腕を交差して顔を隠した10代目の、無防備な額にゆっくりと口づける。
むき出しの腹に手を滑らせて、そのままゆっくりとパジャマの下、トランクスの下に潜らせる。
すべすべとした下腹部の感触を楽しみながら、開放を待ち望む10代目のペニスをそっと握りこんだ。

「ん、ん・・・」

そこはすでにうっすらと雫をこぼし、濡れた感触を伝えてくる。
先端に指を這わせ、蜜を拭い、竿に塗りつける。
少しずつ動きを早くしていくと、くちゅくちゅと音が響きはじめた。

「あ、あ・・・やだっ・・・」

硬くなるペニスと呼応するように体中が痙攣しはじめる。
刺激する手はそのままに、10代目の髪の毛をそろりと撫でた。

「10代目、顔見せてください」

顔を近づけてそっと囁くと、腕で顔を隠したまま首を振られた。
近づけた唇で指、手の甲、腕、頬、唇と、
触れられるところすべてに順に口付けていくと、ゆっくりと10代目の力が抜けてくる。
そろりと腕が動いて潤んだ目が見えた。
その目に唇を近づけて、閉じられたまぶたにキスを落とした。

「10代目の綺麗な顔、見せてください」
「やだ・・・」

手のひらで口元を覆い、潤んだ目で見上げられるとどうしようもなかった。

「10代目・・・」

ひっそりと呟いて手の動きを早める。
10代目は口元を手で隠したまま、あごを逸らすようにのけぞった。

「あ、んっ・・・」

びくびくと手を震わせ、肩を震わせ、声を震わせる。
震える指先に唇を寄せて軽いキスを何度も送る。
根気よく何度も何度もキスをしていると、指の力が抜けてきた。
10代目の手を取り、手の甲に口付け、それから唇を触れ合わせた。
せわしなく吐き出される10代目の息を吸い込み、舌を差し込んで口内を探る。
歯の一本一本をゆっくりと舐め進め、奥へと逃げる10代目の舌を捕まえた。
舌をすり合わせて唾液を送り込む。

「ん、ぅ、んっく・・・」

送られた唾液をのどを鳴らしながらゆっくりと飲み込む10代目を微笑ましく思いながら
竿を擦っていた手をずらし、先端に指を触れさせる。
そこはそれまでに与えられた刺激のために先走りでぬるぬるとぬめっていて、
少し指を動かしただけでもくちゅりとやけに大きく音が響いた。
ふとももをびくりと揺らし、ゆっくりとひざを立て、俺の手をぎゅう、と握り締めた。

「10代目・・・」

足がシーツの上を滑る音にそそられる。
そっと唇を離して呼びかけると、ぼんやりと熱に浮かされた目で見上げられる。
ぞくりと体の内に熱が走った。
抑えていた自分の欲が膨らみだし、頭の中がぐらぐらする。
それを何とか押さえ込もうとして、思わず手に力が入った。

「んっ、いた、・・・ァ、」
「すみません、10代目・・・」

ぐつぐつと頭の中が沸騰するような感覚。
謝ってはみたものの、手の力を抜くことができなくて、いつもより乱暴に手を動かしてしまう。
手が上下するたびに足をびくびくと跳ねさせる10代目を眺めながら、
再び先端まで移動した指で雁首をくすぐり、尿道に爪を立てた。

「ァ、あ・・・や、ぁああっ・・・!」

途端、吹き上げるように射精し、オレの手の中に精液が叩きつけられた。
それをまた10代目のペニスに塗りつけるようにしてしごき、残りの一滴まで搾り出す。
だらだらと流れていた精液が止まってから、床に転がっていたティッシュの箱を取り寄せた。

「10代目、どうでした?気持ちよかったですか?」

赤く染まった肌、乱れた呼吸、潤んだ瞳を見れば何となく分かるのだが、
10代目の口から、10代目の言葉で聞いてみたかった。
しかしにっこり笑いかけても反応はなく、どこか震えているようで。
もしかして寒かったのかな、と首を傾げていると階下から声が聞こえた。

「ツナー、獄寺君ー?」

・・・やばい。
すっかりすっかり忘れていたが、俺はお母様から大事な用事を任されていたのだった。
トントンと軽い足音が階段を上ってきて、間もなく、部屋のドアの前で立ち止まる。
慌てたオレは即座に下で丸まっていた掛け布団を10代目の体にかけなおし、
まだ10代目の精液を拭き取っていない濡れたままの手を体の後ろに隠した。

「ツナ、獄寺君?入るわよ?」

控えめなノックに背筋をぴんと伸ばし、「休め」の姿勢でドアに向かう。
カチャリ、と音を立てて姿を見せたのは、やはり10代目のお母様だった。

「あら?ツナ、起きてるの?」
「あ、う、うん、今起きたとこ」
「そうなの?休みだからっていつまでも寝てちゃダメよ。獄寺君にも世話かけちゃってごめんなさいね」
「いいいいいいいえ、10代目のお世話をさせて頂けるなんて、光栄なことですから・・・!」
「本当に獄寺君はおもしろい子ねぇ」

くすくすといつもの優しい笑顔で笑うお母様はとても綺麗だったが、
いかんせん状況が状況だけに、対応する顔が引きつってしまう。

「そろそろ片付けたいから、着替えは後にして先に朝ごはん食べてくれる?」
「うん、分かった・・・」
「獄寺君も、いちごがあるからツナと一緒に降りてきて」
「恐れ入ります」

体の後ろで手を隠したまま、お辞儀をする。
なるべく早くね、と言い残して、お母様はすぐに階段を降りていった。
ほぅっとため息をつき、足元のティッシュを抜き取り、手を拭う。
それをゴミ箱に捨ててから10代目の方を振り返ると、顔の半分まで布団に埋めて、オレのことを睨みつけていた。

(そういう表情も、かわいいんだけどなぁ・・・)

それを言ってしまうとまた怒られるだろうというのが今までの経験から分かっていたので、ぐっと口をつぐむ。
床にもう一度膝をつき、ティッシュを数枚抜き取った。
後処理をしようと思うのに、10代目が布団をしっかり握り締めているために、できない。
その行動に小さく苦笑して、それから10代目に話しかける。

「10代目、布団から手を離してください。拭かないと気持ち悪いでしょう?」

何か言いたそうにはしているけれど、むっつりと膨れるだけで何も言わないのをいいことに、
力の緩んだ手から布団を引き剥がし、ティッシュで精液を拭き取っていく。
綺麗なティッシュに変えてもう一度拭き終わったところで、下着とパジャマを上げる。

「終わりましたよ、10代目」

使い終わったティッシュをゴミ箱に捨て、10代目を振り返ってそう言うと、むくれた顔で口を開いた。

「今度から、こんな起こし方しないでよ・・・!」

もともとは、この行為で起こそうと思っていたわけではなくて、
10代目の姿に、すぐに理性が飛んでしまうオレの堪え性のなさがいけないんだけど。
すみません、と頭を下げて10代目の様子を伺う。
怒ってはいるけれど、もう、半分くらいは許してくれている顔で。
起き上がってベッドに腰掛け、足を床につける。
太ももの横に置かれた手をそっと手に取り、その甲に恭しく口付けた。

「それなら10代目、今度からは早く起きて、オレの相手をしてくださいね」

笑いかけるとそっぽを向いてしまう。
でもよく見ると、顔を赤くして、照れているんだとすぐに分かった。
その様子にこっそり笑みを深くする。

「そろそろ朝ごはんを食べに行きましょうか」

ゆっくりと立ち上がり、10代目の手を引いて、
恥ずかしがる10代目を台所までエスコートした。





End





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二回目の投票で3位になりました、「寝起きツナ」です。
The End of a Dream.ということで。

んー、こんな長くなる予定ではなかったのですが・・・?(笑)
さっくり獄寺がツナを起こして終わる予定だったんですけどね。
いえ、起こし方は変わらず、そんな感じなんですが。

やっぱりあれですね。
ツナが獄寺に甘いんですよ。
本当は中途半端に終わりそうだったんですけどね、
結局ツナが何か言って最後までやってるし。
・・・あれ、獄寺のためじゃなくて、自分のためなの?ツナ。(笑)

二度寝して夢の続きを見るの、私よくやります。(笑)
結構見れるもんですよ。
まぁ結局は自分の願望とか記憶とかな訳だから、
見ようと思えば見れるものなのかもしれませんね。

(2005.05.06)



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