原稿の終わりをどうするか

『教師のチカラ』の原稿を今書き終えました。(5:52)午前4時ぐらいから書き始めたので、約2時間で仕上がったわけです。(朝の集中力かもしれません。)

「円高は、日本にとって得か損か。」
 十二月、五年生への発問である。

 AかBかを選択し、その理由をノートに書き、自分の意見を全員が発言し、相手の意見をも反論する。
 このような状態まで学級を高めるには、様々な手を四月から打つことになる。

一 マルチ発問で全員発言を当たり前に
 答えが多様にある発問(マルチ発問)を出し、ノートに答えをいくつも箇条書きさせ、板書させ、発表させる。全員に。これを毎日の授業で続ける。毎日毎日。

「人工衛星から見た日本の写真を見て」
・日本は海に囲まれている。        ・砂ばくが少ない。         ・昼の日本は、緑色。
・昼の日本の白いのは雲だと思う。     ・北海道と本州がはなれている。
「山地が多くて、いいこと」
・木材ができる。    ・けしきがキレイ。 ・山の動物だったら住む所が多くなる。
・きれいな水が流れる。 ・空気がきれい。  ・木がかげになってすずしい。

 マルチ発問を続けていくことで、自分の意見を書き、全員が発表する。そのことを学級の中で当たり前だと思うようになる。
 全員発表するという学習態度を日常の授業のくり返しの中で育てていくのである。

二 セレクト発問でレベルを上げる
 AかBか答えが二つに分かれる発問(セレクト発問)を十月ぐらいから出していく。AかBかを決断し選択、その理由を長くベタベタと書き、指名なしで発表していく。一通り発言が出尽くしたところで、相手の意見に対して反対意見を言っていく。討論。

「円高は、日本にとって得か損か。」
【円高は日本にとって得】
・外国から品物を買う時に安くなるから得。
・日本は安いお金で1ドル手に入れることができるようになる。
・日本人はドルにかえたら安く買えることができるから。
【円高は日本にとって損】
・円高になると日本で買う人が少なくなって日本の品が売れなくなる。
・アメリカが、日本の物が高すぎて、買いたくないと思って、輸入や物をかって くれず、日本の金がなくなっていくから。
・あんまり安くなると貿易まさつされるかもしれない。現地生産もふえているけ ど安くなる方が大きい。

 以前、講座の中で先生方に、円高の発問をしたことがある。発言した教師は数人。教師でさえ、自分の意見を全員の前で述べることには抵抗があるのだ。
 まずは全員発表する授業を毎日の中で積み上げる。その上で討論のようなレベルを上げた授業を築いていく。意図的な授業の連続が、子どもに「未見の我」をもたらすのである。

 実際の原稿は、20字×65行なので、改行の場所が違ってたりします。
 最後の一文の「未見の我」は、読者にとって、何のことか分からないと思います。これは意図して入れたのです。分からないことを最後に残しておくことで、私の書いたものをまた読んでみたいと思わせるためです。全部分かってしまうと、そこで完結してしまって、次へとつながらないからです。
 まあ、一行空いたので思いついた文章だったのですが。

(2010.8.19)