMI」に促され、DJに必要な様々なテクニックのレクチャーを受けてから、
無事にDJデビューをこなした後、クラブ専属DJ「Ninety」から『DJ BATTLE』 の挑戦状が叩きつけられるぞ!
様々な困難を乗り越え、coolなDJテクニックでオーディエンス達を湧かせよう!!

この筐体は、実質的にロケテストバージョンの最終型としての扱いが強く、
現在では当たり前となった『ダブルプレイ』が搭載されていない。
演奏中の悪い判定表示に『WORST』と表示されているが、後の作品から『POOR』に変更されている。
ゲーム中に現れる女性(「CLUB SAGAWA」のオーナー)は、このバージョンのみの登場で、
現在は幻のキャラクターとなっている。

代表曲…「20,NOVEMBER」-N.A.R.D-


ビートマニア2ndMIX

1998年3月登場。
初代登場の約3ヵ月後にデビュー。前作からの曲と合わせて21曲収録。
前作では、大道芸的ネタの1つとされていた『ダブルプレイ』が正式なゲームモードとして搭載。

・演奏中の判定表示の1つ『WORST』が、この作品から『POOR』に変更。
・譜面が途中で消える「ヒドゥン」モードを搭載。

『プレイヤーは飛び入りDJとして、クラブを盛り上げる』という前作でのストーリーは、この作品以降、端折られてしまった。
日本の「プレイステーション」向けに発売された家庭用「ビートマニア」は、このバージョンがベースになっている。

代表曲…「E-MOTION」-E.O.S-


ビートマニア3rdMIX

1998年9月登場。
大ヒットした家庭用「ビートマニア」のオリジナル曲も一部収録。隠し曲含め全24曲。
『BEMANI』シリーズでは必須のフィーチャーとなった『コンボシステム』が本格的に導入された。

・家庭用「ビートマニア」に搭載されていた『ミラーモード』が実装。
・2人プレイで同じ譜面で演奏する『バトルプレイ』搭載。
・高難易度譜面『アナザー譜面』が登場。
小型筐体は、このバージョンから初登場した。

代表曲…「super highway」-nouvo nude-


ビートマニアcompleteMIX

1999年1月登場。
前3作品の収録曲を全て網羅。業務用初のインターネットランキングを導入。
・最上位判定『JUST GREAT』が、正式に登場。

代表曲…「quick master(reform version)」-Yohei Shimizu-


ビートマニア4thMIX-the beat goes on-

1999年4月登場。
家庭用の要素も取り入れて、システム・グラフィック共に大幅に変更。
「DDR」 からの移植曲など、収録曲も全て新曲。

・コマンド入力で、プレイ中の画面のフレームカラーが変更出来る。
・難易度表記が7段階になった。

同じ頃、上級機種『ビートマニアII DX』がデビュー。

代表曲…「RUGGED ASH」-SYMPHONIC DEFOGGERS-


ビートマニア5thMIX-Time to get down-

1999年9月登場。
前作『4thMIX』から約半年後にデビュー。
主なシステム・グラフィック共、前作からの変更は少ないが、DDRシリーズでお馴染みの東芝EMIと提携、
さらに家庭用「ビートマニアGOTTAMIX」からの移植曲も収録。全44曲。
以下の機能が追加された。

・譜面のスクロール速度が速くなる「HI-SPEED」
・途中から突然譜面が現れる「SUDDEN(サドゥン)」

代表曲…「HELL SCAPER」-L.E.D.LIGHT-G-


ビートマニアcompleteMIX2

2000年1月登場。
『4thMIX』『5thMIX』からの収録曲とそれ以前のバージョンの曲、さらに新曲を加えた総勢65曲。
難易度も9段階に上昇。以下の機能が追加された。

・2P側の鍵盤と1P側のターンテーブルを使用する「1P-CENTER PLAY」
・ダブルプレイ時に、1P側と2P側のゲージが画面中央寄りになる「IIDX-DOUBLE」
いずれも当時大人気の「ビートマニアII DX」のプレイ感覚を、この筐体で再現するための試みであった。

代表曲…「321 STARS」-DJ SIMON-


ビートマニアClubMIX

2000年3月登場。
大手レコード会社「ソニー・ミュージックエンタテイメント」との提携。
有名J-POPや、テレビドラマのテーマソングのリミックス曲も多数収録。全31曲。
グラフィックはそれまでのアンダーグラウンドな雰囲気から一転して、ポップ調になっている。
難易度も比較的低い。

ほぼ同じ頃「ビートマニアIII」がデビュー。

代表曲…「太陽にほえろ(衝撃のテーマ)」-U10G(REMIXED)-


ビートマニアfeaturing DREAMS COME TRUE

2000年6月登場。
有名J-POPグループ「ドリーム・カム・トゥルー」とのコラボレーション作品。
特定アーティストとの提携作品は、業務用「ビートマニア」では初となる。
(家庭用では、「ピチカート・ファイヴ」等で有名な、小西康陽プロデュースによる「THE SOUND OF TOKYO!」が存在。)
本人歌唱の曲の他、コナミコンポーザーによるリミックス曲も収録。全18曲。
家庭用移植版はコナミリミックス曲が一部削除されている。

この半年前、「ダンシングステージfeaturing DREAMS COME TRUE」も登場している。
タイトルは同じだが、双方の筐体によるリンク機能は無い。
(「ダンシングステージ(国内版)」参照)


ビートマニアCORE REMIX

2000年11月登場。
2ndMIX収録曲のリミックスを主体に構成されている。全25曲。
元々は「ビートマニアIII」の豊富なエフェクト機能を生かし、
自由度の高い演奏を実現するべく、開発されていたバージョンである。
諸般の事情により販売戦略の変更を余儀なくされ、この2種類の筐体は「THE FINAL」まで続くことになった。

家庭用(プレイステーション)は「6thMIX」とのカップリングとなっており、現在の所、家庭用「5鍵版」最終作である。

代表曲…「KOUYOU」-youhei-


ビートマニア6thMIX-THE UK UNDERGROUND MUSIC-

2001年7月登場。
英国のクラブシーンで実際に活躍するアーティストとタイアップ。全27曲。
初期のテーマでもあった「アンダーグラウンド」な雰囲気が前面に押し出されている。

家庭用(プレイステーション)は「CORE REMIX」とのカップリングとなっており、現在の所、「5鍵盤」最終作である。

代表曲…「Feel The Light」-TOMOSUKE-


ビートマニア7thMIX-keepin' evolution-

2002年1月登場。
日本語ヒップホップの収録等、前作と対照的な存在。全32曲。
前作曲も全て収録。現在も家庭用に移植されていない。

・プレイ画面に、「ビートマニアII DX」と同様の「セパレートフレーム」を選択可能。
・1回転スクラッチが登場。(緑色の長方形のオブジェ。オブジェの始点から終点までターンテーブルを一回転させる。)

代表曲…「CODE RED」-RAM-


ビートマニアTHE FINAL

2002年7月登場。
その名の通り、本シリーズ最終作。
「THE FINAL」専用曲に加えて、これまでのシリーズ曲の人気投票の結果と、
さらに「ビートマニアIII」の収録曲も追加された。
全189曲の収録を実現するために、モニター中央に映し出されるムービーは大幅に縮小された。
現在も家庭用に移植されていない。

・「STEALTH」(ステルス)モード搭載。完全に譜面が見えなくなる。以前の「HIDDEN」+「SUDDEN」と同義。
・一方、「HIDDEN」+「SUDDEN」モードは「ビートマニアII DX」における同オプションに合わせて、
「HIDDEN」と「SUDDEN」が作用する境界付近に一瞬だけ譜面が見えるように変更されている。

代表曲…「西新宿清掃曲」-サイモンマン-


ありがとう5鍵版…

Thank you.5key's…


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