一人ぐらしをするために

『小学校道徳 生きる力5』(日本文教出版)の最初のお話は、角野栄子・作「キキの旅立ち」です。

 人間と魔女が結こんをして、生まれた子どもが女の子の場合は、たいてい魔女として生きていくのがふつうでした。でもたまにはいやがる子どももいるので、十さいをすぎたころ、自分で決めてよいことになっていました。もし魔女になると決心がつけば、直ちにおかあさんから魔法を教えてもらって、十三さいの年の満月の夜を選んでひとり立ちをすることになります。この魔女のひとり立ちというのは、自分の家をはなれ、魔女のいない町や村をさがして、たったひとりでくらし始めることです。

 魔女の一人立ちあたりまでを私が読んでから、次の問いを出しました。
「一人ぐらしをすると、どんな困ったことがありますか。」
 ノートに箇条書きさせ、板書もさせたところで、聴覚検査が始まりました。
 この授業の続きは、次に持ち越しとなりました。
 さて、この後、困ったことを発表したあと、次のことを聞く予定です。
「一人ぐらしをするために、どんなことを身につけないといけないですか。」
 キキの場合は、お母さんからほうきで空を飛ぶことを習いました。
 学問にしろ技術にしろ、それはいわゆる魔法といってもいいのです。

(2012.5.4)