効果的な伝え方

 学校図書の6年国語の教科書に、「文章の達人になろう 効果的な伝え方」があります。ここを授業しました。

①猫の貯金箱の絵を板書する。
②「これは猫の貯金箱です。瀬戸物屋さんで売ってたんですが、耳がかけちゃいました。落として。さあ、これを売ることができますか。」
③できるという子に理由を言わせる。(ペンキをぬる、安くするなど)
④「今日の国語の勉強をすると、これをいかに売ったらいいか分かります。」
⑤板書:効果的な伝え方
⑥「~のに…。」という文を作らせる。

「今日の勉強は役に立つよ。効果的な伝え方が分かれば、商売にも役立つし、ラブレターを書くのにも役立ちます。」
 効果的な伝え方を教えるために、まずは否定的な文を作らせようと考えました。

・勉強してないのに100点だった。 
・ねこなのにワンとほえる。
・運動神経がいいのに、頭が悪い。
・この人は、かつぜつが悪いのにアナウンサーだ。
・あやまったのに、ゆるしてくれなかった
・けんかをしないとちかったのに、してしまった。
・えんぴつけずったのに、すぐおれた。
・きのうえんぴつを買ったばかりなのにもう短くなっている。
・でかけようとしたのに、お金をわすれた。
・ねこなのに、たぬきにみえた。
・メスを買ったのに、赤ちゃんがうまれなかった。
・かさをもってきたのにと中で晴れた。
・かわいいねこなのにきょうぼうだった。
・女子なのに男子あつかいされた。→されたことある人?男子である人?
・鉄棒の練習をしたのに、さか上がりができなかった。
・いつもたくさん食べているのにあまりふとらない。
・練習したのに、試合に負けてしまった。

 最後に読んだ田中さんの「練習したのに、試合に負けてしまった。」をプラスにするにはどうしたらいいか書かせて持ってこさせました。プラスになってたら○ですが、事実を変えたり、マイナスのままだったら×です。
「練習したから、試合に勝った。」は、当然×です。
 正解した一人目の子に発表させました。
「試合に負けたけど、しっかり練習した。」
 さらに、浮島くんの「運動神経がいいのに、頭が悪い。」をプラスに変えさせて、ノート持ってこさせました。
 これは○をもらう子が続々出ました。
「頭は悪いけど、運動神経をいい。」
 順序を変えるだけで、マイナスからプラスに変わる例です。
「かわいいねこなのにきょうぼうだった。」→「きょうぼうなねこだけどかわいい。」
 教科書の事例も連れ読みで読ませました。
 教科書には、「言いたいことを最初に持ってくるのが効果的」な例も載っていました。板書された意見から、言いたいことを最初に持ってこさせる事例を紹介しました。
「ねこなのにワンとほえる。」→「ワンとほえる。ねこなのに。」
「ねこなのに、たぬきにみえた。」→「たぬきだ。でもねこだった。」
 耳のかけた猫の貯金箱を売る方法は、小阪裕司氏の『「感性」のマーケティング』に載っていました。

 本来ならばこの商品は傷モノだ。捨てるか、捨て値で処分するところだろう。しかしこの店の社長は違った。彼はこの貯金箱を店頭に出し、こう書いたPOPを貼ったのだ。「私はネコです。三月三日のひな祭りの日に交通事故に遭いました。右の耳を少しケガしましたが、お陰さまで源氣になりました。こんな私ですが、可愛がってくれる飼い主さんを探しています。」 

 50代のお客さんが「このケガしたネコの貯金箱をください。」と買ってくれたそうです。効果的な伝え方の例として、多くの人に教えたいです。

(2007.12.11)