野口先生の挨拶授業

 以前,NHKで放映された「「おはよう」「こんにちは」の意味知ってますか
~野口芳宏先生の国語~」を2回目見ました。サークルの例会でみなさんに見ていただこうと思ったからです。
 見ながら,野口先生の言葉をメモしていきました。( )内は荒井。

「挨拶と返事という勉強をします。ノートを出してください。」
板書 お早うございます
「これがさ、どういう意味だね。」
(分かる人と分からない人,それぞれ挙手させます。)
「そのことは私には分からないということを自分がきちっと知るっていうのは、大事なことです。分かるだか分かんないだか分かんないというのが一番よくない。分かんないときは、分かる人の意見を聞くのが大事。」
「分からなくてもこうじゃないかな、と見当をつけることが大切。」
(こう言いながら,発表した子をほめています。)
「おっていう言葉をつけると言葉が美しくなる。」
板書 美化語
「初めて聞いたような言葉に出会ったら、すぐメモするの。」
美化語 敬語の1つ
「相手を敬う時に、美化語を使う。」
「ございます、これも敬語です。」
「お早うございますは、前と後に敬語をつけている。要するに相手を大切にする言葉なんだね。」
「問題はこれだ。」
板書 早う
「これは朝しか言わない挨拶だね。」
「もともとはこれは、早く、という意味です。」
「早くより早うのは言いやすいので、こう言ってる。」
「早くから目覚めて、元気よく一日スタート始めて感心ですねぇ。そういうほめ言葉なんです。」
「こういう短くいうのを省略表現といいます。」
板書 今日は
(見当をつけた子が発表。途中,発表に対して○×を全員に聞く。降参した子に対して,次のように野口先生は言われています。)
「自分の間違いに気付くっていうのはすばらしいことなんだ。」
「友達の発言をぼんやり聞かない、いつも良いかなわるいかなと聞く。」
(○×を書かせる時に。)
板書 今日は ご機嫌いかがですか。
「相手のことを心に掛ける言葉ですね。」
「省略されているところをちゃんと頭に入れて挨拶すると、挨拶に厚みが出る、深みが出る、ふくらみが出る、ほんと意味をちゃんと知っているといい挨拶ができる。こういうわけです。」
(あいさつを漢字で書けるかどうか問うた後,)
「自分に分かないことやできないこと、ちょっと無理だなと思うことに出会ったら、しめたと思うことが大事なんだ。そういう人はのびていくんだ。」
「知らねえや、分かんねえや、そんなことは。こういう人はのびない。」
板書 挨 迫る 近づく 押し合う
   拶 すり寄る
「挨拶は、人間と人間が近づくことだ。」
板書 返事 相手に届ける
「返事の仕方が悪くて叱られたことのある人、手をあげて。」
(その経験を子どもたちが発表。楽しい。)
「言葉は心の形なんだ。」
板書 言葉遣い=心遣い
板書 はい 
「気持ちの返事は、ここにっがつくんだよ。」
板書 はいっ
「もっといい返事の仕方があります。」
板書 はいっっ
「一日一日言葉遣いは大事なんだ。心まで育っていく。」

 野口先生の授業は,学習内容を教えるだけの授業ではありません。
 学習内容を教えながら,学習する方法,学習への心構えまで,教えています。 これは,学習規律を高める久保先生の授業に通じるところがあります。
 教師は,教えるのが仕事です。
 教師になった多くの人は,「教える」ということにこだわりがあるはずです。
「人に教えるのは嫌いだ」という人は教師にはならないでしょう。
「教える」ことにこだわりがあるなら,「教えたい」と思うことをいっぱいいっぱい持っていて,当然なのです。
 教科書に書かれていることを教えるだけで満足していては,教師をやっている甲斐がないのです。
 事ある機会をつかまえて,もっともっといろんなことを教えていきましょう。

(2005.4.23)