射的屋の男が撃ち落とした菓子とタバコを拾い集めて大きめの袋に入れてくれた。
にいちゃんうまいねー、と愛想よく言っているが、目が笑っていない。
袋を受け取りタバコだけ取り出して、10代目に差し出した。
「お待たせしました。どうぞ、10代目」
「ありがとう。獄寺君、すごいね」
「射撃のことですか?」
「そう。百発百中じゃない。撃つのもすごく速かったし!」
何だか10代目は少し興奮したように話し掛けてくる。
そんなにすごかっただろうか?
「距離も近かったですし、標的も止まっていましたし。
オレの撃つ速さなんて、リボーンさんに比べたらまだまだですよ」
「そんなことない。すごかったよ!本当にかっこよかった!」
「!・・・ありがとうございます」
・・・今、さらっとものすごく嬉しいことを言われたような。
どきどきしながら先を行く10代目を見る。
10代目は大して気にした様子もなく、夜店を眺めている。
さっきまでは並んで歩いていたので気が付かなかったが、
後ろから10代目の姿を見ると、歩くたびに浴衣の裾から足がのぞくのが見える。
その細い足首を見ていると、何だかもやもやとしたものが心の中にたまってくる。
「あ!わたがしだ」
10代目の声がオレの意識を引き戻す。
「食べたかったんだよね。行こう、獄寺君!」
「はい、10代目」
何とか声を出して10代目の隣に並ぶ。
だけど、心のもやもやをぬぐうことはできなくて。
カラカラという下駄の音がやけに耳に響いた。
わたがし屋の前に着いて、ちょうど並んでいた人がいなくなったところですぐに作ってもらえた。
オレは食べないので10代目の分だけを買って、店を離れる。
10代目は射的で取った菓子袋を右手に持っているため、左手に持ったわたがしに口で直接かぶりついていた。
わたがしから顔を離すと、口の周りにまで砂糖がくっついていた。
その様子がやけに子どもっぽくて、失礼だけども、少し笑ってしまった。
「何?何かおかしいことでもあった?」
「すみません。10代目の口の周りに砂糖がついているものですから」
「うそ!恥ずかしー・・・」
顔を赤らめて、慌てて舌を伸ばして唇についた砂糖を舐め取る。
舐めた唇は溶けた砂糖に夜店の明かりが反射しててかてかと光っており、とても魅惑的だった。
さっき10代目の足を見てこみ上げてきたもやもやが、また顔を出す。
オレの心の中が分かっていたら、その行為をすぐに止めただろうけど、気づかない10代目は構わず唇を舐めていた。
そしてまたわたがしにかじりついて、余計に砂糖をくっつける羽目になる。
口の中の砂糖を飲み込んでから口の周りについた砂糖を舐め取る行為を数回繰り返し、
手に持ったわたがしが半分近くなくなったところで、オレがじっと見つめているのに気がついた。
「・・・もしかして、まだついてる?」
オレの視線に居心地悪そうに、でもオレを見上げるその視線に、何かがぷっつりと切れたような音がした。
「ついてますよ」
「うー・・・」
菓子袋を手から腕まで滑らせて、汚れるのが嫌で今まで使っていなかった手を、口元に寄せた。
その手を左手でつかんで止める。
「・・・獄寺君?」
「オレが取って差し上げます」
え、と開いた唇の端にたまった砂糖を舐め取った。
途端に口の中に甘い味が広がる。
そのまま舌で10代目の上唇をなぞる。
舐めるだけでは取れない砂糖には吸い付いて、何度も舌を這わせて、ふやかして。
上唇が終わったら下唇に移動して、また同じように伸ばした舌を這わせた。
ちゅ、と音がするたびにつかんだままの10代目の腕がはねる。
だんだんと大胆になってきたオレは、自分の唇で10代目の下唇をはさんでやわらかく噛んだ。
「あ・・やだ・・・獄寺君・・・」
動く唇の間で触れた10代目の舌に甘い味を感じて、誘われるように自分の舌を10代目の唇の奥へと忍び込ませた。
砂糖を取り去って、10代目を味わうように。
舌をこすりあわせて、甘い味を共有して。
歯にかすかに残る砂糖も取り除くように歯の一本一本を舐めていって。
「ん・・・ふ・」
キスの角度を変える時に漏れる鼻にかかった声が、オレをますます高ぶらせる。
砂糖の味じゃなくて、10代目の味が口に広がるまでキスを続けて。
ようやく口を離した時には、10代目の足元は少しふらついていた。
砂糖の代わりにオレの唾液で光る10代目の唇を眺めながら、やわらかい頬に口づけた。
「どうします、10代目。場所変えましょうか」
耳元で囁くと、びくりと肩を震わせて、それから小さくうなずいた。
花火が上がり始めて空を見上げる人の群れを、10代目の手を引っ張ってかきわけていく。
夜店の後ろにある林の中に足を踏み入れると、周りの喧騒から切り離されたかのように静かだった。
木の間をすり抜けて、夜店の光が届かないところまで歩いていく。
真っ暗な中で聞こえるのは、二人分の足音と少し荒い息遣い。
しばらくすると木がまばらで月と花火の光が届くところに出た。
そこで一番太い木に10代目をもたれさせる。
オレを見上げる10代目の頬に手を添え、口づけた。
空いている方の手で10代目の体をなぞる。
細い腰から、体の側面を撫で上げていく。
生地が薄いため、手のひらに10代目の体温が伝わってくる。
その暖かさにうっとりとして、さらに体を密着させた。
オレの手が動くたびに肩がびくりと揺れ、舌は口腔の奥へと引っ込んでしまう。
そのたびにまた逃げた舌を吸って絡ませた。
そこでもれる鼻にかかった声に、どんどんと理性をはぎとられる。
10代目の肋骨あたりをさまよっていた手を上に上げ、胸に這わせる。
緩い刺激で柔らかく膨れていた乳首を布の上から押しつぶす。
「んっ・・・!」
少し高めのその声がもっと聞きたくて、そこを何度も刺激する。
なでるように、ひっかくように。
「あッ・・・獄寺く・・・」
声を我慢できないようで、顔を振って唇を離された。
いつもより高くなった声に自分の名前を耳元で呼ばれ、背中をゾクゾクと走るものがあった。
「失礼します」
一声かけてから、10代目の胸元を肌蹴させる。
ぶるりと震えたのは寒さからか、期待からなのかは、オレには分からない。
拒む仕草はされていないから、構わず胸元に顔を寄せた。
「あぁっ・・・」
さっきまで布越しに刺激していて赤く熟れた乳首を口に含む。
唾液を絡ませて、舌の腹で押しつぶすようにすると、それは自己主張するように舌を押し返す。
まだ触っていなかった方も立ち上がっていて、指で直に触るとすぐに硬くなった。
「は、ぁっ・・・」
弱々しい声に促されるように、口に含んだ乳首を吸い上げる。
ちゅ、ちゅ、と音をさせるたびに10代目は顔を振る。
イヤイヤとするその仕草が可愛らしくて、その行為を止められない。
舌を絡めて強く吸うと、10代目は高い声を上げて力が抜けたようにオレにもたれかかってきた。
「・・・大丈夫ですか、10代目?」
顔を上げて10代目の様子を伺うが、オレの肩に顔を伏せているので表情が見えない。
ずるずると下がってくる10代目の足の間に片膝を入れて、体を支えながら股間を刺激する。
「ん、んっ・・・」
震える手でオレの肩をつかんで耐える姿がかわいい。
10代目がしゃがみこんでしまわないように、名残惜しいけれど、オレから手を離して頂いて、
背中全体を木に預けるようにもたれさせた。
「浴衣が汚れてしまいますから、座り込まないように気をつけて下さいね」
見えるようになった10代目の顔を覗き込んでそう囁いてから、10代目の足元にひざまずいた。
裾から手を入れて足を撫で上げる。
肌の白さに引き寄せられるように、唇を寄せた。
それだけの刺激にびくりと震える10代目。
くるぶし、ふくらはぎ、ひざ、ふとももと順にキスをしながら上がっていき、
太ももの内側を舌を出して舐めると、さらに大きく震えるのが伝わってきた。
もう片方の足を、なだめるようにゆっくりと撫でながら、
足の付け根まで顔を移動して、強く吸って痕をつける。
「ぅ、んっ・・・」
木の幹に立てた爪が、がり、と音を立てる。
「10代目、オレの肩に手を置いて下さい。爪が割れてしまいますから」
「でも・・・引っかいちゃうよ・・・」
「構いませんから」
困ったような顔をする10代目に笑いかけると、戸惑いながらも手を置いてくれた。
そのことに安心やら満足やら喜びやら、そんな感じのものが沸きあがって、今の顔はすごくだらしないかもしれない。
それでも精一杯の笑顔を10代目へ向けてから、行為を再開する。
足の付け根は普段なら触られてもくすぐったいだけなのに、こういう行為の最中に触られると、酷く感じるらしい。
それを分かっていて、そこばかりを刺激する。
痕をつけるまでは吸わずに、舌を出してちろちろと舐めるだけでも、足の痙攣は大きくなる。
「は・・・ぁ、んっ、」
艶を帯びてきた10代目の声に刺激されて、行為に没頭する。
太ももをやわやわと揉んでいた手を10代目の下着に持っていく。
前に手を当てると、持ち上がった布にしみができていた。
「10代目、勃ってますね」
「言わ・・・ないで、よ・・・」
「少し、濡れてますし・・・」
「ぁあ・・っ」
布越しに握ったペニスの先端を、親指で刺激する。
新たに濡れた感触が指先に伝わってきた。
「下着、脱ぎますか?それとも、オレが脱がせて差し上げましょうか?」
「や、だぁ」
さすがに屋外で下着を脱ぐ行為に羞恥を感じるのだろう。
涙をこぼしながら首を横に振る。
さっきよりも角度を増したペニスに横から軽く噛み付いて、さらに羞恥心を煽る質問をする。
「このままで、濡らしちゃっていいんですか?」
「っく・・・やだぁ・・・」
そのまま刺激し続けて下着を濡らしてしまっても、
オレとしては一向に構わないってことを行動で示して、さらに10代目を追い詰める。
そしてもう一度、下着から口を離して問い掛けた。
「ご自分で脱ぎますか?オレが脱がせて差し上げましょうか?」
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