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この獄ツナは付き合っていません。



07:リストバンド


日曜の朝、学校へ行くよりは遅く、昼というにはまだ早い時間に部屋を出た。
途中の和菓子屋でいちご大福を買い込んで、10代目のお宅に向かう。
チャイムを鳴らしてドアの前で少し待てば、お母様が優しく迎えてくださった。

「おはようございます!」
「おはよう、獄寺君。寒かったでしょう?どうぞ上がって」

お母様の後を追って中に入り、お邪魔しますと声をかけて靴を脱いでいると、
普段はにぎやかな家の中が静まり返っていることに気がついた。
そのことに違和感を感じながらも持参した大福をお母様に渡す。

「つまらないものですが、みなさんで食べてください」
「まぁ、いつもありがとう!おいしそうね。
・・・そうだ、獄寺君は朝ごはん食べてきた?ツナがまだだから、一緒に食べる?」
「はい、いただきます!」

10代目と一緒に食事ができるなんて光栄なことだ。
お母様の提案に喜びながら、ふと気になってキッチンからリビングへと視線を向ける。
するとオレの疑問を見抜いたように、お母様が教えてくださった。

「リボーン君とビアンキちゃんはデパートにお買い物。ランボ君とイーピンちゃんはハルちゃんのおうちに遊びに行ったの。ツナはお寝坊だからまだ部屋で寝ているわ。今日は誰もいないから、獄寺君、ツナの相手してあげてね」

お母様の言葉にオレは震えるほど喜んだ。
アネキの妨害もなく、ガキ共の邪魔もない。
お母様は階下でおうちの仕事をされている。
10代目のお部屋に入れば、10代目と二人きりだ。
すでに準備できていた朝食が手早く盛りつけられていく。

「トーストとサラダといちご大福って、合わないかしら?」
「いいえ、そんなことありません!」

温かな朝食と大福の乗ったトレイを満面の笑顔で受け取った。



ドアを開けて部屋に入ると、10代目はもう目を覚まされていた。
パジャマ姿のままでまだベッドの中にいるところを見れば、
目が覚めてから時間はあまり経っていないのだろう。
腰から下を掛け布団の中に入れたまま、三角座りをしてそのひざに顔を埋めている。
腕と布団に埋もれて10代目のお顔は見えない。
まだ眠いのだろうか。

「10代目、おはようございます」

ドアを閉め、挨拶をするが返事がない。
テーブルの上にトレイを置き、再び話しかける。

「今日はいい天気ですよ。外に遊びに行きませんか?」
「・・・・・」

10代目の様子を伺いながらトレイに乗った朝食をテーブルの上に移していく。

「それともこの間のゲームの続きをやりましょうか。今度はオレ、10代目にも負けませんよ」
「・・・・・」

丸まった体が身じろいだのを確認する。
起きてはいるようだ。
今日は約束をしていなかったから、もっと長く眠るつもりだったのかもしれない。
お母様が確認したときはまだ眠っていたということだから、
今10代目は寝起きのためにぼんやりしているのだろう。
そんな風に結論づけて最後にトレイからいちご大福を摘み上げたとき、
ベッドから10代目の声が聞こえてきた。

「ごくでらくん、さあ・・・」
「はい」

10代目はまだ顔を伏せたままだったが、
声をかけていただけたことが嬉しくて、瞬時に顔を上げて返事をする。

「むせいって、したことある?」
「は、・・・・・え?」

ぼとり、不恰好な音を立てて大福がテーブルに落ちた。
10代目は相変わらずひざに顔を埋めたまま、動かない。

「・・・むせい、ですか」
「うん」

一瞬の静寂のあと声を振り絞って繰り返せば、実に簡潔な答えが返ってきた。

「漢字で書くと、夜見る「夢」に精神の「精」、ですか」
「そう。それ」

慎重に慎重を重ねて確認すれば、またはっきりと頷かれた。
どうやら間違いなく夢精らしい。
10代目に訊ねられれば答えるけれど、急に一体どうしてだろう?
疑問に思って10代目の様子を注意深く見てみれば、
身動きひとつしていないと思っていた体が、もぞもぞと動いていることに気づいた。
顔を埋めたひざを擦り合わせるような、布団の下の足をもじもじと組み直すような、
布団に隠れた部分を気にしている様子にもしやとひとつの考えが浮かぶ。
空になったトレイを床に置いて立ち上がり、ゆっくりとベッドへ近づいた。

「したこと、ありますよ。オレも男ですから」

オレが近づくにつれて10代目はさらに体を丸くした。
薄いパジャマの襟元から覗く首が真っ赤に染まっている。
ベッドの傍にひざをついて背中に手を添えれば10代目の体がびくりと揺れた。

「・・・なん、か、パンツも・・・ぬるぬる、して・・・」
「見ても、いいですか?」

小さく小さく、10代目が頷く。
どくどくと、心音が大きく響き始めた。
心臓が耳元に移動したみたいだ。
背中に添えた手には10代目のあたたかな体温が伝わり、
それにつられるように自分の体温も上がっていくのを感じる。
10代目は下を向いたままで少し体を起こし、組んでいた腕を解いて体の横についた。
オレに対して無防備に体を開くような様子に、ぞくりと悦びが体を走った。
押さえがなくなった布団に手をかけてはがし、
さらに丸まるように動いたひざに手を添える。

「・・・っ、オレ・・・」

足を伸ばさせるように手に力を入れると少し抵抗があり、
10代目が耐え切れないとばかりに声を上げた。
それでも手のひらを太ももへと移動させて、ゆっくりと力を加えていけば、
10代目はそれに従ってぎこちなく両足を伸ばしていく。

「はじめてで・・・どうしたらいいか、わかん、なくて・・・」

言い訳をするように言葉を紡ぎながら伸ばされた両足の間を見れば、
わずかに布が押し上げられて膨らんでいた。
ごくり、思わず唾を飲み込む。
やけに下品な、いやらしい音がした。
きっと10代目にも聞こえてしまっているだろう。

「・・・オレが、教えて差し上げます、10代目」

体を倒して耳打ちすれば、10代目はぴくりと肩をすくめた。
ベッドに上がって10代目の後ろに回り、足の間に10代目を挟むようにして体を寄せる。
両脇に添えた手でズボンのゴムに指を差し入れ、その奥の下着の中にも指を潜らせた。


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