指揮・金聖響氏、演奏・大阪センチュリー交響楽団によるウィーン古典派のコンサートへ。曲目は、ハイドンの交響曲第88番、モーツァルトの交響曲第40番、ベートーヴェンの交響曲7番という有名どころ。シンフォニー3本立てというプログラムはめずらしいことらしい。やはり無意識に管楽器の音に耳が傾く。フルート、オーボエ、クラリネット、当然だがどれをとってもやはり一流だ。たった1フレーズでも音の美しさに感動する。弦楽器とまざっても一音たりとも無駄がなくうまく調和しているのでとても心地いい。下手な楽団というのはまず調和していない。個々のプレーヤーにどれだけ才能があったとしても、調和しなければ意味がない。それがオーケストラであり楽団である。そして指揮者がそれを大きく左右するというのも至極当然のことである。
まず指揮者の金聖響氏、若い。大阪生まれで米国暮らしの長い在日韓国人。聖なる響きと書いて聖響(せいきょう)、音楽以外の道は選べないような強烈な名前だが、華々しい経歴を見ると決して名前負けはしていない。阪神タイガースで活躍した藤川球児のようだ。単なる親の希望(願望)がここまで花咲くのなら、名前で子供の人生決めてやるのもアリかも?!なんて甘いことをふと考えてみたが、金聖響氏にしろ藤川球児にしろ、それはそれは血のにじむ努力をしたことには違いない。(親のエゴのせいで!) それはそうと、彼の指揮は変幻自在でまるで社交ダンスのよう。長い手足で柔軟に踊っている。ときに激しくダイナミックに、ときにはリラックスしてゆる〜りと。指揮台の柵に片手を置いて指揮する人をはじめて見た。楽しい。いままで演奏会に行くことがあっても指揮者にこれほど注目したことはなかった。プロの楽団を聴いて批評できるほど耳は肥えていない。が、シェフの調理によって同じ料理でもまったく違う味になるを食べ比べるというぜいたくな楽しみ方がクラシックの醍醐味だと思う。今日の曲目をまた別の指揮者が振るのを聴いてみたい。そしてまた金聖響氏が指揮する他の曲も聴いてみたい。指揮者目当てでオケを見に行くってのはいままでにないけど、いつか絶対小澤征爾氏が指揮するバルトークを聴きに行きたいなあー。とりあえず今年は佐渡裕の第九か?
センチュリー交響楽団については…うーん、たいそうに物申せる立場ではないが、強いて言うならハンガリー人のコンマスが激しかった。弦楽器のことはよくわからない。が、しかし!あそこまで激しく体を揺さぶったら弾きにくいのでは…?あとコンバスもけっこう揺れてた。しかし交響曲を立て続けに3本演奏するのは相当な集中力と気力を要するだろう。弦楽器ももちろん大変だが、管楽器は自分が吹くパートは自分ひとりしかいないのだから、かなりのプレッシャーだろう。それに打ち勝って100%の力を毎回出しきる、それがプロか…。はるかに遠い聖域だ。中学の卒業文集で「これからも吹奏楽をしていきたい」と書いていたわたし。あれから早12年、再びクラシックと向き合うときが来た。
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