「じゅうだいめ?」
掠れたままの声で呼びかければ、肩に回されたままの腕で再びぎゅうっとしがみつかれる。
もぞもぞと体を動かして擦り寄ってくる10代目の仕草が愛らしかった。
「ごくでらくん、オレ、こっちでねてもいい・・・?」
「もちろんかまいませんけど、・・・シーツとかぐちゃぐちゃですよ?」
同じように掠れた10代目の声に再び欲が灯りそうになるのを息を飲み込むことで押しとどめ、
なるべく平静を装って返事をする。
そうすると10代目は嬉しそうに笑って頬にキスをしてくれた。
「いっしょにねよーね、あしたもしゅぎょう、がんばろーね」
日々の修行でたまった疲労のせいか、それとも精を吐き出した疲れのせいか、その口調には眠気が混ざり始めていた。
汗で張りついた髪の毛を撫でてとかし、現れた額に口付けを落とす。
「はい、一緒に寝ましょう。明日からもがんばりましょう。・・・おやすみなさい、10代目」
うつらうつらと夢の世界に誘われながら、オレの言葉に嬉しそうに頷いた。
それからほどなく、10代目はすうすうと穏やかな寝息を立て始めた。
眠りを妨げないようにそっと唇にキスを落とし、名残惜しく思いながらも体を離した。
机にあるティッシュを持ってベッドに戻り、
起こさないように慎重な手つきで体液に濡れた10代目の体をぬぐっていく。
下になっていた分、吐き出した精液のほとんどが10代目の体にかかっていた。
新しいティッシュを抜き取り、体をぬぐう動作を何度も繰り返す。
ようやく10代目の体を拭き終わり、自分の腹を適当にぬぐっていると、カリカリと小さな物音が聞こえてきた。
耳をすませばその音はドアの向こうから聞こえてくるようで。
何かと思い近づいてみれば、音の発信源は床の近く、足元からだ。
その音を出している主に思い当たり、ドアを少しだけ開けてみる。
そうするとドアの隙間、足元から、小さな仔猫が体をしならせ室内に入ってきた。
「にょおん」
「遅かったな」
しっぽまで入りきったところで再びドアを閉めてやると、
瓜と名づけた仔猫はその間に素早い身のこなしでベッドの2階へと上がり、布団の中に潜り込んでしまったようだ。
「・・・ってめ、なに10代目のベッドで眠ろうとしてやがんだ!お前には床で十分だろ、床で!」
大声で怒鳴ったところでどこ吹く風のその仔猫は、小さな声でのオレの注意など聞くはずもなく、
ごろごろとのどを鳴らしたあとはなんの反応も返さなくなった。
はぁ、とひとつため息をつき、ベッドの中に潜り込む。
先に休まれた10代目の体を抱き寄せて、互いの体に布団をかけて目を閉じた。
一晩眠って、また明日からは修行が始まる。
倒さなければならない敵、慣れない戦い方、周りの人間との10年の差、
克服しなければならないものはたくさんある。
けれどそんなものに負けてはいられない。
この世界に来てから何度も繰り返した覚悟を再び決める。
ミルフィオーレを倒す。入江正一を、白蘭を、γを倒す。
この人と共に元の世界に戻るために。
この人と共に在る世界のために。
End
................
お待たせしてしまいました、
Mさんより「夜這い」のリクエストをいただきました。
当初考えてた話がことごとく前に書いた話とかぶってしまってうなってたんですが、この辺りで落ち着きました。
最後までいかなくてすみません。
でもさすがに獄寺がゴム持ってたら引くな、って思って。
ツナの体を思って結局鬼畜行為は常套手段でした。ごめんねツナ。(心がこもってない)
それにしてもなんかこの獄寺腹立つな。
すぐツナにころっといくくせに。
自分で読んでて普段より少しへたれてない獄寺にちょっと腹立ちました。
へたれのくせに。
・・・へたれてないよね?この獄寺。んん??
SISTEMA C.A.I.はとても嬉しかったので、
そして自分の中で整理するために組み込んでみました。
修行がうまく進み始めてからは、少しくらいはこういう余裕もでてくるんじゃないかと、
未来編の二段ベッドというおいしいシチュエーションも使いたかったりなんだったりで、
こんなお話になりました。
少しでもお楽しみいただければ幸いです。
(2008.06.22)
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