評価経済の時代へ

 岡田斗司夫『僕たちは就職しなくてもいいのかもしれない』(2014.10PHP)は、全5章(+終章)で構成されています。

第1章 もう就職できないのかもしれない
第2章 でも、そんなにお金は必要なのか?
第3章 お金は動かなくても経済はまわる
第4章 「お手伝い」という働き方
第5章 最後は「いい人」が生き残る

 今、百均に行けば、ありとあらゆるものが安価に手に入れられます。なぜ、100円という値段で売れるかといえば、海外の工場で大量生産していたりしているからです。要するに、人件費が少ないからこそ、安くなるのです。
「仕事の絶対量が減っている」と岡田氏は言ってます。
 最近、いろんな物は私はAmazonで買います。手に入れたい物が家にいながら手に入るからです。買いに行くための交通費もいりません。しかも、数日以内に届けてくれます。
 多くの人がAmazonで本を買うようになり、小さな書店は軒並みつぶれています。古本屋以外、本は定価なので、どこで買っても同じだからです。
 書店がつぶれるということは、本を卸す問屋もつぶれるということです。
 Amazonを多くの人が利用することで、多くの人が失業しているのです。
 でも、その失業人数分をAmazonが雇っているかといえば違います。合理的なシステムで人員を減らしてるからこそ、Amazonは利益を上げているのですから。
 安くて便利なシステムの誕生によって、多くの仕事がなくなっていってるわけです。
 でも「大丈夫」と岡田氏は言います。
 それは、お金がなくても生きていける社会になってきたからです。
 若者の多くは、CDやビデオを買いません。ネットを使い、無料でダウンロードするからです。「無料な物があるのに買うのはバカだ」とも思っています。
 世の中は「評価経済」に変わりつつある、と岡田氏は言います。
 評価が高い人は、それだけで生きていけるのです。
 例えば、農家に親戚がいれば、一番おいしい米をタダで送ってもらえたりします。同じように、車を持つ友人がいれば、旅行するとき、乗せてもらえるかもしれません。
「いい人」であることが何より大切になってくる、と岡田氏は言うのです。
 そのためには、人を助ける「お手伝い」ができる必要があるのです。
 仕事はなくなるけれど、お手伝いをたくさんしていけばいい、ということです。 納得できる所も多いのですが、人とのつながりを面倒だと思う人には逆につらい時代ともいえるかもしれません。

(2015.5.3)