この寒空の中屋外で水をかぶるなんて。
全身から水を滴らせて、いつもより重くなった髪の毛の間から庭を睨みつける。
諸悪の根源は悪びれもせずに水鉄砲(バズーカ並み)を手にしてガハハと笑っている。
文句のひとつでも言ってやろうと口を開けばくしゃみばかり。
「「ハックション!!」」
怒りをこめたくしゃみはランボを喜ばせるだけで余計に腹が立った。
熱
このままでは風邪をひいてしまうので、ランボを叱るのはまた後にしよう。
先に服を脱いで濡れた体を拭かなければ。
オレの前に立って盾になってくれた獄寺君も家の中に引き込んだ。
二人が立つと狭く感じる脱衣所で、びしょびしょに濡れた服を脱いでいく。
トレーナーを脱いだところで髪の毛に引っかかっていた水風船のかけらが落ちた。
「・・・ランボのやつ、こんなのまで投げてきてたんだ・・・」
「今からでも絞めてきましょうか」
「後でいいから」
上半身裸で濡れたまま出て行ったら確実に風邪をひく。
ダイナマイトを取り出した獄寺君の手にタオルをかぶせて落ち着かせる。
そういえばダイナマイトって水に濡れたら使えないんじゃないのって聞いてみると、
導火線が濡れてるのを確認した獄寺君の表情が真っ暗になった。
「大丈夫です、あんな奴素手で十分です」
「うんそうだねでも今は体拭こうね」
ダイナマイトがなくたって獄寺君が強いのは分かってるけど、
自慢の武器を使い物にならなくされたのがよっぽどショックだったのだろう。
言葉は十分剣呑だけど、声のトーンは果てしなく低かった。
「ツっくん、お風呂そろそろ沸いたんじゃないかしら。獄寺君と二人で一緒に入っちゃいなさい」
脱衣所を覗き込んだ母さんに言われて頷く。
冷え切った体は水分をふき取っただけではまだ寒く、
ランボに水をかけられた後すぐにお風呂を用意してくれた母さんに感謝した。
「うん、分かった」
「・・・10代目っ!?」
何故だか驚いた様子の獄寺君を見上げると、顔を赤らめて口元を手でおおっている。
(え、何、そんな反応されるとこっちまで意識しちゃうんだけど・・・?)
つられて赤くなった顔を下に向けてもう乾いている体を無意味にタオルで拭いた。
それまでは何とも思っていなかったのに、急に服を脱ぐのが恥ずかしくなってしまう。
あと体に残っているのはズボンとトランクス。
あぁ何だか恥ずかしいじゃないか、この状況でそれを脱ぐのって。
とはいえじっとしていても体が冷えるだけだ。
すばやく脱いでしまえば恥ずかしさも減るだろうと、勢いをつけて残った衣服を脱ぎ捨てた。
「先に入ってるからね」
口早にそれだけ言って返事を待たずに風呂場の扉を開ける。
暖かな湯気が体を包んで少しだけほっとした気分になった。
浴槽のふたを開けて洗面器で湯をかき混ぜる。
入るにはちょっと熱いので、先にシャワーを浴びて温まろうとコックをひねったところで扉が開いた。
びくり、と体が震えたのが自分でも分かる。
何を変に意識してるんだ小学校の林間学校でクラスのやつらと一緒にお風呂入ったじゃないかそれと一緒だ一緒なんだ。
頭の中で呪文のようにそんなことを唱えて自分を落ち着けようと試みるも、思いっきり逆効果のような気がする。
心臓の音が耳元でばくばく聞こえて顔がほてってきた。
獄寺君が入ってくる、動く気配、それが近づくにつれて心臓の音は大きくなるばかりで。
心臓って頭の中にあるんだっけ?と思うくらいにどくどくと頭の中で音が響いて目が回りそうだ。
獄寺君がオレの後ろにしゃがんで肌が当たらなくても熱が感じられるほどに近づいて、
耳のすぐ後ろで獄寺君の声が聞こえた時に緊張はピークに達した。
「10代目・・・」
「っ、何っ!?」
「お背中、流します」
大げさなくらいに肩を揺らしてそれでも何とか声を返すとそんな言葉が返ってきた。
「え、別に、自分で洗えるよ」と遠慮してみても、「これも部下の務めです」なんて言われたら、
自分ばかりが意識してるみたいでそれ以上断り続けることもできず、おとなしく言うことを聞いてしまった。
暖かい湯に浸したタオルでボディソープを泡立てて、ふわふわになったそれを背中にくっつけられる。
自分でごしごしするのじゃなくて、人にゆるゆるとやわらかく撫でられるように洗ってもらうのは思っていたよりも気持ちよかった。
首筋から肩へ移り、それから背中へ降りてきて。
「10代目、痛くないですか?」
「うん、気持ちいいよ」
だから問いかけられた言葉にもそんな風に素直に答えた。
背中を洗い終わって腰に辿り着き、そこで終わるかと思いきやタオルは前にやってきて。
あれ、と思っていると背中に暖かいものがあたる。
お湯でもなく、タオルでもなく、でも確かに知っている感触。
広くてすべすべの、もしかしてこれは獄寺君の胸?何、もしかしてオレ、抱きしめられてるの?
「獄寺く、んっ、」
何してるの、って言おうと思って振り返ったら待ち構えてたみたいに口をふさがれた。
元から開いていた唇に舌を入れてきて口内を舐められる。
その間にもタオルはオレの胸を泡だらけにしてどんどんと下に下がっていく。
「っふ、獄寺君、そこはいいから・・・!」
獄寺君はオレの言うことにも耳を貸さず、タオル越しに性器を握られた。
「ひゃ、ぁあっ!」
思わず変な声が出る。
自分でいつもしていることなのに、タオル越しとはいえ他人の手で触られると、
洗っているだけだというのに妙に意識してしまう。
一度意識してしまえば後は何をされても洗っているだけなんだ、って考えられなくなってきた。
ボディソープの泡は背中や胸に乗せたためにほとんどなくなっていて、
タオルのごわごわとした感触に刺激されて息が荒くなってくる。
「も、やめて・・・」
「じゃあ流しますね」
息も絶え絶えに弱々しく頼むと、やけにあっさりとそんな風に返された。
え、と思う間に暖かなシャワーをかけられて、体に付いた泡が流れていく。
ほっとしたのもつかの間、足の間を見れば、
刺激された性器は立ち上がっていて、頭の中が沸騰したみたいに顔が熱くなった。
「かわいい、10代目。気持ちよかったですか?」
「・・・っ!よく、ないよ!」
楽しそうに言う獄寺君が少し憎たらしくて思わず反論してしまう。
こういう時の獄寺君は意地が悪いってこと、忘れてた。
「そうですか?気持ちよさそうに見えるんですけど・・・」
そう言って獄寺君はお湯に濡れた手で直接オレの股間を握ってきた。
「ゃっ・・・」
身をよじろうとしても背中から覆いかぶされて中心を握られた状態では身動きがとれず、思うように抵抗が出来ない。
ゆるゆると竿を撫でられて、お湯のせいでくちゅくちゅと音がする。
それが自分の先走りでなる音に似ていて、耳を塞ぎたくなるほど恥ずかしい。
「ほら、すごい気持ちよさそうな音がしてますよ」
恥ずかしがってるのを分かっててわざとそういうことを言ってくる獄寺君は相当に意地が悪い。
何か言ってやろうと思ってものどが震えて恥ずかしい声しか出てこない。
刺激に耐えて何も言えないのをいいことに、獄寺君の手は遠慮をなくしたように動き回る。
足の間から起こる音は大きくなり、耳を塞ごうにも獄寺君の腕で押さえられていて手が動かせない。
目をつぶって見えないようにしても、余計に音が大きく聞こえて恥ずかしさが募るだけだった。
くすぐるように弄っていた胸から指を離して、その腕も下に伸ばしてきた。
両方の手で性器を弄られてどうしようもなく悶えてしまう。
お湯だけでなく先走りも混じってきたのだろう、撫でられる時になる音が、気のせいじゃなく大きくなってきた。
片方の手で竿を擦られ、片方の手で先端を撫でられた。
もうすぐ射精してしまいそうなところまで追い詰められて、閉じた目に力を入れてぎゅっと耐える。
口から漏れる息もだんだんと熱くなってるのを自覚して、
あぁもう出そうだ、と思った瞬間、ぴり、と痛みが走った。
「ぃた・・・」
思わず目を開けて自分の足の間を見てみると、獄寺君の指が妙な動きをしていた。
両手の指で先端を弄って、る?
よく見ると何だか皮を剥かれているような・・・?
「え、獄寺君?何やってるんだよ?」
何でそんなとこの皮剥いてんの?何で??
訳が分からずそれまでの快感も全部吹っ飛んで獄寺君に疑問を投げかける。
見上げた獄寺君は一瞬きょとん、とした顔をしていたものの、すぐに意地悪な顔に戻った。
「10代目、ココの皮剥いたことないんですか?」
ぐり、と先端を強く撫でられてびくりと反応する。
それでも正直に「ないよ」と答えると、何だか嬉しそうな顔をされてしまった。
「ココの皮剥いて、ちゃんと中を洗ってやらないと汚れちゃいますよ」
そう言いながらも獄寺君の手は皮をずるずると剥いていって、普段よりも赤い先端が顔を出した。
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