三上満氏の講演

 元中学校教師の三上満氏の講演は、とってもよかった。
 何と言っても、よく笑わせてくれる。
 1時間半という長丁場の講演である。座って聞く方は、真面目な話ばかりだと、持たない。
 しかし、三上氏は、笑わせる壺を心得てるようで、しょっちゅう笑った。
 しかも、それは駄洒落ではない。
 人間の愚かさに暖かい光を当てたような笑いなのだ。

子どもは、白黒まだらの発展途上人。

「良さが伸びると、一緒に悪さも伸びる。」
「自分を見つめるようになれば、暗い表情になる。」
「元気になれば、イタズラをする。」
 三上氏の講演は、じかに聴かないと価値がない。三上氏から滲み出る人柄みたいなものが、講演を支えているのだ。

《子どもの好きな3つのもの》
1.めあてをもって、がんばること。
2.それができた時の喜び。
3.できたことを「よくやったね」と言ってもらうこと。

 この「子どもの好きな3つのもの」を教師が、一番与えやすい条件を持ってるように思う。(それこそ、まさに授業で達成できる。)
 三上氏は、寅さんが好きらしく。寅さんに出てくるセリフをよく引用されていた。(「第48作」と言いながら、題名もしっかり言うのだ。)
 寅さんの最後の映画のラストシーンは、神戸の長田地区が移されるそうだ。
 そのシーンで、朝鮮人が踊りを踊っているそうだ。
 それは、72年前の震災と較べているということだ。
 72年前の関東大震災では、罪なき多くの朝鮮人が、デマによって、虐殺されてしまった。
 しかし、この前の阪神大震災では、そんなことはなかった。
 時代はよくなってきている。そういう希望を教師が語らなければいけない、と三上氏は言うのだ。

希望が失われなければ、大丈夫!

 未来の明るさを語れる教師になりたい。 

(1998.11.29)