「っあ、」
たまらずに小さく声を出すだけでも、今の自分がどんな顔をしているのか、
獄寺君がその様子をじっと見つめているのが気配で分かるだけに急いで口を閉じる。
それでも漏れそうになる声をこらえて、ん、ん、と鼻にかかった声が口からかすかに漏れるのを聞いた。
目を閉じることで感覚の鋭くなった耳を突然舐められて、肩が大げさなほどに跳ね上がる。
ぴちゃ、ぴちゃ、と聞こえる音と、自分のものが出す音も重なって、
顔を振って耳を離そうとするのにそれができないもどかしさに吐息と共に小さく声を吐き出した。
「っは、は、ァ・・・」
声が漏れるたびにすり上げる手の動きは強く、早くなり、余計に声が上がってしまう。
「10代目・・・そろそろイきそうですか?」
耳元で囁かれる言葉に、そのとおりなんだけども、意地を張って首を振る。
そうですか、と小さく言う声が聞こえて、あごに添えられていた手がゆっくりと首を這い、胸に届く。
また乳首を刺激され、股間を刺激する指の動きも変わる。
竿をすり上げていた指が先端に向かい、
亀頭のふくらみを先走りでぬるぬるになった指で柔らかく刺激されて気持ちよさに思わず腰が前後に揺れる。
後ろで小さく笑うのにも怒る余裕さえなくて、先端を刺激されるのに合わせて腰を振り、ただただ泣き声を上げた。
弱いところを同時に刺激されて快感は倍増し、意地を張っていられなくなった。
「ごくでらくんっ、ぁ、あ」
「もう、我慢できませんか?」
オレはただイくことだけしか考えられなくて、自由になった首をがくがくと振った。
「そのままじゃ、顔が見えません」
「・・・?」
言われたことの意味が汲み取れなくて、力の入らない体を何とか起こして鏡越しに獄寺君を見る。
「オレ、さっき言いましたよね。10代目のイクときの顔がすごく綺麗だって」
確かに言われたけれど、だからといってうなずくこともできずに視線を横に逸らす。
「イくとき、ちゃんとオレの方見ててくださいね」
「なっ・・・や、やだよそんな・・・!」
「じゃあ、イかせてあげません」
そう言いながらも刺激は止まらずに、ゆっくりとオレを追いつめる。
弱いところばかりをいじられて、でもイきそうになると指はするりと他のところに移動する。
「っふ、ぅん・・・」
あと少し、あと少しだけ強くいじってくれれば、すぐにでもイけるのに。
だらだらと先走りの液が獄寺君の指を汚してるのが分かる。
ついに耐えられなくなってぽたぽたと涙をこぼし、洗面台に水滴が落ちた。
「我慢しなくたっていいんですよ」
舐められていた耳に歯を立てられ、びくりと体が震える。
そこをまた癒すように舐められて。
手は先端から根元までを行き来する。
ゆっくり、じらすようだった動きはだんだんと速くなり、
先走りは動きを助け、くちゅくちゅと卑猥な音を立ててオレ自身を追い詰める。
「はっ、は、ァ、っん・・・」
唾液が溢れるのに喉は渇き、気持ちいいのに、よすぎて苦しくて。
恥ずかしいという感覚さえ麻痺して獄寺君に助けを求めた。
「ごくでらくん、も、おねがい・・・」
はあはあと、自分でもみっともないくらい息を荒くして、
涙のせいでぼやけて見える獄寺君に必死に話しかける。
「もう、我慢できませんか?」
問いかける声は熱く、息も少し乱れていて。
自分だけじゃないんだって思うと少し安心して、余計に体が熱くなった。
「できなっ・・・ぁ!」
「分かりました」
きゅうぅ、と乳首を強く刺激されて体の震えが止まらない。
低くかすれた声に鼓膜は振るえ、ぞくぞくと背筋を震わせた。
獄寺君の手は遠慮がなくなったように勢いをつけてオレをすりあげて、
ときおり指の腹で力を入れて裏筋を刺激される。
そのたびに体はのけぞり、口からは意味の無い喘ぎがこぼれた。
ちゅ、ちゅ、と音を立てながら首筋にキスを落とされて、
胸に置かれていた手がするすると体を辿り、下に下りる。
まだ陰毛の生え揃っていない下腹部を撫でられ、それからまた下に進む。
上を向いた性器には触れず、その下にある袋に手がかかる。
両方の袋を片手で覆って、ゆっくりと揉みこまれる。
「ぁ・・・ふ、ぅんっ、」
性器への刺激はそのままで、袋への刺激まで加わり、射精感がつのる。
「ぁ、あ、ッ、んっ・・・」
袋の付け根をくすぐるように刺激され、がくがくと震える足に力を入れて。
頭の中は快感に支配され、獄寺君が性器を上下に擦るのに合わせて腰を振った。
「ァあ、ぁ、も、イく・・・!」
我慢の限界もとっくに超えて。
刺激を与えられるまま、先端をくすぐる指に促されるままに、精を吐き出した。
「あ、っは、ッ―――!」
びくびくと体中が痙攣し、精液を吐き出している感覚にさえ身悶えた。
のけぞった顔に注がれる照明のせいか、頭の中だけでなく目の前も真っ白になる。
全てを出し終えるまでゆっくりと竿をさすられて、
なだめるためにうなじに落とされるキスにさえ体を震わせた。
「っは、は、ッ、」
「大丈夫ですか、10代目?」
荒く息を吐いて呼吸を整える。
獄寺君はその間に自分の手を洗い、備え付けのペーパータオルで水を拭き取った。
それから新しいペーパータオルを取ってオレの下腹部の汚れも拭き取っていく。
そのごわごわとした感触に眉をひそめて身をよじる。
いつもはタオルやティッシュを使って清めてくれるので、ペーパータオルの硬さに慣れない。
まぁ、そんなに慣れたくもないけれど。
「すみません、これしかなくて。少しだけ我慢して下さいね」
オレの考えなんて筒抜けのようで、申し訳なさそうな声で謝られた。
それに首を振って応えて、それからほぅっと息を吐き出す。
オレは熱を吐き出してすっきりしたけれど、
一緒に煽られてた獄寺君はどうなんだろう、そう思って前を向く。
獄寺君はさっきと同じ体勢で、オレに覆いかぶさり、
今度は高めるんじゃなくて、宥めるように下腹部で手を動かしている。
鏡越しのオレの視線に気付いて、顔を上げて目を合わせてくれた。
「・・・獄寺君は、しなくて大丈夫?」
いや、まぁ、大丈夫じゃなさそうなのは、押し付けられてたもので何となく分かってるんだけども。
自分で言っておいてなんだか間抜けな質問だなぁと少し後悔し始めていると、
オレの質問に一瞬きょとん、としていた獄寺君は、そのあと普段どおりのきれいな笑顔を向けてくれる。
「大丈夫、じゃないですけどね。我慢はできます」
オレのズボンを元通りに直しながら言われる、
今ゴムがあれば、ここでやりたいくらいですけど、という言葉はたぶん本気だから笑えない。
あぁそう、なんて精一杯気のない振りをしてそっけない言葉を返してみても、
オレの動揺なんてものは、きっちりお見通しなんだろう。
「でも、オレのこと気にしてくださるのなら、今からここの部屋、借りてきましょうか」
いや、確かに獄寺君のことも気になるんだけど、
一度落ち着いた後にまたそうなるって考えると、ちょっとひるむ。
「このホテル、親父が手を貸してるんです。最上階の特別室も用意できますよ」
「え、いや、あの・・・!」
突然の提案に慌てて意味をなさない言葉を口に出していると、獄寺君に笑われた。
「嘘ですよ」
「・・・へ?」
「このホテルに顔が利くのは本当ですけど、できれば10代目を抱くのは、
親父の息のかかった場所じゃなくて、オレの部屋の方がいいですし」
オレのしょうもない見栄です、なんてはにかんだ笑顔で言われてしまうともう駄目で。
ネクタイを締めてくれてる手に手を重ねて。
「獄寺君の部屋までちゃんと我慢できたら、オレのこと好きなように抱いていいよ」
鏡に映る獄寺君をじっと見つめて、ゆっくりと言う。
心臓の音は外まで聞こえてるんじゃないかってくらいに大きく響いて。
だけどそれを知られないように、務めて冷静に。
鏡越しに返される視線の強さに、獄寺君の手によって直された衣服は、
また獄寺君の手によって脱がされていくのだろうと悟った。
End
................
このままここで襲ってたら、獄寺はヘタレのままです。(笑)
紳士獄ならば、ちゃんと自分の部屋まで我慢してくれると思います。
一応後者希望で書いてますが・・・。
ツナは獄寺がかわいいこと言うともうメロメロに甘やかしてやりたくなると思います。
獄寺はツナがかわいいこと言うともうメロメロに泣かしてやりたくなると思います。(?)
ということで、遅ればせながら、
標的51 6月の花嫁 の妄想でございました。
最初は、えろ入るまでのところを書きたくて書いてたんですけども、
この流れだったら鏡プレイできるなぁと思っておもむろに裏行き。(笑)
鏡プレイ好きなんですよ〜でも獄寺はできなさそうだなぁと思ってあきらめてたんで、
ここぞとばかりにやらせました。
でもちょっと不発・・・?
本気の言葉攻めって、獄寺はできないと思うんですよ。
軽い言葉攻めで鏡プレイって中途半端だったわーちょっとへこむ。時間かけた割に・・・。
日記で鏡プレイ書こうかなと呟いたら反応して下さった方、ありがとうございました!
すっごい遅くなりましたけど、少しでも楽しんで頂けたらなと思います。
あと言わせたかったけど言わせられなかったセリフ。
「このスーツを脱がせられるのは、オレだけなんですよね」
いつか言わせたいなぁ。
(2005.07.18)
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