「ガウー、食べちゃうぞ!」
気持ちのいい木漏れ日の下で、ツナはいつになく大きな声を上げている。
「ぎゃあ、食べないでください!」
獄寺はめいっぱい怖い顔をして寄ってくるツナに背中を向けて走り出した。
ツナはわざと乱暴なふりをして、獄寺の背中にしがみつこうとする。
どうやらオオカミとヤギごっこをしているようだ。それも立場を反対にして。
「待てったら待てー!」
ツナが獄寺を追いかけてくる。
「やめてください」
「逃がすもんか!」
ツナの足は意外と速い。
最初は笑いながら走っていた獄寺も、だんだん息が切れてきた。
「はあはあ、もう疲れましたよ。ツナヨシさんって意外に足が早いんですね」
獄寺は草の上に倒れこんだ。
「ふふふ。そうなんだ。逃げるときに早く走れないとね」
オオカミ役をしていたツナもその横に寝転んで、どこまでも晴れ渡った秋の青空を眺める。
「オレみたいなオオカミから逃げるためには足が早くないといけないんですよね」
獄寺がちょっとすねて言うと、
「やだなあ。そういう意味で言ったんじゃないのに。
もうそういうことを気にしてたら話ができないじゃないか」
ツナは獄寺のおなかをポンとたたいた。
「そうなんですけど、やっぱり」
「いつまでもそんなこと言ってると・・・」
ツナは素早く立ち上がった。
「うわ、なんですか」
「おまえを本当に食べちゃうぞー!」
ツナは寝転がっている獄寺の上に覆いかぶさっていく。
「やっやめてくださいよ!」
獄寺は笑いながら転げまわった。
「こら、待てー!」
ツナと獄寺はもつれあったまま丘をごろごろと転がる。
端から見たら、とっくみあいをしているように見えるだろう。
でも二匹は楽しくてしかたがなかった。
ごろごろと転がった二匹の体は、丘の下の大きな木にぶつかって止まった。
そよそよと気持ちのいい風が吹く中で、二匹は笑い合う。
ツナは獄寺の上にまたがったままの格好で、獄寺の体にそっと手を這わした。
獄寺のごわごわの毛も、鋭い牙や爪も、大きな足も、
仲良くなった今となっては、ツナにとってはすべてがいとおしい。
「ちょっと、くすぐったいですよ、ハハハハハ」
「おまえなんかひと呑みだぞ、フフフフフ」
無邪気に笑う獄寺を見下ろしながら、ツナの体の中にゆらゆらと炎が灯る。
ごわごわの毛の下に隠れたあたたかい肌と引き締まった筋肉をさするうちに、
ツナは獄寺を欲して鼓動を早くしていく。
「ねえ、獄寺君・・・ほんとに食べてもいい?」
心なしか目を潤ませて息を荒くしたツナは、組み敷いた獄寺を見下ろした。
そんなツナに見下ろされた獄寺も、ごくりとつばを飲み込んだ。
ゆっくりと上がった体温はツナの匂いを濃くし、ふわりと獄寺の鼻をくすぐる。
ツナのにおいを嗅げば、獄寺はいつだってツナをめちゃくちゃに食べたい気持ちになる。
「いいですよ、たくさん、食べて下さい」
か弱いヤギの振りをしていたオオカミは、本来のぎらついた光を目に宿した。
ちゅ、ちゅ、と小さく濡れた音が控えめに響く。
ツナは背中を丸めて獄寺の体に吸い付いていた。
獄寺の大きな口にキスを落とし、頬、首、鎖骨、胸へと移動する。
その刺激はとても小さなものだったが、
ツナが自分に刺激を与えているというだけで獄寺は十分に興奮した。
それに、ツナの体から振りまかれる匂いに体の中から刺激されて、すでに息が荒くなっている。
ツナはキスをするごとに獄寺の上を下に下に移動していく。
胸にキスをしたあと、また体を下に移動させると、おしりのあたりに熱くなったものが当たった。
「あ・・・獄寺君、気持ちいい・・・?」
「気持ちいいですよ」
獄寺のものは熱を持ち、ゆるく立ち上がっていた。
ツナは腰を上げ、獄寺のペニスをまたいだ。
獄寺のものにおしりからペニスにかけてをぬるりと撫でられ、ツナは体を震わせる。
小さく荒い息を吐きながら前に来たそれと自分のものを懸命に擦り合わせた。
「ツナヨシさんも立ってる・・・オレの体舐めただけで感じたんですか?」
「ん・・・」
ツナは恥ずかしそうに頷き、そのまま目をつぶって腰を揺らした。
獄寺のおなかの上に手をついて、ゆっくりと腰を動かしていると、
二人のペニスは次第に硬くなり、濡れた音が響き始める。
くちゅ、くちゅ、と控えめに響く音は、ツナを耳から刺激して体の熱を上げさせた。
ツナの小さなペニスは震えるように先走りを漏らし、幹を伝って二人のものを濡らす。
ツナが腰を動かすたびに、擦れ合うペニスはツナの先走りをかき混ぜるようにして音を立て続けた。
「ん、んっ・・・」
小さく息を詰めながら、目をつぶって快感を追う。
はじめは獄寺の体に刺激を与えていたツナだったが、
今はもう自分の快感を追うのに必死になっている。
自分のことを忘れて必死にペニスを擦りつけるツナの姿を見ていると、
獄寺は少しいじわるをしたくなってきた。
ぺろりと自分の指を舐めて、自分の体にまたがったツナの
ぷくりと小さく立ち上がった乳首に手を伸ばす。
「んっ、」
下半身に集中していたツナは、急に与えられた刺激にぴくりと反応する。
そろりと目を開けてみると、自分の下でにっこりと笑った獄寺が手を伸ばしているのが見えた。
ひとさしゆびでくるりと乳首を回されて、それからきゅっとつままれる。
ぴりりと鋭い刺激に、思わずツナは声を上げた。
「っあ、ん、」
ぴくんと腰が揺れる。
ペニスに直接与えられる刺激よりも、胸に与えられる刺激の方が強く感じる。
もっともっといじって欲しくて、ツナは獄寺がいじりやすいように、胸を突き出すようにして体を傾けた。
獄寺はそれに答えるように、むに、むに、と胸をもむようにして大きく手を動かす。
乳首が肉球の下で擦れるようにいろんな方向に動かされると、ツナの体はびくびくと大きく震えた。
「ぁ、あ・・・」
ひくひくと震えながらツナが首を反らせて息をする。
目の前に晒されるその白いのどに噛み付きたくなる衝動を抑えて、
代わりに手の動きを乱暴なものにした。
乳首の先に爪を立ててカリカリと引っかく。
もう片方は、指でつまんできゅうう、と強く引っぱった。
「ひぁっ・・・!」
それまでのゆるくやわらかい刺激とは一変した強い刺激に、
ツナはか細い声を上げて先走りを漏らす。
股間にじわりと広がった熱に、獄寺はにやりと悪い笑みを浮かべた。
胸を刺激されてからも控えめにゆれていた腰は、いつの間にか止まっていた。
獄寺は胸を刺激するのをやめず、そのまま腰を動かし始める。
「ツナヨシさん、こっちの方が止まってますよ?」
くちゅり、とツナのペニスから流れてくる先走りを二人の竿に擦り付けるように動かした。
気持ちのいいところをいっぱい獄寺に触られて、ツナは自分の体を支えるので精一杯だった。
獄寺の言葉にも反論する力さえ残っておらず、口から漏れるのは小さな喘ぎ声だけ。
それでも必死に目を開けて、獄寺にすがるように視線を向ける。
その潤んだ物欲しそうな目を見て、獄寺はごくりとつばを飲み込む。
それと同時にどくりと大きく脈打った獄寺のペニスに、ツナは小さく息を呑んだ。
「ツナヨシさん、おしりをこっちに向けてください」
しかし獄寺は荒い息を抑えて、なんでもないように言う。
その言葉を聞いてツナは一瞬、びくりと体を震わせた。
「ツナヨシさんもオレに食べられたいでしょう?」
ぎらぎらと光る獄寺の目に見つめられて、ツナは抵抗することもできずにふらふらと体を動かした。
ゆっくりと腰を上げ、獄寺と自分のおなかの間に隙間を作る。
ペニスが離れるときにぬるついた先走りが糸を引いてぷつりと切れた。
ツナは恥ずかしそうにしながらも、獄寺のおなかの上で体の向きを逆に変える。
そこから動くことができなくて固まってしまったツナに、獄寺はやさしく声をかけた。
「そのまま後ろに下がってきてください。このままじゃツナヨシさんを食べられない」
獄寺は手を伸ばしてツナのおしりをゆっくりと撫でる。
その感触にぞわりと背中を何かが通り抜けた。
だけどいつまでもそこでうずくまっているわけにもいかない。
ツナは力を振り絞って、ずるずると後ろに移動した。
獄寺の目の前ではおいしそうなおしりがゆっくりと自分に近づいてきている。
ふるふると震えるしっぽがおしりを隠すように心細そうに揺れている。
前にピクニックに行ったときは、このしっぽがぴんと元気に立ち上がっていた。
獄寺に見られていることも知らずに誘うようにおしりを振っていたあのときとはまったく違うその様子に、
獄寺はクスリと小さく笑みをこぼした。
「ご、獄寺君・・・これでいい?」
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