このコーナーは曲に対する考えや思いを綴っています。
独断に基づいており、客観性や学術性は全くありません。
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36 長唄 二つ巴
 12月といえば、「忠臣蔵」。「二つ巴」はこの「忠臣蔵」を題材にしている曲。曲の前半は一力茶屋の場、後半は討ち入り、本懐、引き上げとなる。
 大正にできただけあって、古典曲とは違った新しい手法が多い。まず曲の始まりからして、驚かされる。なんと、「花に遊ばば」という下座唄で始まる。これは、「忠臣蔵七段目」、いわゆる「祇園一力茶屋の場」の幕開きに使われる曲だ。いきなり「忠臣蔵」を連想させてしまう。由良之助と三人侍との問答があり、おかるも出てきてクドキとなる。まさに芝居そのものだ。由良之助が駕籠に乗って帰っていくところまでが前半だが、ここは「踊り地」を弾きながら徐々にかすめていってフェイドアウトする。完全に芝居の手法。
 後半は大薩摩で始まって、討ち入りの場面。とても勇壮な感じ。このあとの合方は大小入りで賑やかなものだが、替手が「八千代獅子」の合方を弾いており、笛方は能管ではなく篠笛を吹く。凝った演出だ。立ち回りの描写から、仇討ち本懐となり、最後は落ち着いた雰囲気で朝日が昇る雪景色の中を引き上げて行く。
 唄も三味線も聴かせ所がふんだんにあり、長唄演奏会でよくでる。
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