本を読んでいると、思わぬこぼれ話に出会うことがあります。
当時は七輪と呼ばれて、持ち運びできる簡易式の調理道具がありました。
(中略:荒井)このエネルギー器具は当時、七厘(一銭の一〇分の七)の値段で買えたから、また炭が七厘で買えたから、あるいは中の空気抜きの穴が七つあったからともいわれました。俳人嵐雪の句に「梅一輪 一厘ほどの暖かさ」というのがありますが、これは七厘をなぞって、その七分の一ほどの暖かさになってきた風情を詠んだものでしょうか。
田中紀夫『エネルギー環境史Ⅱ』(ERC出版)P.38
七輪が七厘で買えた、というのが面白いです。
その後、蛍の電気は熱を出さないで光ることに着目して、蛍光灯が開発され、昭和二八年(一九五三年)頃から普及し始めました。
田中紀夫『エネルギー環境史Ⅲ』(ERC出版)P.55
蛍光灯の「蛍」という字には、そういういわれがあったのです。
(2004.10.11)