メタルホーク

実機について 1989年初頭、ナムコから登場。
同社の大型体感ゲームとしては「ファイナルラップ(1987年)」のDX筐体から続いて、2作品目となる。

自機は戦闘ヘリコプター。
最新型の基盤「システムII」による、回転・拡大・縮小などの優れた表示機能が生かされ、
2Dグラフィックながら、自由度の高い移動と高低差を表現している。
モニター下にある操縦桿で水平方向に操作し、座席左側にある高度調整用のレバーで上昇・下降する。
水平方向へは360度自由に飛行可能。上昇は最大400・下降は50までで、地形に衝突する事は無い。
筐体下部3か所にある特殊な部品"ボールネジ"と油圧シリンダーによって、実際に自機の動きに合わせて筐体が揺動する。
操縦桿には対空機関砲用のトリガーと、親指に当たる部分に対地攻撃用ミサイルを発射するボタンがある。
これらには弾数制限は一切無い。
作戦エリアは全8エリア。最初のエリアをクリアすると現在地近辺の複数のエリアが選択可能。
(最終エリアのみ固定されている)
選択順に寄っては作戦エリアが夕暮れや夜間になったり、グラフィックも若干変わる。
一部の地上・大型兵器には輪のようなレーダー表示が付いており、撃破すると通常より高ポイントが得られる。
予め設定された作戦時間内までに、敵兵器を撃破して勝利ポイントに到達すれば作戦終了となり、次エリアへ移動する。

1990年代前半辺りまで、ナムコの代表的な体感ゲームの一つとして全国で稼動していた。
派生系として、航空関連の学習施設向けに低年齢層用にカスタマイズされた「夢コプター」がある。
(下記参照)

更に1990年に可動筐体を流用したシューティングゲーム「ソルバルウ」が試作され、実際にゲームショーにて参考出品されているが、
市販筐体は大きく仕様が変更された。
(当該項目参照)

作品について これまで製作していた作品の殆どが、ほぼ直線主体でデザインされている物ばかりなのは
お気付きだったでしょうか?
そもそも最初に手掛けたBEMANIシリーズも、直線メインのデザインが多くて作り易かったのもありますが、
元々こういう曲面加工が苦手なんです。「リフレクビート」である程度対処出来る様になりましたが。

今回の作品はご覧の通り、殻を剥いたゆで卵の様な綺麗な流線型が特徴です。
模型暦30ン年を誇る作者ですが、こんなに大きな流線型のフルスクラッチは初めての経験でした。
こういう部分は本来ならエポキシパテを使うべきですが、個人的にあまり扱いたくない素材な事と、
何より費用と加工のし易さを取り、スチレンボードの積層からの削り出しからの製作に決定。
爪を当てただけで凹んでしまう程にデリケートな素材ですが、別に人にあげるワケでもないので問題無し(笑)
但し、削り過ぎるとエポパテの様に元に戻せないので、写真を見比べながら慎重に切削作業。
大まかに削れたら耐水ペーパーで滑らかな流線型に整形。
問題はスチレンボード最大の欠点である発泡痕をどう処理するかでしたが、結局クリア塗装を厚塗りする事で解決。
クリアを厚めに塗っては乾燥させて耐水ペーパーで研磨の繰り返し…この作業だけで2日ほど掛けてます。

今作品で会得したテクニックは今後製作する他のゲーム筐体のみならず、様々な作品にも応用出来そうです♪

戯言 数あるナムコの大型筐体ゲームの中で、「ギャラクシアン3」と並ぶ一番のお気に入りです。

当時から凄い人気のゲームだったらしく、一時期どこのゲーセンでも設置されていた印象があります。
作者の地元である大阪・西成区役所の向かい側に大きなゲームセンターがありまして、
このゲーム機が導入されていました。
水平方向だけでなく、上下移動も伴う独特の操作に慣れるのに大変でした。
確かに難易度は高いものの弾数制限が一切無く、連射も効くので意外とストレスを感じずに楽しめました。
ほぼ毎週遊んでいる内にノーミス・ノーコンティニューでエンディングを拝めるまでに上達。
高校を卒業した1990年代初頭、このゲーム機を求めて大阪中のゲーセンやデパートの屋上を
彷徨っていたのも今は良い思い出です。
高校卒業前の一人旅で訪れた岐阜・名古屋でも探し回ったっけなぁ…(笑)

このゲームは攻略順に自由度があって、プレイする人に寄ってパターンが異なってました。
作者の場合は最初のエリア(H-3)の後、エリアH-5で空母を沈めてエリアE-4で街を空爆して、
エリアB-6で巨大飛行空母を落とし、エリアF-7では時間制限が迫る中で敵戦車を探し回り、
エリアJ-9では武装した海上プラントを3基沈黙させてから、ヘリコプターよりも速い敵艦隊を
急降下爆撃の繰り返しで辛くも沈め、エリアD-9は航空機の攻撃は激しいものの得点の高い地上物が非常に多く、
これまでとは一転してボーナスステージのような雰囲気。
そして最終エリアG-11。スタート地点近くの海上プラントを潰して内陸部へ進入。
激しく追跡する航空機を落としながらレーダー表示されている地上物を徹底的に叩く…そしてエンディングへ。

1995年頃に近鉄百貨店(阿倍野)の屋上でプレイしたのを最後に見かけなくなりました。
ところが2000年頃、大阪・難波に存在していたゲームセンター「Reno」のレトロゲームコーナーで偶然再会しました。
但し、オリジナルの筐体ではなく汎用筐体(アストロシティ?)に操縦桿とスロットルを取り付けたものでした。
程なくして店が閉店してしまい、結局プレイしたのは今の所これが最後となってしまいました。
最後のプレイから10年以上経ちますが、未だにノーミス・ノーコンティニュークリア出来る自信がありますよ(笑)
もう国内では現存している筐体も指で数える程しか無い様ですが、折を見て貴重な筐体に再会しに行きたいと思います。

夢コプター

実機について 航空関連の学習施設向けとして、上記の「メタルホーク」をベースに製作されたヘリコプターシミュレーター。
筐体・基盤等は流用されているが、外観はローターやテールローター風の装飾が施され、
塗装もホワイトとブルーグリーンに変更されている。
画面も横モニターに変更され、座席左側の高度調整レバーは廃止されている。
本来の機能を生かしたヘリコプターシミュレーターの他に、低年齢層にも楽しめるように
航空機関連のクイズが出題される。

製作は1機のみで、現在も埼玉県の所沢航空発祥記念館に設置されている。
(参考・ナムコアーカイブサイト http://www.bandainamcogames.co.jp/gallery/ayumi/archive/elemecha/index.html)

作品について&戯言 「メタルホーク」製作後に解説記事を書こうと、ナムコのサイトを覗いたら偶然発見しました。
こんな物があったとは…
製作する前から発見していれば、それこそ2機同時進行で手間掛からずに済んでたのにねぇ。
「メタルホーク」の製作だけでパワーを使い果たした気分で、改めてコレを作るのもなぁと思ったんですが、
元々、試作機・試験機という言葉に非常に弱い作者は、あっさり製作を決断したのでした(笑)
まぁ、それなりに場数を踏んでるんで、難なく完成させました。

ナムコのアーカイブサイトによると、埼玉県の所沢航空発祥記念館に設置されていると言う事で、
博物館巡りも趣味の一つとしている作者も、東京某所にあるという「メタルホーク」再会のついでに尋ねようと思います。


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