「10代目、腰、上げてください」

オレの声に10代目は素直に従って腰を上げてくれた。
その隙にズボンと下着を脱がせてしまう。
ズボンと下着をひざの下まで下げていくと、自然と体が密着する。
10代目のあたたかな体温を胸に感じ、自分の心音や体温がさらに高まっていくのを感じた。
ひざの下で丸まったそれらから手を離して体勢を戻すと、
10代目の肩越しに頼りなさげに立ち上がったものが見えた。
怯えさせないように注意を払い、手のひらで優しく包み込んだ。

「・・・っ、」

たったそれだけでも息を呑む10代目を愛しく思いながら、
もう片方の手を腰に巻きつける。

「気持ちよかったら気持ちいいって、気持ち悪かったり痛かったりしたら、ちゃんと言ってくださいね。
10代目が気持ちいいようにしますから」

オレの言葉に10代目がこくこくと頷いた。
それを確認して包み込んだ手のひらをゆっくりと動かした。
無意識に吐き出された精はもう冷えてしまっていたが、
立ち上がるペニスはあたたかく、嬉しいような劣情を煽るような、
なんともいえない複雑な感情を呼んだ。

「・・・ぁ、・・・っ・・・」

ぴくぴくと10代目の体が震えている。
腰に回した腕から、密着した体から、震えが伝わってきた。
点々と付着していた精液が手のひらの動きに合わせて広がっていく。
くちゅくちゅと控えめな音が響き始めた。

「10代目?気持ちいいですか?どうですか?」

声をかければ二度頷かれる。
気持ちいいんだろうか、それともただ恥ずかしいだけだろうか。

「声に出して、教えてください」
「・・・あっ・・・きもち、いい・・・」

そう口に出した途端、びくびくと手の中のペニスが震えた。
自分の言葉にも反応してしまうほど、10代目は純粋だ。

「これは何も悪いことじゃありません。10代目が気持ちいいように手を動かして、吐き出したらいいんですよ」
「あっ・・・ぁ・・・」

単調に擦り上げるだけでも気持ちよさそうに息を吐き出している。
そんな10代目の様子を注意深く窺いながら、
特に気持ちよさそうに震える場所を強く擦る。

「あっ、ごく、でらく・・・そこ・・・ぁっ」

くちゅくちゅと音をさせながら徐々に手の動きを速くしていく。
パジャマの裾から手を入れて、震える腹筋に手を這わせた。
ずっとこの肌に触れたいと思っていた。
汗ばむ肌をゆったりと撫でる。
吐き出したオレの息にも熱がこもっている。

「10代目、見てください。先端から透明な液体が出てきたでしょう」
「あっ」

10代目はオレの言葉に素直に目をやり、すぐに逸らした。
恥ずかしいのか、首を横に振ってうつむいてしまう。

「これが先走りってやつです。言葉は聞いたことありますか?」

先端から溢れ出た体液が竿を辿り、
先にペニスを濡らしていた体液と合わさって
ぬちゅぬちゅと濡れた音は大きくなる。
硬く芯が通ったペニスをあやしながら指を伸ばす。
10代目の先走りに濡れた指でカリ首を撫でれば、
びくりと震えてさらに先走りが溢れ出した。

「あっ・・・」

きれいに仰け反る首筋にしゃぶりつきたい衝動に駆られる。
目を閉じた10代目はどう控えめに見ても気持ちよさそうだ。
オレの手で10代目がこんな表情をしているということに興奮が増した。
一気に下半身へと熱が集まっていく。
それを悟られないように少し腰を引いて、はぁ、と熱い息を吐き出した。
柔らかく先端を揉みこんで、溢れる先走りをまとって手を動かす。
もっと強く、乱暴に扱いてやれば、すぐにでも達してしまいそうだ。
だけど、もっと、もう少しでも長く、触れていたくて、
くすぐるような刺激を与え続けていれば、
ゆるゆると、10代目の腰が揺れ始めた。

「あ・・・はぁっ、ぁっ・・・」

オレの手のひらに擦りつけるように、
自ら快楽を求めて腰を動かしている。
その姿にオレの血液は沸騰しそうなほどに沸き立った。

「はぁ、はぁ・・・あっ、あ、あぁ・・・」

そっと手の動きを止めてみても、10代目はそれに気づかずに腰を動かしている。
気持ちよさそうな顔をして、気持ちよさそうな声を上げて、
オレの体に擦りつけて、快楽を得ている。

「10代目、気持ちいいですか?」
「あ!あっ、・・・もち、い・・・」

顔を仰け反らせのどをさらしながら、震える声で気持ちいいと教えてくれる。
手に少しだけ力を入れて圧迫感を増せば、
後頭部をオレの肩に擦りつけて一際高い声を上げた。
それでも腰の動きは止まらず、
筒の形に固定したオレの手から10代目のペニスの先がぴょこぴょこと顔を出している。
その様子に愛情とか欲情とか劣情とか、そういったものがオレの中に溢れ返った。
かわいい、愛しい、

「10代目・・・」

好きだ。
言葉にできない思いを込めて、10代目を呼ぶ。
体がびくびくと引きつって、ぴゅく、と白い精液が漏れた。

「あ・・・!」
「10代目、10代目・・・」

普段は口に出せない思いを込めて何度も10代目を呼び続ける。
10代目、好きだ、大好きだ。
10代目を抱きしめる力を強めれば、
ぐらぐらと煮立った頭では距離感がうまくつかめず唇が耳元を掠めてしまった。
慌てて顔を離してから、目に入った形のいい耳に再び引き寄せられる。

「10代目・・・」

10代目の中に直接呼びかけるように
吐息が触れるほどの位置で囁きかければ、
10代目の体はびくりと硬直する。
再びペニスに刺激を与えるために止めていた手の動きを再開させる。
くちゅくちゅと音を立てながら扱く動きを速めれば、
震える手が持ち上がり、腹に回したオレの腕に添えられた。

「っ・・・10代目っ・・・」
「あっ、ごく・・・でら、くん・・・」

再開されたペニスへの刺激にびくびくと体を震わせて途切れ途切れにオレを呼び、
10代目は細く鳴いて、体を強張らせて熱を吐き出した。

「ぁ――――・・・!」

びゅくびゅくと勢いよく吐き出される熱をすべて手のひらに受け止める。
10代目は硬直させた体を弛緩させると、ぐったりとオレにもたれかかるようになった。

「はぁっ・・・はぁ・・・」

まだ少し体が震えている。
体中にキスをしてなだめて差し上げたいけれど、
我慢して、気づかれないように、すぐ傍にある髪の毛に、そっとキスをした。

10代目の息が整うまで、しばらくそのままの体勢でいた。
少しずつ荒い息が収まっていき、10代目の体から無駄な力が抜けていく。
くったりとオレに体を預けてくださるのがとても嬉しい。

「ごくでらくん、ティッシュ・・・」
「あ、はい!」

ペニスに添えたままの手を精液が零れないように抜き取る。
それだけでぴくりと体を震わせる10代目に気分がよくなりながら
なるべく体を動かさないように手を伸ばしてティッシュを抜き取る。
手のひらを拭い、リストバンドまで伝い落ちたものを拭き取る。
今度は箱ごとティッシュを引き寄せ、10代目の股間を清めていった。

「ごめん、獄寺君・・・自分でやるよ」
「いえ、最後までさせてください」

けだるい様子で動かしている手に手を添えられ、どきりとする。
そんな内心を見透かされないように明るく返して手を動かし続ければ、
10代目はあきらめたのか任せてくださったのか、
何も言わずに再び手をシーツの上へと落としていった。

「気持ちよかったですか?」
「・・・うん」

きれいになった股間を眺め、丸めたティッシュをまとめてゴミ箱へと捨てた。
分かっていることを何度も確認させて、刷り込ませる。
オレの提案を受け入れてくれるように。

「これからも、オレを呼んでください。
お一人でうまく処理できないようであれば、いつでもオレがお手伝いさせていただきます」

こくりと頷く10代目に、不埒な期待が胸に起こる。
恥ずかしそうな表情、剥き出しの下腹部を盗み見て、
こくりと小さくのどを鳴らした。





End





................

右腕がボスの右手の役目をする話はずーっと前から書きたかったもので。
何年越しでやっと書けました・・・!満足!

基本的に、性的なことをなにも知らない10代目ってのが大好物で。
ていうか性的なことを知らない子に一から教えていくっていうか
自分色に染めていく、みたいなそういうのが大好きで。
なにも知らない10代目をだまくらかして手を出しまくる獄寺が書きたくて。
でも獄寺でそれは書けん、と、今まで書けずにおりましたが。
こんな感じならいけるかな〜と思って今回やっと形にできました。
そしたらやっぱりツナが天然墓穴堀り受けになってしまい・・・
いつもこのパターン!芸がなくてすいません。
寝起きツナに手を出すのは2回目ですか、そっちもかぶって申し訳ない・・・。

この場合、ツナと獄寺が付き合ってないところがミソだと思うのです。
だって付き合ってたらね、いくらツナが性的に疎いからといって、
やっぱり獄寺に触ってほしいな、とか思うじゃないですか。
そうじゃないんですよ。
なんにも分かってないのに、触られて気持ちよくなっちゃうのがね!いいんですよ!
ごめん、力入れすぎた。ご存知のとおり変態です。

あと冒頭の奈々さんとのやりとりは、
「誰にも邪魔されない」ための伏線でした。いらなかったかしら・・・。
朝食も持ってあがっておけば奈々さんさえ上がってこないよね・・・。
そんだけのあれでした。

一応このあと、「1日何箱?」と「銘柄」に続いていきます。
まだ着地点を見つけてないんですが・・・どうしようかな。

久々に「やってるだけ」の話で・・・ちょっと居心地悪い・・・いいのかなこれで。
まぁなんか、BLらしくていいですよね!
次もたぶんこんな感じだと思います。

(2008.12.31)



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