実習生の授業:5年

 5年生にも実習生が来ているので、その授業を見に行った。
 理科で、「おもりのはたらき」の単元である。

《直すべき点》
①教師の話を聞かせる時は、教師の方へおへそを向かせる。
 理科室の机は、教室でいう班の机のようなものだ。
 子どもが机に正対すると、身体の横が教師の方に向いてしまう子が出てくる。そういう子は、たいてい首だけ、教師の方を向いている。
 ここは、きっちり持ってるものを置かせ、教師の方へ、身体の中心(おへそ)を向けさせるべきである。
②挙手方式では子どもに力を付けられない。
 教師の問いに対して、挙手した子だけを当てる授業では、子どもに力をつけられない。
『同じにしないといけないことは何ですか。』
 これは、実験の条件を揃えることをいってる。手を挙げる子だけがわかっていたらいい問題ではない。
 そうならば、『全員起立。一つでも思いついた人は、すわりなさい。』というように、子どもを追いつめていくべきだ。
③誘導的な問いかけが多すぎる。
 授業を進めるために、『何を変えたらいいの?』『それ、何っていうの?』というような、答えを誘導するような問いかけが多かった。それほど誘導するぐらいなら、教師で答えを言えばいい。しかし、「子どもの口から言わせるのが大事」という形式にこだわってるからそうなる。
④気付かせることを先に言ってはいけない。
 ③に関連してくる。「ボールを転がす高さを変えることで、ボールが速くなる」ということは、実験を通して気付かせることである。それを誘導的に言わすと、実験はそれを確認するだけのものになってしまう。(それでも、子どもにとって、実験は楽しいみたいだ。でも、授業とは言い難い。)
 理科実験の場合、仮説を検証するための実験、実験(操作)から気付きを見つけだす方法、の2つがあると、私は考える。
⑤ワークよりノートを使う。
「理科学習ノート」を使っていた。これは実習生の責任ではない。
 ワークというのは、要するに穴埋めだ。だいたい決められたことしか書き込めないようになっている。
 しかし、ノートは違う。
 実験の中で気付いたことを10こでも20こでも、100こでも書けるのだ。
 ノートの自由度をいかさないのは、もったいない。

《よかった点》
1)態度がとても落ち着いていた。
 慌てた様子がない。自信たっぷりという態度がよかった。(実際には自信がなくても、子どもの前ではおどおどすべきではない。)
2)作業後の指示が出されていた。
『直した人は、前むいといて。』
 何かしたあとにどうするか、というのを明確に告げることは、大切。何をしたらいいかわからない状態をつくると、子どもはおしゃべりや手遊びを始める。
③字が丁寧で、うまい。
 私には真似ができない。
④子どもの行動を先読みした指示が出せていた。
 実験の説明を少し始めた時に、『まださわりません。先生が説明してから。』と、ビシッと言ったところがいい。子どもの行動の先が読めている。
⑤さしのコピーは使える。
 今日の実験は、おもりの衝突実験だ。
 坂道の下にある台みたいなものが、鉄球によってどこまで動くか調べるのである。その時、さしのコピーした藁半紙を子ども達に配っていた。
 実際のさしより、紙にコピーしたさしの方が、紙の上に坂道を直接置けて、使いやすい。いいアイデアである。

(1999.10.19)