ハングオン

実機について 1985年、セガから登場したバイクレースゲーム。
タイトルにある「ハングオン」とは、高速走行中にカーブに差し掛かった時に、ライダーの体重移動によって路面側に大きく傾けて、
速度を落とさずにカーブを曲がるテクニックである。
これまでのレースゲームのように、自機の操縦にハンドルを一定方向に動かすのではなく、
着席した筐体を実際にプレイヤーが傾ける事で操作する方式を取った、世界初の大型体感筐体である。
実物と同様にハンドルの右グリップを手前に捻ると加速し、戻すとエンジンブレーキが掛かる。
急減速するにはブレーキレバーを握る。
ブラウン管モニターもキャノピー(風防)部分に綺麗に収められており、違和感の無い造形となっている。

走行するコースは、アルプス・グランドキャニオン・都会の夜・シーサイド・サーキットの5種類。
スタート時に与えられたタイム内までに、各ステージ終端のチェックポイントを通過するとタイムが増加され、
停止する事無くレースは続行する。
敵車に接触しても強制的に減速するだけで、他社のレースゲームのように瞬時に爆発するような事はなく、
看板などの障害物に衝突するとバイクとライダーが別々に飛ばされたり、タイムオーバー時にも様々な細かい演出が入る等、
ゲーム性も重視しながら本物志向に拘った作品である。

業務用続編として、1986年にモトクロスを操作してダートコースを走る「エンデューロレーサー」、
1987年にはコースを追加したバージョンアップ版の「スーパーハングオン」が登場した。
このゲームの登場により国内外のゲームメーカー各社も追従するようになり、"体感ゲーム筐体"の先駆けとして現在も影響を与えている。

作品について アーケードミニチュアサイト開設2年目に突入し、ついに記念すべき世界初の体感筐体をミニチュア化いたしました(笑)
バイク筐体製作も当展示サイト初となります。

かなり以前にセガは、「ハングオン」を始めとした代表的な体感筐体ミニチュアを数種類発売した事があって、
情報に疎い作者が気付いた時には既に手遅れ…
しかし、3年位前に再びSEGAの筐体ミニチュアシリーズの企画が出た時は、すぐに模型通販サイトに予約。
ワクワクしながら発売を待ってたんですが、いつまで経っても発売延期のメールが来るのみ。
結局、1年以上待たされた挙句、詳しいラインナップすら判らないまま発売中止のお知らせが…(´;ω;`)
てなワケで、今回同時に製作した3種類のバイク筐体ミニチュアには、そんな無念の思いを込めて製作しています。
3機種共通として大半の部分の材料はスチレンボードですが、バイクらしく出来るだけ滑らかな流線型を出したくて、
同じく流線型の研究を兼ねて製作した「メタルホーク」での反省も生かし、扱いの苦手な木工用エポパテも多用しています。
必要な厚みに貼り重ねたスチレンボードに資料を見ながら下書きを描き、画像を見ながら慎重に彫刻。
気泡や切り込み過ぎた場所にはエポパテで修正を繰り返して製作しました。
それでも微妙に似てないですが…
このゲームのアピールポイントである筐体の左右への傾斜も、簡易な構造ですが再現しました。

何よりも一番厄介だったのは、筐体に跨らせるフィギュアの製作です。
フジミ模型の1/24フィギュアセットの中にある、机に座って作業をしている風の男性フィギュアを大改造しました。
ドライヤーの熱で股を大きく開いて、首や腕を切り離して角度を変えています。
元々苦手な分野なので、筐体ミニチュアよりもかなり荒い造りになっちゃいました。

戯言 解説にあるように世界初の大型体感ゲーム筐体として知られていますねぇ。
今や体感筐体はレースゲームのみならず、3Dシューティングや乗り物系シミュレーターなど様々なジャンルがあります。
中には犬の散歩を体感するという、一風変わったゲームもあったり…
まさに歴史の始まりと言っても過言ではない、革命的なゲームです。

作者とこのゲームの出会いは、地元・大阪市西成区にあったボウリング場でした。
1階から2階へ上がる階段の側にある西側の突き当たりのスペースに、「エアホッケー」の近くに真っ赤なバイク筐体が鎮座してました。
興味はそそられたんですが、1日の小遣いが100円という厳しい状況では大人が遊んでいるのを見ているだけしかできず、
(このボウリング場のビデオゲームは一律100円)
後日、家族でこのボウリング場に出掛けた時に上手くおねだりして1ゲーム遊ばせてもらいました♪
早速筐体に跨ってみたものの、筐体の重さもあってなかなか上手くカーブを曲がれない…
結局、途中で兄貴と交代した記憶があります。
割と遅くまであちこちのゲーセンで見掛けた筐体でしたが、シューティングゲームばかり遊んでいたために殆ど触らず、
久々に遊んでみたくなっても既に撤去され、全国で現存する筐体も僅かに…
しかし、2013年12月に東京へ一人旅の折に有名なレトロゲーセン「高田馬場ミカド」に立ち寄り、約20年振りに再会しました。
颯爽と跨ってみましたが、腕の方は相変わらず1985年から全然進歩してません。


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