くるくると機械のコードを指に巻きつけて遊んでいた手で
そのコードをしっかり握り締めると、機械をゆっくり引っ張りはじめた。
思うように力を抜けずにぎゅうぎゅうとそれを挟み込んだ中から、
機械は壁を広げるようにゆっくりと、震えながら出口に向かって動き始める。

「はぁっ、は・・・っ」

機械が気まぐれに気持ちのいいところを刺激して、そのたびにオレは息を乱した。
びくびくと足が震えるところではことさらゆっくり中のものを動かして、オレの反応を楽しんでいる。
こんなときの獄寺君は本当に意地が悪い。

ほんの少しの距離を、オレにとっては気が遠くなるほど長い時間をかけて、その機械が動いた。
出口の近くまで戻ってきたそれが、やっと出て行くのかとほっとしたところで、
獄寺君はそのコードを引く手から力を抜く。
途端、その機械はまたオレの中へとゆっくり沈み込んでしまう。

「や、やだ・・・!」

またあの刺激に苛まれるのかと不安になって
奥に行くのを止めようと力を入れると、逆に奥へと入り込んでしまう。

「っぁあああ・・・」

さっきよりも深く入り込んだ機械が小刻みに震えてオレをいじめ続ける。
一番恥ずかしいのは、そのことに自分の体が喜んでいることだ。
深いところを刺激されて、前は嬉しそうに立ち上がって涙をこぼしている。
しまりのない口が唾液をこぼすように、先っぽが震えながら精液を吐き出す。
獄寺君に向かって足を広げて、収縮する入り口も、震える性器も全部見られて、
感じてる自分が一番恥ずかしい。

「ひっぅ、ん・・・んぁあ・・・!」

ずっと握り締めていたシーツを離して顔を隠す。
こんな汚い顔、見られたくない。
じっとりと汗ばんだ額と、目からも涙が流れていた。
手で顔を覆って初めてそのことに気付く。
コードを引っ張って中のものを揺らしながら、獄寺君が顔を近づけてくる。

「10代目、かわいい・・・」

体を倒してオレの膝を固定すると、
自由になった左手で顔を覆っているオレの手を引き剥がした。

「すげぇかわいい・・・」

甘ったるい声が鼓膜をくすぐる。
今のオレは絶対酷い顔をしているのに。
かわいいはずがない。獄寺君はおかしい。獄寺君のばか。
汚い顔を隠せなくなったオレは、苦し紛れに目をつぶる。
その拍子に目に溜まっていた涙がぽろりとこぼれた。
ちゅ、と軽い音を立てて温かいものが触れる。
獄寺君の唇だ。
ちゅ、ちゅ・・・と小さく音をさせながら、流れる涙を吸い取ってくれる。
その優しい感触に恐る恐る目を開けると、とても近いところで獄寺君に微笑まれた。
それがすごく気恥ずかしくて、思わず目を逸らす。
逸らしたところで獄寺君の視線からも中の刺激からも逃げることはできない。
いつまでも続く深い刺激に、そろそろ頭の中がおかしくなりそうだ。
いや、もうおかしくなってる。
こんなプラスチックじゃなくて、獄寺君のが欲しいなんて、正常の頭じゃない。

「・・・っ」

一度逃げた獄寺君の視線を捕らえなおす。
相変わらず綺麗で妖しく微笑む獄寺君を見つめながら、
みっともないくらい震えた声で懇願した。

「もう、それとって・・・ごくでらくんの、いれて・・・」

声と同じくらい震えてる手を伸ばして、獄寺君の首に絡める。
獄寺君の顔を、見ていられなかった。

「・・・すみません、10代目」

その言葉に、え?と小さく聞き返す。
くっついた顔の横から聞こえたその言葉の意味がわからなくて、
言いようのない不安が募る。

「もう・・・ちょっと、我慢できそうにないです」

何?と聞こうと口を開いたところで
急に中に埋め込まれた機械が引っ張られる。

「っ、ぁあ!」

コードを引いて、締め付けている内壁を強引に割り開いていく。
ぶるぶると震えながら外に向かうそれは、最後までオレの中をかき乱した。

「―――っ!」

くちゅ、と恥ずかしい音を立てて機械が抜き取られると、
すぐに獄寺君のものが押し当てられた。
熱くて、太い。
両足を抱えるようにされて腰が持ち上がる。
きっとすごく変な格好だ。
でもそんなことも気にならないくらい、オレは迫ってくる熱に夢中になった。

「ぁんっ・・・ごくでらくんっ・・・!」

オレが呼びかけるのか、獄寺君が押し入ってくるのか、どちらが早かっただろう。
機械によってぐずぐずにほぐされたオレの中を、
硬くなった獄寺君のものが入り込んでくる。
機械よりもずっと太いのが、敏感になった内壁を擦り上げた。

「っぅ・・・ぁ、はぁ・あんっ・・・!」

その太さに慣れるよりも早く、獄寺君の腰が動く。
奥まで入ったと思ったら抜けそうになるくらい腰を引かれる。
やっと与えられた獄寺君を逃がしたくなくて、きゅう、と後ろに力を入れる。
狭まったところをまた強引に押入れられて、開かれる感覚に先走りをこぼす。
強引に抜き差しされるのが気持ちいい。
激しい摩擦に頭の中も焼き切れそうになる。
気持ちいい、ということさえ考えられなくなるくらい、どろろどに溶けてしまう。

「ぁあ、っも、イく・・・ぁ!」

開放を求めてひくつく性器を、ぎゅ、と握り締められる。

「もうちょっと待ってください、10代目」
「・・・っあ、あ・・・!」

達けないように根元をせき止められて、体の中に熱が溜まる。
限界を無理やり押さえ込まれてもう何がなんだか分からない。
出口をふさがれた体の中で、それでも構わず熱は膨れ上がっていく。
強く擦り上げられる内壁、大きく揺さぶられる体、首筋にかかる熱い息、
そのどれもがこれ以上ないくらいオレの快感を高ぶらせる。
何も考えられない。今のオレに分かるのはオレを包む熱と、獄寺君だけ。
獄寺君の首に回した腕に力を込める。
ぴったりくっついて、近づいた首筋に噛み付いた。

「っ、10代目・・・!」

耳のすぐ近くで獄寺君の息を飲む声が聞こえる。
オレの中で、獄寺君が震えるのが分かる。
オレにしがみつかれて動きにくいだろうに抜き差しはそれまでよりも速くなり、
強引に擦り上げられる刺激についにオレは耐え切れなくなる。

「や・あぅ・・・ごく、でらく・・・も、だめ・・・!」

獄寺君の首から口を離して限界を訴える。
獄寺君はオレの首筋をねっとりと舐め上げると、さらに強く揺すり上げた。
刺激についていけなくて体中が震える。
コアラみたいに獄寺君の首にぎゅうぎゅう抱きついて体を支えるのが精一杯だ。
何度も何度も奥まで突かれて、真っ暗な視界にチカチカと光が飛ぶ。
性器を締め付ける指がゆるゆると動き出す。
後ろの激しさとは正反対の柔らかな刺激に、余計に耐えることができない。

「はぁっ、ん、ぁあ・・・あ・・・あ――――ッ!」

ひくん、と体が痙攣を起こす。
獄寺君の手に包まれたままの性器からは精液があふれ、その手を汚す。

「・・・っ、じゅう、だいめ・・・!」

きゅうと締め付けた後ろを硬いままの獄寺君が行き来する。
限界まで広がった入り口はもうほとんど感覚がなくて。
されるがままの状態のオレの中に、一番奥まで突き入れると、獄寺君はそこで動きを止める。
びくびく震える獄寺君の性器に、獄寺君が達したのが分かる。
長い間緊張を繰り返した体はとうに限界を迎えていて、オレは程なく意識を飛ばした。


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