痴呆初期の対応の難しさ

 前述の本を読んでいると、痴呆初期の対応は十分に注意しないといけないようです。

 彼らは自分が忘れやすくなっていることを認知できない。だから、彼らは自分が引き起こしたつまずきを指摘されても、一見、恬淡としている。わざとそのような態度をとっているわけではなく、トラブルが自分のせいで起きていることが理解できないためである。
 ところが、まだ彼らの日常生活全体はそんなに崩れていないから、周囲はそうは受け取らない。迷惑をかけているのにけろっとしている、と映る。そこで、周囲はいらだち、彼らを叱責し、訂正をせまる。
 しかし、失敗の原因が自分にあることを認知できなくなっている彼らは、いわれなき叱責を受けていると感じる。彼らのこころはゆらぎ、さまざまな行動障害や精神症状が反応的につくり出される。(P.29)

 自分が忘れやすくなっていることさえ認知できないため、人からの指摘や叱責を理不尽なものと感じるわけです。これは、痴呆老人だけの問題ではなく、ADHDのような子にも当てはまる事例かもしれません。

(2003.11.11)