11月の生活目標を全校朝会の場で、私が話す担当になりました。
「元気よくあいさつをしよう」が、その月の生活目標です。
「挨拶してる人が少ないから、挨拶しましょう。」というような、言っても言わなくても何も変わらないようなことは言いたくありません。
子ども達の胸にストンと落ちるような話がしたいのです。
そこで、帰宅の道々、色々と考えました。
動物、例えば、ゴリラは、ゴリラ同士が出会ったとき、挨拶をするのだろうか。 アリなら、どうか。
ペンギンなら、どうか。
動物の挨拶の話からすれば、子ども達は耳を傾けてくれそうです。
でも、実際のところはわかりません。
『ブリタニカ国際大百科事典』で、「挨拶」の項目を調べました。
中世に輸入された漢語で、元来、禅宗において僧が問答を繰返し合う意味、また単に受け答えの意味として使われた。現在では他人に対して尊敬や親愛の気持を表わす動作、言葉、文面などを意味するようになっている。(後略:荒井)
少し使えそうにない情報です。
CD-ROMの『マルチメディア百科事典ENCARTA』(マイクロソフト)でも、挨拶を調べてみました。
(前略:荒井)挨拶行動は、身振りによるにせよ、言葉によるにせよ、表面的にはなんの実質的意味も持っていないように見えるが、社会的には重要な意味をもっている。挨拶をかわすことによって、たがいに敵意がないことを確認したり、出会いにともなう不安や緊張をやわらげ、人間関係を円滑にする働きがあると考えられる。日本では、すれちがうときに挨拶をかわせないのは妖怪(ようかい)であるとされ、ほかの社会でも妖術師や魔女とみなされることがあった。また、挨拶の言葉づかいや身振りによって、二者間の社会的関係を確認する意味もある。たとえば、下位者のほうから挨拶したり、下位者をしめす身振りをおこなうなどである。なお動物の間の挨拶にあたる行動は、挨拶行動の項目でふれている。
「日本では、すれちがうときに挨拶をかわせないのは妖怪であるとされた」というのは、面白いし、使えそうです。
ところで、動物の間の挨拶にあたる行動は、「挨拶行動」の項目に載っているということです。CD-ROMの百科事典なので、文面中の「挨拶行動」のところをクリックするだけで、その項目に跳べます。
挨拶行動 あいさつこうどう Gleeting Behavior 同種個体間でかわされる、攻撃回避と友好表示のしぐさ。動物個体に接近してくる他個体は、多くは捕食者か餌(えさ)動物だから、これに対する反応は、原則としては逃避か攻撃である。したがって、集団の維持や、繁殖時の異性への接近のためには、相手に逃避や攻撃行動をひきおこさせない特別の合図が必要で、これが挨拶行動である。 (後略:荒井)
相手に逃避や攻撃行動をひきおこさせないために、動物は挨拶をするのです。
もう少し具体的な動物の行動がわかればいいが、今はここまでとします。
いろんな人に、動物はどんな挨拶をするのか、聞いてみようと思ってます。
挨拶ひとつにしても、当たり障りのないことを話すのは、おしゃべりの時間でいい。でも、教師として話すならば、そこに知的な香りがほしいと、思う。
生活目標を話すというわずかな時間も、教師は子どもに何かを教えるのです。
(1999.10.26)