自動販売機のおつり返却口に、100円玉が残されていました。
あなたなら、どうしますか。
1)もらう 2)警察が近ければ届ける 3)何もしない
4)警察が遠くても届ける 5)その他
伴一孝ドリーム講座の模擬授業で、伴先生が最初にされた発問です。
このあと、向山先生お勧めの次の本が紹介されました。
渥美育子『「世界で戦える人材」の条件』(2013.7 PHP)
この本の中で、世界は4つの文化コードに大別できると書かれています。
①リーガルコード…価値の中心をルールとノウハウに置いている文化圏
②モラルコード…価値の中心を「人間関係」に置く社会
③レリジャスコード…神の教えに価値の中心を置いた地域
④ミックスコード…3つの文化コードのうち二つが併存している地域
例えば、メッカ(サウジアラビア)はイスラム教の最大の聖地であり、毎年の巡礼に約300万人が集まります。イスラム教での「インシャラー」は、「神の御心のままに」という意味です。自動販売機に100円玉があれば、神の御心だから、そのままいただく、ということなるでしょう。レリジャスコードの地域であれば、何があっても、神の御心のままにで通じるわけです。
一方、米国やイギリスを中心とするリーガルコードの地域(国)は、法律が物事の価値判断の基準になります。警察に罰せられるようなことはしない、警察が罰しなければ何をしてもいい、ということでもあります。自動販売機に100円玉があった場合、近くに警察があれば届けるし、警察が遠くにあれば届けないことになるのです。
ハリケーンで被害を受けた地域では、警察機構も麻痺するので、スーパーやコンビニが略奪の対象になったりします。
一方、日本は、モラルコードの国です。
東北大震災の津波によって流された5700個もの金庫が警察に届けられ、23億円近い現金が持ち主に返されたそうです。
イギリスの新聞「デイリーメール」には、「イギリスが略奪に頭を抱えているなか、日本人の誠実さが証明された」と書かれ、アメリカのオンラインニュースでは「災害の後は略奪がつきものだが、日本ではその逆のことが起きている」と報じています。
モラルコードの文化圏に住んでいることをわたしたちは誇りに思うべきなのでしょう。
最近、ニュースで、モラルの低下が嘆かれることもあります。ただ、モラルの低下を嘆くことができるということは、モラルを持ってることと同義かもしれません。何しろ、モラルという概念さえない文化圏もあるのですから。
(2013.11.3)