ビールをついでもらった時

 今日、職場の人に誘われて、飲みに行った。
 その飲む席のこと、その人に大切なことを教えてもらった。

ビールをついでもらった時は、そのビールに口をつけずに置いてはいけない。

 せっかくついでもらったのに、そのビールに口をつけずに、コップを置いてしまうのは、失礼というものなのだ。
 でも、今まで私は、ついでもらって、そのままコップを置いたことがたびたびあった。
 そうすることが、ダメだとは、ぜんぜん思わなかったからだ。
 やはり、自分では気付かないことって、あるものだ。
 その人とは、タクシーで堺東まで行った。駅に近づき、路地を出るところで、タクシーが停まった。前に何台か車が停まっている。どうやら信号待ちらしい。
「もうそこだから、降りましょうか。」
と、私は、その人に言った。しかし、その人はにっこり笑いながら、
「こんなところで降りたら、運転手さんにわるいから、出て曲がったところで、 降りましょう。」と言われたのだ。
 メーターよりも、運転手さんを気遣う、そこがすばらしいのである。

(1998.10.16)