教科書の「コロンブスの卵」

 小学校では、1921年発行の第3期「尋常小学国語読本」第8巻 第19章に4年生用教材として、「コロンブスの卵」が登場しました。

第十九 コロンブスの卵 (「尋常小学国語読本」より)
 コロンブスがアメリカを発見して帰った時、イスパニヤ人の喜んだことは非常なものでした。
 一日祝賀会の席上で、人々がかはるがはる立つて、コロンブスの成功を祝しますと、一人の男が「大洋を西へ西へと航海して、陸地に出あったのが、それ程の手がらだらうか」といつて冷笑しました。
 之を聞いたコロンブスは、つと立つて、食卓の上の「うで卵」(ゆで卵)を取り、「諸君、こころみに此の卵を卓上に立ててごらんなさい」といひました。
 人々は何の為にこんなことをいひ出したのかと思ひながら、やつて見ましたが、もとより立たうはずはございません。
 此の時コロンブスは、こつんと卵のはしを食卓にうちつけ、何の苦もなく立てて申しました。
「諸君、これも人のした後では、何のざうさもない事でございませう」

 この文章をふりがなつきで、子どもには提示します。昔の4年生用の教材といえば、興味もわくでしょう。イスパニア人はスペイン人のことです。

(2014.12.14)