UP Date '05.1.24
工房建設記録Tの目次
'01年3月 友人に誘われて初めて現地に行く。この時点では自分達が土地を持つなど夢にも思はなかった。 ただツクシ狩などして田舎もいいなあと思った。4月になりお地蔵さんの「社」も完成し、図書館で小屋を 建てた人の本を借りて読んだりもしていた。5月にまた友人に現地のバーベキューに誘われて行ったが、購入 の決断は出来なかった。月末まで色々と考えたが思い切って残りの人生に挑戦しょうと決意して購入する事に した。6月末、地主さんは200坪と言ったが分筆費を当方で負担して約90坪弱を購入することで 手付けを打ちました。
当初は図書館で読んだ本の影響を受けて、素人の出来る範囲で少々不細工でも基礎から独りでやる気でいたが、 建材のこと、アルミサッシのこと、それらの仕入先や価格のこと等々全くこの世界のことに無知であり、 勉強不足もはなはだしくて、参考のために土地の売主の知り合いの業者に見積もりしてもらう事にした。 ここからが「独りでやる気」が少し崩れて、基礎から屋根葺きまで業者に頼んでしまうことになる、 そしてその契約金額大きさにプレッシャーを感じたが、もう此処まできたら頑張ってよい結果を出す ように前を向いて進むしかないと心を決める。
<8月10日地元の神社から神主さんに来てもらって地鎮祭を行いました>
8月24日 基礎のコンクリート打設。遠景の家はお隣さんで、お祝いを頂いたりお世話になっています。
9月10日 棟上式。当日は台風で自宅の近辺は風雨が強かったが、現地は穏やかで影響はなかった。
9月19日 屋根にカラーベスト葺き。ここまでが業者のI商店の工事範囲である。
9月27日 午後から大工さんが引揚げるので、大工さんと工事引継ぎの打ち合わせをする、が言っている
内容の半分ぐらいしか理解出来なかった。やっていくうちに徐々にわかることだと思い気にしなかった。
いよいよこれから私し独り、素人の大工が大活躍して工房を完成させるのだ、待ちに待ったその時がきた。
やったるでーと言う気持ちと、本当にやれるのかとゆうズシリと重い不安ものしかかってきた。
実際にイヌ小屋くらいの大きさのお地蔵さんの「お社」を造ったからといっても、本物の建物とは全く
スケールが違うとゆうことだった。
10月1日 現場に入る、サッシ屋さんが来て取付け位置を示してくれて、そこに枠台を取り付ける。
柱と柱の間に枠台の横桟を入れるので両方の柱に桟が水平になるようにスミ入れをしてホゾを掘る。
現場の環境に慣れてきた、枠台は1日で2箇所の施工ペース。6日に西宮に帰り、9日に現場に入る。
<およそ1週間のサイクルで丹波路(176号線)を走ると秋の風景の移ろいを感じる、先週はコスモスやキンモクセ
イの香り、今週はススキが目立つようになってきた。>
サッシの取付けが終わり防水シートを張り始めたが雨が降る日は外の仕事ができないので、
階段下の床に、近所の人の倉庫の壁貼りを手伝ったときに貰った断熱材を入れて、床下点検口も作る。
ここは将来は物置部屋にする予定。
20日に西宮に帰り、22日に現地に戻る。翌日は寝ぐらの食卓や整理棚作りなどで1日が過ぎる。 <右の画は床に断熱材を入れたところと、点検口>
10月25日 居間とアトリエのヒサシの工事に着手する。工房作りをするまでは、ヒサシなど簡単に
考えていたが、実際にやりだすと案外難しく手間の掛かる事がわかった。
31日 アトリエのヒサシに板を
貼るのにインパクトドライバーでネジ止めしていてネジが滑ってドライバーの先で指先に怪我をする、幸いに
大事にならずに良かったが、近くに助けを求める人が居ないので怪我には十分注意する必要がある。
11月1日 不自由ながら何とか工事を進めてヒサシが出来上る。ブリキのカバーは板金屋さんに依頼する。
11月2日に着手する。初めの計画に無かった工事であったが、有ると役立つと思い追加工事に
なった。工事の前に長尺物のカンナ掛け等に使う「ウマ」を2台作り、柱や垂木にカンナ掛をする。
その後、躯体の柱にホゾ穴のスミをして、ドリルで下穴をあけて、ノミとハンマーで四角長穴に仕上
げる、この時はじめてああ大工さんをしているんだなあと感動を覚える。
11月4日 前日の雨が上がる、強風で寒い、防風着を着る。軒柱を3本立てるための基礎の穴を
掘る。その前に穴の外側に杭を打ち、板を取付けて水糸を張る。翌日、穴の底に砕石をいれブロッ
クを置き、そのレベルを出す。軒桁、軒柱、継梁、横桟のカンナ掛、寸法切、ホゾ加工、垂木掛、
軒桁の角度加工、等々の工事をその時々で悩みながらやることに、深い喜びと充実感を味わうこと
が出来た。
11月8日 いよいよ今日は組み付けをする。でも独りだ、軒桁は長さが2間以上で重い、それに各材は
ホゾでの接合になっている、以前からこの為の組み付け方法を色々と考えてはいた、
でも実際にやって見ないとわからない。実行する。
各々のホゾは単品で嵌め込み具合は確認済。まず4本の継梁を躯体の柱のホゾ穴に差込み、各々の継梁を
別々のロープで吊上げてほぼ水平にしてそのロープを足場のパイプに固定する。次は軒桁の両端を別々の
ロープで吊り足場のパイプに掛けて片方ずつ交互に固定しながら足場上を何回も往復して肩で少しずつ持
ち上げて継梁の高さにする。今度は下から軒柱を立てて軒桁のホゾに1本づつ入れる。最後に軒桁のホゾ
に継梁を端から1本づつ入れて仮の組付をする。足場の昇降で何度も頭を打った。時間はかかったが一人
でも出来るのだ。個々の部分の精度が良いと組み付けた全体の精度も良くなることがわかった。
今日はここまでとする。
<この日の夜、家からの電話で、義母が道路で倒れて骨折し救急車で病院に運ばれたと連絡が入ったが、夕食で
晩酌をしていたので、明朝に帰ることにする。11月15日 家の所要を済ませて1週間ぶりに現場に戻る>
15日午後 工事再開。各部材の水平、垂直を出して羽子板ボルトや火打梁で確実に固定する。
翌日は垂木の寸法切だけやった。
17日は垂木の取り付けのみ。18〜19日 義母の件で家に帰る。
20日 午後現場に戻り、横桟の寸法切をして1本だけ取り付ける。
翌日は残りの横桟を取り付け、壁との間に水切り板を取付ける。
<部落の総代さんが下水道使用申込書持ってくる(加入料407、500円)これは痛かった。>
11月22日 テラスの木部にキシラデコールの塗装をして一応完成。波板は足場撤去のあとで施工する。
防水シートは以前に少し張りかけたが、ヒサシ工事の方を優先にする方が段取りが良いので中断していた。
11月23日 北壁から張り始める、ここしばらく暖かい日が続いている。暗くなって、外の水場で食器を洗う、
水は冷たいが若い時の登山経験が支えになっている様だ。防水シート張りも順調に進む、やり残しのテラス
木部に防腐剤の塗装をして、26日所用で家に帰る。
28日 午後に現場に着き、防水シート張りを続ける。
翌日は午後から雨でシート張りが出来ず、ロフトの寝ぐらから調理器具や食器を1階のアトリエに運び、ここで
食事をする事にする。ロフトの時はアルミの梯子で物を持って登り降りできないので
物は板で作ったトレイにロープをつけ滑車で上げ下ろししていた。(老いたトムソーヤみたい)
11月30日 防水シート張りを続ける、最後に残った屋根と玄関ヒサシの間隔は18センチぐらいで、体
がつかえて手が壁まで届かず苦労したがなんとか張ることが出来た。本職の大工さんのミスだったのか?
今日で11月も終わり、明日からは12月。これまでは本職では無いので適当に遊びを入れながら来たが、
今年中に外壁を張り終えたい希望はあるがどうだろう。水道屋さんが仮設水道を付けてくれ楽になった。
今までは、遠く離れた売主さんの水道を使わせてもらっていた。
12月2日 土台の全周に水切り板取付、4日 水切り板及びサッシ周りに防水
テープを貼り気密性を持たせる。5日〜8日 外壁の1階とロフトの境目に見切り板を取付ける。
翌日は雨のやみ間をぬって見切り板のロフト側に水切り板を取付けて防水テープを貼る。
屋根に樋が無い為、雨だれが背中を濡らす。この頃の雨に濡れた足場の金属のパイプを握るのが冷た
くていやだった。土台と見切り板の各々の水切り板のコーナー及び接合部にコーキングをする。
12月10日 胴縁の工事に着手。防水シートの上に外壁(5分厚の本実加工の杉板)を縦貼りする為の下地。
今頃は好天が2日も続かない。13日 雨、玄関柱の取替えをする、玄関口を柱1本分広くする為現在の柱に
新しい柱を沿わせて双方をボルトで固定して、現在の柱を下から2メートルの所で切り取った。
雨の日以外は胴縁の工事は続行。15日 仮の玄関ドアーをベニヤ板で作る。寒さ対策と防犯対策。
16日 仮設の水道が凍結するが日中に暖かくなって解ける。翌日も水道が凍結したので断熱材で
カバーを造る。さらに寒さ対策として基礎の通風孔10箇所を塞ぐ。
最近は屋根に付いた霜に陽がさすと解けて雫となって落ちてくるので、10時頃までは濡れない所で作業
をする。外の作業は天候に左右されて思うようには捗らない。年内に外壁の工事は出来なかった。
12月22日(冬至)<上の写真>夜半からの積雪が4〜5p積もる。本年の工事はここまでとする。
朝から掃除、片付けをして午後2時30分、西宮へ出発。朝の雪は解けていた。
9月27日の工事引継ぎから約3ヶ月。過去60年の人生と全く違う人生を経験をしました。自ら求めた
ことですが、初めての土地で、初めての仕事、単身生活、判らないこと、苦しいことも多くありました。
それから3年たった今、当時のことが喜びとなり、自信となっていることに気が付いています。
<しばらく休んでから、続きをUPいたします。>