電脳戦機バーチャロン

実機について

時代は電脳暦(VC)へと更新された。
人類の生活圏は地球に留まらず、その周囲、月にまで及んでいる。これらを総称して地球圏と呼ぶ。

地球圏有数の巨大企業国家ダイナテック&ノヴァ社(DN社)は、電脳暦にふさわしい新たな兵器のコンセプトを模索していた。
彼らは長年にわたる地道なマーケティング調査とその分析をもとに、電脳暦(VC)70年代後半、XMUプロジェクトを立ち上げる。
それは「巨大人型有人ロボット兵器」の実用化を目的としていた。
当時、限定戦争のショー・ビジネスとしての側面は、数々の奇妙な規制をもたらしていた。
戦闘内容のさらなる激しさが求められ、少女型素体を用いる等、下世話なものが登場する一方で、
あからさまな流血を伴う過度の残虐性は、倫理規定に抵触するものとして否定されたのである。
残念ながらXMUプロジェクトは道半ばで頓挫する。
VC70年代になされた技術的蓄積は、後の戦闘バーチャロイド開発に活かされることになる。  

VC84年、DN社は月面における自社再整備区画79号内にある廃坑を探査中、謎の遺構ムーンゲートを発見した。
DN社は極秘裏に発掘調査を開始、やがて遺跡最深部からVクリスタル(ムーン・クリスタル)と呼ばれる八面構造の巨大な結晶体を見出す。
調査が進むにつれ、発掘現場に常駐する人々の間に奇妙な症状があらわれるようになった。なんの前兆もなく突然、意識を失ってしまうのだ。
発症者はVクリスタルの調査に参加している点が共通していた。これは後にバーチャロン現象と呼ばれるようになる。

VC96年、当時開発中だったXMU-04-C(後のMBV-04テムジン)とXMU-05-B(後のHBV-05ライデン)は、
急遽、実戦用に装いを変え、極秘開催されていた限定戦争に投入された。
結果は上々で、試作機であったにも関わらず予想以上の戦果をあげ、
VRの持つ運動能力や戦闘能力が既存兵器のそれを大きく凌駕していることを実証した。

事態はDN社にとって正しく悪夢だった。
しかし、危機に瀕した彼らには「太陽砲の起動阻止=ムーン・クリスタルの破壊」というイベント、
いわばリアルタイム・ドキュメンタリーへの「出演」を条件に、様々な出資や救済の申し出が殺到した。
ヒステリックな混沌の渦に巻きこまれたDN社に抗う術はなく、彼らは道化役を受けいれざるをえなかった。
茶番劇は、半ば戯れのように「オペレーション・ムーンゲート(OMG)」と命名される。

(電脳戦機バーチャロンシリーズ公式サイトより一部抜粋)


1995年12月、セガエンタープライゼスから登場した対戦格闘ゲームである。
「バーチャロイド」と称する巨大ロボットを操作し、敵バーチャロイドと戦闘を繰り広げる。
同社の「バーチャファイター」や「ファイティングバイパーズ」と同様に、グラフィックに3Dポリゴンを採用し、
他社の格闘ゲームと比較しても、奥行きのあるバトルフィールドで自由度の高い戦闘が展開する。
「バーチャファイター」等は2D格闘ゲームとほぼ同じ横向き視点であったが、
この作品では常に自機の後方からの視点となっており、ロボットの操縦感覚をリアルに楽しめる。
メカニックデザインは「機動戦士ガンダムシリーズ」等のメカデザインで知られる、カトキハジメが手掛けている。
8種類のバーチャロイドの性能は著しく異なるが、開発の経緯が同じである事から共通部品も多いという設定である。
例として、全てのバーチャロイドの背中に付属している「Vコンバーター」は、当時のセガの家庭用ゲーム機「セガサターン」を模している。
(シリーズ続編では同様の部品が「ドリームキャスト」になっている)

コクピット風の筐体に、2本の操縦桿(ツインスティック)のみ装備されている。
ツインスティックには攻撃ボタンとダッシュボタンが付属する。
バーチャロイドの操作は、このツインスティック入力の組み合わせが基本となる。

  • 移動…ツインスティックを任意の方向に倒す。移動しながらダッシュボタンを押すと高速移動が出来る。
  • 旋回…ツインスティックを前後互い違いに倒すと機体が旋回する。ダッシュボタンと併用可能。
  • ジャンプ…ツインスティックを左右に開く様に同時に倒すとジャンプする。
  • 防御…相手との至近距離でツインスティックを内側に倒すと、相手からの近接攻撃のダメージを軽減出来る。
各バーチャロイドは固有の武器を装備しており、他の格闘ゲームと同様に、
ツインスティック入力とボタンの組み合わせによって多彩な攻撃が可能になっている。
遠距離では相手を視界に入れてロックオン状態で攻撃すると、発射された武器が相手に向かう。
近接攻撃では手持ちのビームソードや鈍器状の武器、あるいは自分の拳や足で相手を直接攻撃する。
これらの攻撃は各バーチャロイドの個性に大きく反映されている。
この時代の一般的な格闘ゲームの様に、難易度の高いコマンド入力に成功すると特殊攻撃(必殺技)が発動する。

相手のバーチャロイドに攻撃を与え、制限時間内までにライフゲージをゼロにすると勝利となる。
制限時間内で相手を倒せなかった場合は、ライフゲージが多い方の勝利となる。
3ラウンド中で2勝すれば勝ち抜きとなり、次のステージに進行する。
(制限時間・ラウンド数・勝利数は、店舗側が設定可能)

1998年、新たなバーチャロイドと目で見て分かりやすい防御力の表現として「Vアーマー」が追加された
続編「電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム(OT)」が登場。
「空中ダッシュ」や「スライディング」など細かい動作も追加され、更に自由度の高い戦闘が繰り広げられるようになった。
2001年には2対2の4人対戦が可能になった3作目「電脳戦機バーチャロン フォース」が登場。
当時のゲーム業界でも発展途上にあった、専用磁気カードによるプレイデータの保存に対応している。
2003年には家庭用ゲーム機「プレイステーション4」専用として、4作目となる「電脳戦機バーチャロン マーズ」が登場。
前作「フォース」をベースに、家庭用作品らしくストーリーモードが充実している。
従来通りの対戦モードもあるが、「フォース」のような2対2の4人対戦には対応していない。

ツインスティック2本のみというシンプルな操作法と、登場するバーチャロイドのリアルな造形と世界観が人気を呼び、
一部のゲームセンターではバーチャロン専用フロアを設けたところも現れた。
他社のゲーム作品「スーパーロボット大戦シリーズ」(バンダイナムコ)とのコラボレーションや、
人気ライトノベル「とある魔術の禁書目録」とのコラボレーション企画等も行われた。
更に小説化・漫画化、プラモデルなどのゲーム以外の商品も展開されている。


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