神田昌典『あなたの悩みが世界を救う!』(ダイヤモンド社2006.12)より。
だけど、どうして家庭を平穏に保つことがこんなに難しくなってしまったんだろう?
改めて考えるまでもなく、理由の1つは、自由で豊かになったために、生き方の選択肢があまりにも多くなったためだろうね。大人だって、どう生きていけばいいのか日々悩んでいる。フワフワ漂うような豊かさの中で、どう生きていけばいいのか、誰も答えられない。欧米社会のように宗教が道徳として社会に根づいているなら、家庭はまだ揺るぎない軸を持つことができる。しかし、いまや日本では共通の道徳観が失われてしまい、親になっても何を子どもに教えていいのか、わからなくなっている。
子どもにとっても、どんな大人をモデルにしていいのかわからない。どんな人生を選んでも死ぬわけでもなく、さりとて希望があるわけでもない。選択肢が多すぎてわからないから、結局、思考を放棄。時間潰しのために、刺激の強い漫画やゲームに熱中し、現実逃避してみたり、生きていく希望が乏しいから、リストカットを繰り返してしまったり。
「選択肢が多すぎてわからないから、結局、思考を放棄」というのが、今の社会の現状なのかも。たしかにゲームしていれば、難しいことを考えなくていい。
どう生きていけばいいか分からない大人を見て育つ子どもたちだから、子ども自身も自分の生き方を見いだせないわけである。
生き方が漂流しているそんな社会だからこそ、わたしたち教師は、大人の代表として、生き方のモデルを示せなければいけない。仕事として、子どもの前に立っているのだから、自分が悩んでいたり、揺れているところを子どもたちに見せてはいけないのだ。
ブレない。
まず、これが大切なのだ。
そして、学級の中に、一定の道徳観を維持させるのも、担任の役目だろう。
今、宇都宮健児監修・千葉保著『お金で死なないための本~いつでもカード、どこでもローンの落とし穴』(太郎次郎社2007.10)を読んでいる。
子どもたちが将来、カードローンで苦しむ可能性が高いからこそ、そのための金銭教育を今の内にしておかなければいけないと思うからである。
今までは、贅沢のために、借金地獄に陥ると思っていたが、この本によると、生活苦による借金が一番多いという。4世帯に1世帯が、預金0円の状態なのだそうだ。預金がなければ、低金利の銀行から借りることはできない。不意に病気にでもなり働けなくなって借金をするとしても、金利の高い消費者金融を頼るしかなくなってしまう。
お金のない人が借金をした場合、その借金を確実に返せるわけがない。
その内、利息が増えていき、自己破産・自殺となってしまう。
なんとか、それに対して歯止めをかけるような授業を考えたい。
(2009.8.4)