え?と聞き返す前に、獄寺君の指が動いた。
しつこく刺激し続けた先端をくるりと親指で撫でたあと、
その指と機械が性器から離れた。
はぁ、と息を吐いたのもつかの間、獄寺君の低い声が響く。

「10代目はここも好きですよね・・・」

獄寺君の言葉をきちんと理解できないくらい、頭の中がどろどろになってる。
なんて言ったの?そう思って獄寺君を見上げると、
掴まれたままだった膝をさらに押さえられ、胸につくくらい折り曲げられた。
バスローブの裾はもちろんめくれて、恥ずかしいところを全部見られてる。
獄寺君の目はギラリと光り、袋の付け根と穴の間のわずかな場所にぬるくて硬い感触が当たった。
震え続ける卵の先を、ぐい、と押し付けられる。

「ぅ、んんっ」

卵の先が、短い距離を行ったり来たりする。
そこを刺激されると頭の中は真っ白になって、何も考えられなくなる。
袋の付け根も、その下の道も、どこに当てられても感じてしまって、
目をつぶって耐えるように体を丸めた。
獄寺君の手の温度か、それともオレの熱さのせいでか、
ぬるくなった卵型の機械は規則的にオレの熱を上げていく。

「やっ、あ・・・!」

硬いプラスチックが這い回るたび、熱い息を漏らす。
それは徐々に後ろに下がって、穴の周辺をくすぐり始めた。
入り口には触れずに、その周りをぐるぐると刺激する。
気持ちいい・・・でも・・・物足りない。
そこだけじゃなくて、もっと奥まで気持ちよくして欲しくて、
後ろの穴が物欲しげに口を開くのが自分でも分かった。
恥ずかしい。
自分で分かるくらいだから、
たぶんそこを見てる獄寺君には、しっかりばれてしまってるだろう。
不意に機械の振動が離れて、代わりに獄寺君の指が触れた。
口を開いた穴の入り口をゆるゆると撫でられる。

「っ、あっ、」

それでも中には入れてもらえずに、入り口ばかりを撫でられ続けて気がおかしくなりそうだ。
なのに体は指を入れられたときの気持ちよさを思い出して敏感に反応する。
すでに立ち上がっていた性器はぴくぴく震えて我慢できずに先走りを漏らし始めた。
期待してる、恥ずかしい体。
獄寺君の指を誘い込むように、収縮を繰り返す。

「中も触って欲しい・・・ですか?」
「んっ、ん!・・・さ、わって・・・!」

ほんの少しだけ、指が中に入り込む。
取り囲む内壁をかき分けるように進まれて、しびれるような快感が突き抜ける。
もっと奥まで、触って欲しい。
獄寺君の指で気持ちいいところを全部いっぱい触って欲しい。
頭の中は真っ白で、気持ちよくて、もっと気持ちよくして欲しくて、
恥ずかしいって気持ちもちゃんと残ってるのに、そんなものは頭の片隅に追いやられてしまった。
早く獄寺君の指で奥を突いて欲しくて、少しだけ入り込んだ指をきゅう、と締め付けた。
クス、と小さく笑う気配がした。
焦点の合わない目を獄寺君に向けると、たまに見せる、飢えたような目。
その目に見つめられるとぞくりとした。
獄寺君はオレの目を見ながらゆっくりと指を回すと、オレの中から指を抜く。

「ぁっ・・・」

抜けないようにきゅっと力を入れても、
少ししか入っていなかった指は簡単に抜けてしまう。
物足りない、なんて思ってるのが分かってしまうような声を出して、
オレは本当にどうしてしまったんだろう。
変に煽られてしまったそこは収縮を繰り返して、また触って欲しいって指を求めた。
だけど、次にそこに触れたのは指じゃなくて、まだ温かさの残る機械だった。

「ッ、ああ・・・っン!」

入り口に卵の先っぽを当てられる。
それが潜り込んでくる感触に体を震わせた。

「・・・っく、ぅんッ・・・」

ブルブルと小刻みに震える機械はすぼまった入り口をほぐすように刺激する。
強い刺激を耐えるようにぎゅ、と力を入れると、
ますますその振動を強く感じて逃げるように力を抜く。
それでもまだそこに突きつけられている刺激に力が入り、機械を締め付けた。

「っは、ァああ・・・」

びくびくと体を震わせながら、入り口ははしたなく収縮を繰り返す。
獄寺君は力を入れてそれを潜り込ませたり、はぐらかすように抜いてみたり、
抜き差しする距離はほんの少しのものだったけど、
震え続ける機械にオレは残り少ない理性を剥ぎ取られていく。
もっと奥まで入れて欲しいのに。
奥まで固いもので擦り上げて欲しいのに。
近くまで来ている限界に、頭の中がチカチカする。
オレを苛み続ける卵形の機械に縋るようにぎゅう、と締め付けると、
浅い抜き差しを繰り返していたそれは、それまでと代わってぐるりと入り口を撫で回した。

「ぁッ・・・!」

少しだけ入り込んだそれは、敏感になった入り口を小刻みに刺激して回る。
小さくすぼまったそこを広げるように大きく回されると、たまらなくて、我慢できなくて、

「っぁ、ア―――っ!」

その刺激に耐え切れずに精液を飛ばしてしまう。

「はぁ、ぁ・・・ァ」

力が抜けて、それでも入り口への刺激は止まらなくて、
射精したばかりの性器はまた震えて立ち上がりそうになる。

「ご、ごく・でらくん・・・」

荒い息を整えようとしても、
止まない振動にすぐに息を乱される。
前から流れ落ちた精液にまみれて酷い水音がする。
ぐちゃぐちゃとかき回すように震えながら入り口に精液を塗りこめる。
達した後もしばらく入り口をかき乱し、機械は精液を絡めて奥へと向かう。
くちゅ、と小さな音を立てて、何の抵抗もなくオレの中に入り込んだ。

「っは、ぁ・・・」

苦しい。うまく息ができない。
息つく間もなく刺激され続け、喉はからからで弱々しい声しか出ない。
精液を絡めた機械はそんなオレに構うことなく奥へと進む。
機械が全てオレの中に収まると、続いて獄寺君の指が入ってくる。
ゆっくりと、プラスチックを奥へ押し込む。
振動は止まず、中を刺激し続けながら奥へ奥へと入り込む。

「・・・っあ、ぁああ・・・!」

びくん、と自分でも分かるくらい大げさに体が跳ねる。
体の中の一番感じるところに機械が当たったんだ。
それまで奥へと動いていたのに、急にその動きを止める。
そこに留まって、感じるところを刺激し続ける。
過ぎる刺激は苦痛にもなってオレを悩ませた。
獄寺君は機械をそこに置いたまま、指を抜いてしまう。
どうにかしたくて、どうにもできなくて、ただただその機械を締め付ける。
そうするとその振動は鈍く強くなり、中からオレを苛んだ。
神経を直接刺激されるような動きに、思うように力を抜けない。

「ごくでらく・・・やだ、も・・・それ、出して・・・!」
「分かりました」

自分一人ではどうにもならなくて、獄寺君に助けを求める。
ぼやけた視界に映る獄寺君の口元は、にっこりと笑みを浮かべている。
だけどそれがいつもの綺麗な笑顔じゃないことは、いつものことで分かっている。
少しだけ嫌な予感がよぎったけれど、だけどオレにはどうすることもできない。
この苦痛と紙一重の快感から逃れるためには、獄寺君に任せるしかなかった。


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