教育実習生の公開授業が、ありました。2年の算数です。
《直すべき点》
①無駄な言葉が多い。
「復習をしたいと思います。」→『復習をします。』
「配りたいと思います。」→『配ります。』
「いいですか。」→×(いらない。)
②問いに対して、正しく答えさせる。
『長方形というのは、かどがみんな何になっている四角形ですか?』と、実習生が聞いた時、一人の子は「かどがみんな直角になっている」と答え、それを実習生は「その通り、正解。」と評価しました。
しかし、私なら「80点、ほしい。」と、評価しました。
ここは「かどがみんな直角になっている四角形です。」と答えるのが正しいのです。
『この形を何と言いますか。』に対する「正方形です。」も、少し違う。「正方形と言います。」と答えるべきなのです。
③子どもをもっとゆさぶる。
黒板には、長方形と正方形の色画用紙が貼られています。そして、子ども達には長方形の小さな色画用紙を配りました。
『どんな形の紙を持っていますか。』と、実習生は聞いたあと、すぐに、黒板と長方形の紙をとって、『これですか。』と言っています。ここは、せっかく、正方形があるのですから、正方形を見せて『これですか。』と聞いた方がいい。そうすれば、「ちがう」という声が出て、「それは正方形で、これは長方形。」という分別の学習になります。
④まず教師がやって見せる。
長方形の紙に対角線を引く、という作業は、とても難しい。指示だけでなく、まず教師が前で「やって見せる」ことが大切。山本五十六の言葉「やってみせ、やらせてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」。
⑤指示は徹底させる。
『持ってるものは置きなさい。』この指示は大事。しかし、発した限りは、全員が持ってる物を置いてるか確認しないといけない。「置きなさい」という指示を従わない子のいる状態で、授業をすすめることは、教師の言うことは聞かなくてもいいという子を育てることにつながります。
《よかった点》
1)指示がはっきりしていた。
語尾も「~しなさい。」と、切れ味がよかったです。
実習生の言葉が、明瞭に聞き取れてたところが素晴らしい。
2)指示がゆれなかった。
指示や発問を何度か、くり返しても、同じであった。これも素晴らしい。
指示や発問は、「てにをは」一字変わるだけでも、ずいぶん指示してること・聞いてることが、違ってきます。
3)教えるべきことを教えていた。
「直角(ちょっかく)三角形(さんかくけい)」と書き、「直角三角形(さんかっけい)」と読む、ということを実習生は、子ども達に教えました。この指導は、私も忘れていました。しっかり、教えるべきことです。
実習生は、2年生の子どもとよく遊んでいました。
子どもの名前も、よく下の名前で呼んでいました。
子どもとの向き合い方が、とってもいいのです。
ただ、それが、授業の甘さになります。
「子どもに楽しんでほしい。」という願いは、大切なものです。
ただ、そこに「責任」というものがないと、「子どもに力をつける」ということまでは、いきません。
今の私の考えは、子どもが「できる」ようになる。さらに「わかる」。できれば、「楽しんで」。というものです。
ずいぶん、私も考え方が変わったな、と思います。
(1999.10.18)