「ん、っふ・・・」
くちゅ、くちゅ、と濡れた音が響く。
上に覆いかぶされて獄寺君の舌を受け入れる。
ラブホテルなんていう場所が、オレを変にさせていた。
こんなこと、ほんとはするつもりじゃなかったのに。
文句のひとつも言わずに入り込んできた舌に自分の舌を絡ませてるなんて、
いつものオレじゃ絶対に考えられないことだ。
「は、ぁ・・・」
舌を吸われて、甘く噛まれて、ぞくぞくと背中を快感が走る。
行き場のない手をそろりと持ち上げて獄寺君の首に回す。
さらに深く重なる唇。
長い舌に上顎をくすぐられて変な声が漏れる。
そんなことも気にならないくらい、オレは変になってた。
もっと気持ちよくして欲しいって、獄寺君の舌を舐めて甘えてみる。
「あっ・・・」
獄寺君の指がやんわりと乳首を押しつぶした。
バスローブの上からゆるゆると撫でられて、タオルのざわりとした感触に体が震える。
少ししか触られてないのに自分でもそこが芯を持ってるのが分かる。
指が行き来するたび、擦られるたび、じんじんと熱を持つのが分かる。
たぶんバスローブの上からでも分かるくらい硬くなってるんだと思う。
獄寺君は的確にオレの乳首を刺激してきて、だんだんと声が抑えられなくなってくる。
「はぁ・・・ん、ぁ・・・」
舌も歯もほっぺたの裏側も、いっぱい舐められて唾液があふれてくる。
声を漏らした拍子に、口の中に溜まった唾液がこぼれてしまった。
「ぅ・・・んっ」
口の中に残っている唾液をなんとか飲み込むと、
獄寺君が口からこぼれた唾液を吸い取ってくれる。
長いキスのせいでうまく息ができなかったオレは、
開放されると、ゆっくり空気を吸い込んだ。
獄寺君は角度を変えるときとかに息継ぎができるよう気をつけてくれるけど、
それでもやっぱりなかなかうまくできなくて苦しい。
だからってキスが嫌いなわけじゃないし、
うまくできるようになれば、ずっと長くしていたいと思う。
大きく呼吸を繰り返しているうちに、
獄寺君の指は胸から離れ、体を撫でながら下の方へと移動していく。
軽いキスを続けながら、指先が足を撫でる。
つう、と足を撫で上げながら、指がバスローブの中に潜り込み、裾を持ち上げた。
体を撫でる獄寺君の指と、優しいキスにうっとりしていたけれど、
そこにきて慌てて獄寺君の手を押さえようとした。
「あっ、だめ・・・!」
だけど力が抜けてふにゃふにゃになった体ではすぐに反応することができず、
獄寺君の手の侵入を許してしまう。
バスローブの下にはさえぎるものがひとつもなく、獄寺君の指が直に触れる。
パンツは風呂場で洗って乾燥機に入れてしまった。
今、バスローブ以外のものは身に着けていない。
獄寺君の首から離した手は、急に心許なくなって、しがみつくように自分の襟元を握り締めた。
「はっ、あぁ・・・」
性器をやわらかく握りこまれ、ゆっくり上下に扱かれると抵抗できなくなる。
恥ずかしくて恥ずかしくて、身を隠したい一身で顔を背けた。
「10代目のかわいい顔、見せて下さい」
上を向いた耳を舐めながら、低い声で囁かれる。
甘い毒を落とされたように耳を中心に全身に痺れが起こり、体を震わせた。
ゆるゆると扱かれる性器も明らかに質量を増して、
恥ずかしさに震えながら声を振り絞って言った。
「かわいく、ないっ・・・」
その声もみっともないくらい震えている。
オレの言葉を聞いて、獄寺君がクスリと小さく笑うのが気配で分かった。
性器全体を包んでいた手を動かして、先端をくすぐられる。
張り詰めたところを強く撫でられると、先走りが漏れ始める。
びくんびくんと情けないくらいに体が引きつった。
いくらおなかに力を入れても、そのそばから力が抜けていって先走りを止められない。
「あっ、あ、やぁっ・・・!」
シーツに頭をこすり付けて快感を散らす。
そんなことをしたって熱が治まるものでもなかったが、
そうでもしないと頭の中がおかしくなりそうだった。
「かわいいですよ、下に何もつけないでオレのこと待ってくれてて、
オレにペニス扱かれてあえいでる10代目は、すごくかわいい」
熱に浮かされた頭でも、何を言われたか理解できた。
恥ずかしくて、バスローブを握り締める手にますます力が入る。
「へんなこと言うな・・・っ!」
「変なことじゃないです。ほんとに、かわいい・・・」
獄寺君は頭を移動させて、オレの首筋に口付ける。
ちゅ、と濡れた音を立てて吸い上げられる。
ちゅ、ちゅく、と何度も吸っては舐められて、
その濡れた音に、濡れた感触に、頭の中はますます靄がかかったようになる。
「はぁ、っあ、あ・・・」
下肢からはくちゅくちゅと濡れた音が途切れない。
ぬめりを帯びた先端をいじられて目の前がにじむ。
濡れた音、荒い息遣い、それらを自分が出していると思うと気がおかしくなりそうだった。
布切れにすがるだけじゃ頼りなくて、
目の前にある獄寺君の手を握り締めた。
獄寺君が自分をこんな状態にしてるってのに、その相手にしかすがることができない。
ぴちゃ、と濡れた音をさせて首筋から舌が離れた。
「10代目、これ使ってみましょうか」
「・・・え・・・?」
いつの間に用意していたのか、オレのものから離れた獄寺君の手には小さな道具が握られていた。
卵を一回り小さくしたような形で、プラスチックの淡い水色が鈍く光を反射している。
それを見るのは初めてだけど、よからぬものだということははっきりと分かった。
手元の道具を見つめる獄寺君の笑顔は、笑顔のはずなのにちっとも心穏やかにならない。
不安だか期待だか、不快感とか快感とか、
いろんな感情がごちゃまぜになって自分でも自分が何を思っているのか分からない。
下の方でくちゃ、と粘ついた音が聞こえる。
音がした方に目を向けると、獄寺君は指に付いた先走りを、その道具に塗りつけていた。
「っ・・・!」
何やってんの、って言葉が出る前に、その道具につながれたスイッチによって電源が入れられる。
途端に耳障りな機械音が響き出して、震えるそれがオレのものへと近づけられた。
「ひッ・・・!」
卵型の道具と性器を一緒に握りこまれ、驚いて変な声が出てしまう。
水色の卵は小刻みに震えて性器を刺激する。
爪を立てるようにシーツを掴んでその刺激に耐えていると、
獄寺君は空いた方の手でオレの膝を掴んで割り広げた。
遮るものがなくなると、獄寺君の手はオレの性器に震えるそれを押し付けたまま好きなように動き回る。
「ああっ、ぁ、んっ、ぅん・・・!」
竿の部分も、出っ張ったところも、どこもかしこも刺激されて、
恥ずかしいなんて思う暇もなく声を上げさせられる。
手のひらに卵をぴったり収めて、まるで自分の体の一部のように器用に動かす。
獄寺君の大きな手は、それを挟んでいても十分に性器を捕らえることができた。
卵型の道具は震えながら竿を伝ってゆっくりと下へ移動する。
根元まで降りてくると、長い指が袋をつついた。
震え続ける水色の卵と袋を一緒に握りこまれ、揉みくちゃにされる。
「ぃ、ぁ・・・あっ、ぁア・・・!」
喉の奥から声が突いて出る。
そこを揉まれるたびに震える先端から先走りがぽたぽた飛び散る。
うまく息ができなくて苦しい。
苦しくて涙もこぼれる。
どうにかして欲しくて息の合間に獄寺君の名前を呼んだ。
「っ、ごく、でらく・・んっ・・・」
「はい、10代目・・・」
獄寺君の声が聞こえたことに少しだけほっとして
シーツを握り締めていた指を離して、獄寺君のバスローブにすがる。
だけど全身が震えて力が入らなかったから、弱々しいものだったかもしれない。
獄寺君は卵を持つ手を動かすと、もう一度竿に沿わせて上がってくる。
裏筋を圧迫するように押し付けられて、
そのまま上下に動かされるともうだめだった。
開放を求めて腰が勝手に動いてしまい、止めようと思っても止まらない。
獄寺君の手に、その卵型に性器を擦り付けるように腰を動かして悲鳴を上げる。
「あ、あァ・・・っ、」
ヴヴヴ・・・と耳障りな機械音を立てながら、
獄寺君は水色の卵をゆるゆると動かした。
裏筋に沿わせて何度も上へ下へと行き来したあと、
ゆっくりと上に向かい、小刻みに動くそれを先端に押し付けてくりくりと回される。
「あっ、あ・・・っん、あっ・・・!」
限界を超える刺激に、緊張で太ももが引きつる。
その刺激に耐え切れずに性器はびゅくびゅくと精液を吐き出して、
出口で震えながら待ち構えていた機械にかかってしまう。
さらにぬめりを帯びたそれは機械音と微かに水音をさせながら、
イったばかりで過敏になってる先端を容赦なく刺激する。
「やっ、あ、だめぇ・・・!」
達したばかりなのに、またすぐに張り詰めるのが分かる。
力を持ち始めてぴくぴく震える性器に、未だ機械は刺激を続ける。
「ごく・・・でらくん、助けてぇ・・・」
自分をこんな状況に追い詰めてるのは獄寺君本人なのに、
それでもオレには獄寺君以外にすがる人はいない。
にじむ目でなんとか獄寺君の姿を捉えると、途切れ途切れに名前を呼んだ。
「・・・その目がいけないんです、10代目」
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