「にょおん」
独特の鳴き声の主は、獄寺君の匣兵器の子猫、瓜だった。
金色の毛並みに細長いしなやかな尻尾、くりくりの大きな目は耳から出ている嵐の炎と同じきれいな赤だ。
他の猫とはやっぱり違う、珍しい見た目にていねいな手入れのされたきれいな姿は目を引いた。
「あいつ、なに寄り道してんだ」
隣を歩く獄寺君がぽつりとあきれたように言う。
獄寺君と瓜は一見仲が悪いように見えるけれど、お互い認めないだけで仲良しなんだと思う。
そうじゃなかったら獄寺君の部屋に猫缶はないし、瓜の方だって獄寺君の炎をほしがったりはしないだろう。
匣に戻りたがらない瓜に文句を言いつつ炎を与えて外の世界を満喫させてあげるのは、
ほだされてるとも言えるけど、優しいとも言える。
どちらにせよ獄寺君はしっかり子猫の飼い主をやっていた。
なんだかんだと言いながら瓜の相手をするときの獄寺君の表情が優しくてやわらかくてとても好きだ。
未来の匣兵器である瓜にとってはこの時代のものはなにもかもが珍しいのかもしれない。
今日も長い尻尾を揺らしながら商店街をうろついて、気になる店の前で中の様子を窺っているようだ。
その様子をほほえましく思っていると、瓜の体の向こう側に見慣れた姿が見え隠れした。
瓜の向こう側に見えたのは
>もじゃもじゃ頭
>しっぽ頭
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