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論評とは名ばかりで、わたしの電子日記とリンクしてるただのたわごとです。
 10      クラリネットデュオリサイタル
 小谷口直子氏(京響)×ブルックス・トーン氏(大フィル)によるクラリネット・デュオリサイタルへ。
 ドルチェ楽器のサロンで行われたので、いつもの大きなホールよりに近い音が聴けた。それにしてもクラだけのアンサンブルなんて久しく聴いていなかったので、ドキドキした。あの緊張感がこっちにまで伝わってきて、聴いてる間はずっとしかめっ面だった気がする。 ブルックス・トーン氏の音は大フィルで何度も聴いているが、小谷口氏の音もすばらしかった。彼女の音はとてもダイナミックだった。荒々しいところもあったが、トーン氏とのシンコペーションなんかは一糸乱れずすごい迫力だった。トーン氏のほうが繊細で上品な感じ。それぞれオケの首席クラ奏者なだけに、実力があるのは当然だけれど、やっぱり音にはちゃんと個性が出ていて、それをうまくアンサンブルで合わせてくるのがプロの技だなーと感心した。 
 曲は全部で6曲+アンコール1曲。ガーシュウィンの“3つの前奏曲”はガーシュウィンらしい陽気な曲調でとても楽しい曲だった。“Tea For Two”では小谷口氏がジャズさながらに、クラシックとはまったく違う吹きかたで見事にスウィングしていた。
 休憩中、隣に座っていたおじさんは小谷口氏の高校の先輩にあたるらしく、すごく誇らしげにいろいろ教えてくれた。おじさんいわく、この日、小谷口氏は風邪でベストコンディションではなかったらしい。そのためなのか、最初のほうはちょっと表情が堅かったような気がする。でも曲が進むにつれて、だんだん表情が明るくなって、音にもそれが反映されてきて、最後はもう「最高に幸せ〜♪」ってオーラをからだいっぱいで表現しながら演奏していた。わたしも、こんなふだんオーケストラでは見れないクラ奏者の名演が間近で見れてとても楽しかった。
 わたしとおなじ年齢、そして同じクラリネット吹き(←10年前の話)の両氏を遠巻きに見ながら、わたしは自分があそこでライトを浴びながらふたりと並んで演奏している姿をひそかに想像していた。プロセス無視のめでたい妄想…いつもの悪い癖だ。おそらく、いまからどんなに死ぬ気で努力しても、その想像が現実になることはないだろう。しかーし!!忘れてはいけない、「後悔とは やってしまったことではなく やらなかったこと」というあの言葉!!プロセスふんでがんばればいいんだよ、結果オーライ!
 
 
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