ベッドに背中を預けて座った足の間には、獄寺君がいる。
ひざを立てさせられて広げられた足は、とっくにズボンも下着も取り払われていて。
与えられる快感に素直に身を預けていた。
「はっ、は・・・あっ」
オレがたまらずに声を出すと、しばらく同じ場所を同じように、しつこく刺激される。
先端を口に含まれて、手で袋を撫でられる。
反射的に足を閉じようとしても獄寺君の体に当たるだけで、行為を止めることはできない。
足を動かして閉じる仕草をしたからか、オレの根元を支えていた手を片方太ももに当ててまた広げるように動かされる。
オレの先走りと獄寺君の唾液で濡れた手の感触が気持ち悪くて、手から離れるようにまた足を開いた。
するとくわえられた先端を軽く噛まれて、声が漏れる。
「う、んっ・・・」
何度もやわやわと歯を立てられて、おかしくなってしまいそう。
すがるように獄寺君の肩に手を置いて、力を入れる。
すると歯を立てたそこを癒すように、何度も舌を這わされた。
「あッ・・・も、そこばっかり、やだぁ・・・」
敏感なとこばかりを刺激されて、思わず弱音を吐く。
「でも・・・気持ちいいでしょう・・・?」
性器を唇から離して指先で先端をいじられる。
さっきまでのやわらかい刺激と変わって急に強い刺激を与えられて、目にたまっていた涙がこぼれる。
「ほら、いっぱいあふれてきましたよ」
獄寺君が指を動かすたびに、ぐちゃ、と水音がする。
嫌だ、と思ってもあふれた体液は手の動きを早める手助けをするばかりで。
「は、ぁ・・・もぅ、出ちゃう・・・」
急に根元を締め付けられて、体が震えるのが自分でも分かった。
そうして射精するのを止めたまま、もう一度性器を飲み込まれる。
締め付けていた指でそろりと裏筋をなでられ、射精感が高まる。
舌を使って、搾り取るようにほっぺたをすぼめてきつく吸われると、
我慢する暇もなく、獄寺君の口の中に吐き出してしまった。
ごくん、と出したものを飲み込む音がやけに大きく聞こえた。
はぁはぁと息を整えていると、その間に獄寺君がティッシュできれいに拭いてくれた。
体を起こして唇に軽くキスをされる。
すぐに離れていく獄寺君の顔をじっと睨みつけた。
「・・・離して、っていう意味だったのに」
「ごほうびなんですから、好きにさせてもらっても良いかと思って」
こんな時までいつものように綺麗に笑う獄寺君が恨めしく思えて。
視線を下に落とした。
「・・・獄寺君、キツくない・・・?」
オレの視線の位置から何を見てそう言うのか分かったようで、獄寺君は苦笑しながら答えた。
「すみません、トイレ、お借りしていいですか?」
「だめ」
「・・・10代目〜・・・」
獄寺君の申し出を一言で却下すると、途端に情けない表情と声になる。
オレは獄寺君にされたのに、獄寺君は自分でやるって、何だか不公平じゃないだろうか?
それにオレがこんな風になってるのに、獄寺君が涼しい顔をしているのが悔しい。
というより、もっと獄寺君のいろんな表情が見てみたいっていうのが、一番の理由かもしれない。
「オレがやってあげる」
そう言って手を伸ばすと、獄寺君の膨らみに触れる前に手をつかまれた。
「10代目は、そんなことしなくて良いですから」
困ったような、少し照れたような、複雑な顔でやっぱり笑う。
拒まれたのが悲しくて、顔をゆがめた。
すぐに下を向いたから、獄寺君には見えてないだろうけど。
「じゃあ、そのままでまた勉強教えてくれるの?」
「・・・、10代目が、それでもよろしければ」
オレの言うことは聞いてくれるのに、オレの考えてることは分かるのに、
オレのやりたいことをやらせてくれない。
それが悔しくて、意地になってしまう。
「じゃあ、命令だったら、させてくれる?」
「・・・・・何で、そんなにやりたがるんですか?」
下を向いたままだから、獄寺君の顔は見えない。
でも聞こえてくるのは困ったような声で。
「何で」と言われたらそれはやっぱり「悔しいから」で。
オレばっかり恥ずかしいのは悔しいし、
獄寺君ばっかりにさせるのは悔しいから。
オレだってやりたいし、獄寺君の色んな顔を見てみたい。
いつもオレがわけがわからないうちに終わってしまうから、獄寺君の表情を見ることもかなわない。
だからこれって、獄寺君の表情を観察するチャンスなんだ。
「獄寺君にしてもらうばっかりは嫌なんだ。オレだってしたい」
「・・・10代目・・・」
「そんな理由じゃ、駄目?」
顔を上げると、何か考えている表情。
そしてようやく視線を重ねて、
「嫌になったら、すぐ離して下さいね。無理しないって約束してくださるなら、良いです」
「うん。わかった」
嫌になることは、たぶんないと思う。
でもとりあえずの約束だけして、離された手を再び動かした。
ベルトをゆるめて ボタンをはずして ジッパーをおろして。
自分のなら簡単にできるのに、人のだと少し時間がかかる。
こんなところで他人の手がごそごそ動いてたら落ち着かないだろうなぁと考えながら、できるだけ早くと自分を急がせる。
「10代目・・・ゆっくりで、構いませんよ」
何でオレの考えてることが分かるんだろうと思って顔を上げると、いつもとどこか雰囲気の違う表情があった。
何が違うのか、はっきりとは言えないけど、いつものやわらかい雰囲気が消えているような気がする。
その獄寺君にまっすぐ見つめられて、ぞくりとした。
慌てて下を向いて、止まっていた手を動かした。
ジッパーをおろす時に膨らみを刺激して、獄寺君が息を詰めた。
下着越しに指を触れさせると、詰めた息を吐き出す。
その時に漏れる小さな声がオレの鼓膜を振るわせる。
いつもと違う状況に、鼓動が早くなってるのが分かる。
どきどきどき、と自分の心音を聞きながら、次に何をすればいいのだろうかと考える。
たぶん直に刺激すればいいのだろうけど、獄寺君は正座を崩した形で座っているので、下着を脱がしにくい。
でもこのままでは窮屈だろうから、思い切って性器を取り出すことにした。
下着の上から形を確認するように動かしていた手を上に持っていき、下着と肌の間に手を滑らせた。
引き締まった腹部をそろりと撫でて、薄く生えた毛をたどり、性器に行き着く。
そこは熱を持っていて、ゆっくりと握りこむとびくりと震えた。
獄寺君の表情を伺うために恐る恐る顔を上げると、いつもより少し息を荒くした獄寺君が眉を寄せていた。
その表情が色っぽくて、どきりとする。
もっと色んな表情が見てみたい。
そう思うと、手は勝手に動いていた。
さっきよりも強く握って、上下に動かして刺激する。
くびれの部分を親指でこすり上げた。
「っ・・・」
獄寺君の声を聞いていると、何だかオレまで変な気分になってくる。
短く息を吐きながら、獄寺君はオレの後ろにあるベッドに手をついて体を支えている。
顔を伏せているから前髪が顔を隠すように垂れてきているけど、その隙間から見える表情は快感を隠し切れていない。
「ぅ、・・・っ」
声とともにベッドがぎしりと音を立てる。
先端をなでていた指先に、ぬるりとした感触が感じられた。
あふれてきた液体を指で広げる。
オレのつたない刺激でも感じてくれているのが嬉しくて、獄寺君のほっぺたにキスをした。
「10代目・・・」
その声が、妙にかすれていて、ぞくぞくする。
こんな声を出させているのがオレなんだって思うと、すごく嬉しくなる。
体液ですべりがよくなった手をだんだん早く動かしていくと、獄寺君が体を硬くした。
「っ、10代目、出ます・・・から、離して、下さい」
途切れ途切れの言葉を食いしばった歯の間からつむぐ。
「いいよ、このまま出して」
親指で先端を強く刺激してそう言うと、獄寺君が息を詰めた一瞬後に、手のひらの中に暖かいものがあふれた。
眉間にしわを寄せる仕草はいつもと同じものなのに、その表情は、いつもと違う。
知らない獄寺君の表情を見ることができて、思わずオレは表情を崩していたようで。
獄寺君に恨みがましい目で見られていた。
「・・・離して下さいって言ったじゃないですか」
「それ、さっきのオレのセリフだよ」
目を合わせて二人で笑って。
「お互い様ってことで」
同時にそう呟いて、また笑った。
オレの心の中が複雑に混ざり合った酸素と水素みたいだというのなら、
この両手はその答えを導いてくれる獄寺君の両手を握り締めよう。
その様子はたぶん教科書に載っている酸素と水素のイラストみたいだろうと思って、こっそり笑った。
End
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・・・獄ツナ獄って、こういうののことですか・・・?(汗)
私は獄ツナを書いてたつもりなんですが。。。
最初は原作みたいな獄寺を怖がってるツナを書こうと思ってたんですけど。
そしたら、この流れ、おかしいじゃないですか。
ツナがただの淫乱になるじゃないですか。
なので最初を書き直したんですが、その結果があれです。
山本が当て馬です。
ごめん武・・・!
人間として、大好きよ!
ただね、私の小説ではそんな役回りしか残ってないの。
ほんとにごめんね・・・!
それを言ったらリボーンさんもこういう役ばっかりだなぁ。
まぁ、これだと話早いんで。(最低)
表現が少しやわらかい(?)のは、ツナの一人称だからってことで。
(2004.09.19)
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