目が覚めると服を着せかけられて寝かされていた。
体もべたべたするところはなく、獄寺君が綺麗にしてくれたのを知る。
「あ、10代目。気が付きました?」
机に座っていた獄寺君が話し掛けてくる。
「あーごめん、後片付けさせちゃって・・・」
「オレこそすみません、無理させちまって」
獄寺君はそう言ってくれるけど、怪我した彼の身の回りの手伝いに来ておいて、
その相手にオレの身の回りの世話をさせるのはどうかと思う。
それについてもう一度ごめんねと言うと、獄寺君はにっこり笑ってとんでもないと返えた。
「10代目のこういうお世話って、オレだけの特権ですから」
満面の笑みでそんなことを言われて、急激に顔が熱くなる。
恥ずかしくて獄寺君に背中を向けるようにすると、廊下からドタドタという音が聞こえてきた。
「「!?」」
思わず体を戻してドアの向こう側の様子をうかがう。
獄寺君はタバコに火をつけて、すでに臨戦態勢だ。
その音は段々と大きくなって、最後にはばたん、と勢いよくドアを蹴破った。
「ガハハハハ!ツナ、助けに来たぞ!」
子ども特有の高らかな笑いは、聞きなれた子牛のものだった。
「ランボ?」
「ツナ、こいつにいじめられて動けなくなってるんだろ?ランボさんが助けてやるから安心しろ!」
獄寺君の手をちょこまかとすり抜けて、ベッドの上によじ登る。
それを見た獄寺君の頭から、血管が切れる音が聞こえてきて気が気じゃない。
ランボの方はそんなこと気にもせず、自分勝手に行動を進める。
あら?と言いながらぺたりとオレの首筋に手を触れさせた。
さっきまでの行為でまだ体が火照っているため、ランボの手が冷たく感じられる。
「これ、何?」
そう言ってある一点を指差した。
いくら首をひねってみても、自分の首筋は見えなくて。
何のことを言っているのか分からなくて首をかしげていると、獄寺君が大人気ない笑い方をしながら声を出した。
「それは10代目とオレの愛の証だ!」
「お前には聞いてない!」
その獄寺君の言い方に、ものすごく引っかかるものを感じる。
嫌な予感がして考え込んでいるうちに、ランボの手がだんだんと移動する。
「あ、ここにもある!」
シャツの前を開きながら、ランボが胸元に手を這わせてきた。
「っ・・・」
腕を通していたものの、前のボタンははめられていなかったので、簡単にシャツを開かれた。
ランボの指を目で追うと、胸に散った赤い跡が目に映る。
それはたぶん、気を失った後につけられたキスマークだろう。
なになにと言いながらその跡を辿るランボの指が、胸の突起を掠めてびくりと震えた。
「ぁ、ランボ、触らないで・・・」
普段なら触られても何ともないだろうに、
行為の後で敏感になっている体には、触れられるだけでもきついものがあった。
「やだ!」
ぷぃ、とそっぽを向かれる。
いつもならオレが頼むと言うことを聞いてくれるのに、今日はどうしてだか機嫌が悪いようだ。
「ツナがこれ何か教えてくれるまで離さないもん!」
「っ、ぅ・・・」
何も知らない子どもというのは強敵で、際どいところばかりを撫でられた。
ぶちり、と大きな音がする。
はっとして音がした方を見ると、獄寺君は血管が何本か同時に切れたような形相をしていた。
その様子に急激に熱が冷める。
ランボの方はそれには全く気づかずに、なになにーと言うばかり。
思わず後ずさりしたくなるが、ランボにしがみつかれて、身動きが取れない。
獄寺君の伸ばした手がランボをわしづかむ。
「ぐぴゃっ!?」
無言でダイナマイトに火をつけて、ランボの襟首にセットした。
「え、ちょっ・・・獄寺君っ!?」
そのままツカツカと窓の前に移動して、カーテンを開けて窓を全開にする。
「果てろおぉぉおお!!!」
そうして思いっきり、つかんだ子牛を外へと投げ捨てた。
ふぅ、と一息ついて窓を閉め、こちらにくるりと向き直る。
数秒後、何かが光るのがカーテン越しに見えた。
それに少し遅れて、空中で何かが爆発する音が聞こえた。
獄寺君は何事もなかったかのように咥えていたタバコを机の上の灰皿に押し付けて、火を消す。
「・・・あ、あの、獄寺君?」
「10代目、足りなかったのならそう言ってくださればいいのに」
獄寺君がベッドに上がり、ぎしりと音を立てた。
「いや、そうじゃなくて、ね?」
「あんな牛じゃできないこと、いくらでもして差し上げますから」
じりじりとにじり寄ってくる分、後ずさる。
「ほ、ほら、右手、安静にって先生言ってたじゃない?」
「痛みが引くまで、ですよね」
獄寺君は にやり、と人の悪い笑みを浮かべる。
「もう痛くないんですよ。10代目のおかげですね」
「あ、そうなんだ?じゃあオレはそろそろ帰ろうかな・・・?」
言い終わる前に、肩をつかまれてベッドに押さえつけられる。
「10代目にはたっぷりとお礼しなくちゃいけませんよねぇ」
「え、いいよ、オレ大したことしてないし!」
さっきとは逆にオレの上に獄寺君が馬乗りになって、動けない。
「遠慮しないでください。オレのことしか考えられないくらい、満足させて差し上げますから」
「遠慮する!もういいから!ちょっ、や、やだぁーーー!!!」
オレの懇願もむなしく、子どもじみた嫉妬にかられた獄寺君に、
大人びたお礼をされてしまったのだった。
End
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ちゃんとした文章では、初めてギャグ落ちできたかもしれない!
ちょっと嬉しいけど、でもやっぱり最初と最後の性格が変わってるかもしれない。うえーん。
何か父獄寺、母ツナ、子ランボって感じに家族でいいね!(ドメスティック・バイオレンス)
獄寺はストーキン・ボムなので、ツナがいるところにはどこにだって現れます。
・・・一緒に帰ってる設定にすればよかったのか。。。(今更)
ツナの危機にかっこよく現れる獄寺を目指して、うっかりストーカー。ぐふ。
鬼畜獄寺は書けないくせに、言葉攻めは手が勝手に打ってくれる。
何だ。何の差だろうか。
当初思い描いてたえろとはちょっと変わってしまいました。
完全にツナが全部するのを書こうと思ってたのに。
そのために獄寺に怪我させたのに。(笑)
まぁ、これはこれでいいか。
(2004.11.06)
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