「10代目、ズボンとトランクス脱いでもらえます?」
「・・・うん」

痛くないようにするためとはいえ、オレはそれがあまり好きじゃない。
獄寺君の指や、たまに道具で後ろをいじられて、身をよじらせる自分がとても浅ましく思えるから。
そんなことを考えて動けずにいると、獄寺君がチューブのふたを開けようとするから、慌ててそれを止めた。

「10代目?・・・恥ずかしいのは分かりますが、慣らしておかないと」
「っ、わ、分かってるよ!」

包帯の巻かれた右手からゼリーのチューブをひったくって、獄寺君をにらみつけた。
もちろんこれは照れ隠しだ。
獄寺君に手を動かさせないようにするには、自分でやらなきゃならない。
でもそんなことをするのは初めてで、見ないで欲しいと思うのに、視線は容赦なく突き刺さる。
せめて獄寺君が見てるのが見えないように、下を向いてズボンと下着を下ろした。
全部脱ごうか、ずらすだけにしようか迷って固まっていると、耳元で獄寺君の声がした。

「全部脱いだ方が、やりやすいと思いますよ」

耳の穴に舌を入れられて、濡れた音が聞こえる。
その音に肩を震わせながらも、言われたとおりにすることにした。

いったん獄寺君の上からどいて、下着ごと足を抜いて床に落とす。
ぱさり、と布が音を立てるのを聞いて、もう一度ベッドの上に乗り上げる。
その間にベッドの中央へ移動した獄寺君を追うようにして、元のとおり体をまたいだ。
どきどきとうるさい心臓の鼓動を聞きながら、手にしたチューブのふたを開ける。
軽い触れるだけのキスに励まされながら、ゼリーを手の中に押し出した。

恐る恐るゼリーまみれになった手を後ろへ持っていく。
室温に置いていたゼリーは火照った肌には少し冷たくて、体を震わせた。
それでも入り口になすりつけてすべりをよくしていき、少しずつ慣らすように、指を押し込む。

「っ、あ・・・う」

手も尻もぬるぬるで、少ししか力を入れていないのに思ったよりも奥まで指が入り込んでしまう。
獄寺君のおなかに手をついて、前かがみになって息をつめる。
ゆっくりと指を入り口まで戻し、また中へ押し込む。
何度も抜き差しを繰り返すとだんだんと変な気分になってきた。
中を広げるために差し込んだはずが、体はその指を別のものと思って締め付ける。
ひくひくと動く入り口や、指を飲み込むような動きをする内壁に、恥ずかしくて涙がこぼれた。

「ぁ、獄寺く・・・も、やだ・・・」

これからどうすればいいのか自分じゃ分からなくて。
助けを求めるように名前を呼んで、ぼやけた視界に獄寺君を映す。
すると獄寺君の顔がゆっくりと近づいて、その顔が笑っているのが分かった。
何、と聞こうとした瞬間、自分の指を含ませた後口に、自分のものよりも太い指が入り込んできた。

「あ、んっ・・・」

びっくりして自分の指を抜こうとすると、手を重ねられて動かなくされる。

「駄目ですよ、10代目。もっと慣らさないと」

耳元で、吐息とともに囁かれて。
それだけでどうにかなってしまいそうだった。
太くて乾いた指は、それでもゼリーのぬめりで抵抗なく奥へ入る。
中を広げるように動かして、オレが一番感じる部分を刺激してきた。

「ほら、10代目はここが気持ちいいんですよ」
「ん、ァ・・・あ、はぁっ、」

オレの指を操って、内壁の少し膨らんだ部分を触らせる。
ぐりぐりと押さえられて、自分の意思じゃないのに、
自分で自分を慰めてるような状況に、羞恥は頂点に達する。

「ぁ、・・くでらく、やめっ・・・ん、っ」

太ももが震えて自分の力じゃ体を支えていられなくて、獄寺君の胸にもたれこんだ。
その間も獄寺君の指は動いていて。
二本の指で広げるような動きにさえ感じてしまって、自分の指を動かすどころではなかった。

「も・・・だめ、でちゃ・・う・・・」

限界を訴えて中に入った指を締め付ける。
だけど獄寺君はオレの指を絡めて、中からすべての指を抜き取った。
出て行く前に指で前立腺を刺激されて、さらに声を上げさせられる。
それでもイくことはできなくて、体にたまった熱でどうにかなりそうだ。

「ごくでらくん・・・」

はぁはぁと息を荒くつきながら、うまく回らない舌で必死に獄寺君を呼ぶ。

「もう、入れても大丈夫ですよね?」
「あ・・・うん・・・」

返事をすると、入り口に獄寺君のものが押し当てられた。
ゆるゆると擦り付けられて、思わず腰が引ける。
だけど腰に当てられた手のせいで思ったほどは動けなくて。
しかも動いた以上に腰を押し付けられて、先っぽの太い部分が入り込んだ。

「ぁっ、あ・・・!」

そこから先はずるずると抵抗なく入ってきて、
力の抜けたオレの体が下に下がると同時に、獄寺君の性器を深く飲み込んでしまう。
体の奥で脈動を感じて、無意識にそれを締め付けた。

「っ・・・」
「や、あぁ・・・」

そのことに埋め込まれた性器はさらに大きくなって、おなかの中を圧迫してくる。
でもそれは苦しいだけじゃなくて、ちゃんと、気持ちよくて。
無意識に腰を揺らしてしまった。

「ふ・・・気持ちいいですか?」
「ぁ、ん・・・きもち、い・・・」

耳元や首筋にキスを落としながら、獄寺君が聞いてくる。
そのやわらかい愛撫にさえ感じてしまって、腰が動くのを止められない。
獄寺君の胸にすがっていた手をおなかに置いて、腰を上下に動かした。

「はぁ・・・っ、ん、ん・・・」

ぐちゅり、と音を立てて体を支える手がすべる。
ふと視線を下に落とすと、自分のこぼした精液が獄寺君のおなかを濡らしていた。

「10代目、気持ちよさそうですね、こんなに漏らしちゃって・・・」

からかいの混じった声でそう言われて、また体温が上がるのを感じた。
それまで触られなかった自分の性器に手が添えられて、こぼれた精液をなすりつけるように指を動かされる。
さらに腰を突き上げるように動かされて、両方からの刺激に翻弄される。
はじめは獄寺君の動きに合わせて動いていたものの、
そのうち自分の意志では動くことができなくなって、されるがままになってしまう。

「ふっ、あ、あ!」

がつがつと奥を突かれて目の前が真っ白になる。
目の前の胸にしがみついて、力強い腕に抱きしめられる。

「あ、あぁ―――――!!」

10代目、と何度も耳元で呼ばれるのを聞きながら、意識を手放した。


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